いざ!出陣!
いつもの日常を慌ただしく過ごしていた。星さんとも何度かLINEを繰り返し出発の日も決定した。
私も出来るだけ韓国語をマスターする為に勉強もしていた。ただ一つだけ上手くいかない事がある。
”フラフープ“!目標10回なんて“無理無理”もちろん”ダイエットなんかもっと無理〜!“。
立派な身体は変わらずいつの間にか出発前日になっていた。残念な事に星さんはどうしても外せない仕事があり同行してしてもらう事が出来なかった。
私は普段の日常をこなしながら準備に入った。
心配性の私は毎回旅行に行く時は余分な物が多く、帰って来ると半分近く未使用のまま帰ってきていた。
だから、今回はまずある程度準備をしてから引き算のように減らす作戦を取ることに決めた。
だけど、なかなかそれが出来ないのが残念だ!出してはまたしまい。しまっては出しの繰り返し!見かねた長男が言った。
『母、家出?たかだか一泊二日で何悩んでるの?超荷物多いし!最悪、携帯とパスポートと財布だけでも良いんだよ!俺がやってやろうか?』
『やめて!わかった!最小限にするように努力しまーす!それから、このズボンとそのズボンどっちがいいかな?』私が聞くと三男坊が言った
『おばちゃんが何来てもおばちゃんだから大丈夫!誰も見てないし』
“あ~?兄弟揃って一言多いんだよ!そんな事はわかってるわ!”そんな事を考えていると星さんから電話が入った。
『みきさん!明日すいませんでした。気を付けて楽しんで来て下さいね!それから、ヒョンさんが空港に迎えに行くからと伝えてほしいとの事でした。だから、心配しないで行ってきて下さいね!土産話待ってますね!』
『何から何までありがとう。だけど私韓国語イマイチで!ヒョンさんに気を使わせちゃうよね?』
心配気に言うと星さんが笑いながら
『全然気にする事ないですよ!ヒョンさんもゆっくり話せば少し日本語わかるし、みきさんには得意な翻訳機があるじゃないですか!それに、ヒョンさんだってわかってますしそんな事気にする人じゃないですから!』相変わらず優しい!
『ありがとう!わかった!楽しんで来ます!アラフィフおばちゃんのド根性見せてきますね!』
『みきさん。”はじめてのおつかい“みたいですね!』と星さんは笑ったそして程なくして電話をきった。私はそんなしっかりものの優しい星さんが前にも増して大好きになった。
荷物もだいぶコンパクトになり息子達の頼まれリストを書いて今日は早く寝ることにした。
だが、布団に入っても目をつむっても一向に眠れない!”ヤバい!早く寝なくちゃ!明日目の下にくま出来るわ〜!“と思えば思うほど眠れなかった。羊も数えてみた。982まで数えたが諦めた。ウトウトしたりを繰り返していくうちに薄っすらと外が明るくなっていた。
“飛行機で寝よう!”私は早々と起きる事にした。まだ5時を少し回ったところだった。
とりあえず、洗濯をすまして今晩の為のカレーを作った。自分の身支度をしていると長男が降りてきた。
『あれ?早いね!おはよう。今晩のカレー作ったから食べてね』
『羽田でしょ?送ってく。何時の便だっけ?』
『9:20のJAL羽田、金浦空港行き』とりあえず、覚えた通りに言った
『じゃあもうすぐ出るよね?帰りも迎えに行くから時間わかったら連絡してね!着替えてくる!』
さすがは長男だわ〜!気が利くね!
私はさっさと身支度をすませて、忘れ物の確認をした。
”よし!大丈夫だ!ん?何か忘れてるような?忘れてないような“そんな事を思いながら家の中をうろちょろしていると、
『行くよ!』私は長男に促され慌ててキャリーバッグを持って外に出た。
『いってらっしゃ~い!楽しんで来てね!俺等も楽しむから!ヒョンさんによろしくね!』二階の窓から三男坊が笑顔で手を振った。
一瞬不安な気持ちになったが、
『行ってきます』と笑顔で答えた。家にいる時はそうでもなかったが羽田が近くなる程ドキドキして来た。そんな母の気持を察したか長男が言った
『母、出発と到着の場所間違わないでね!到着の所じゃ乗れないからね!それから、迷子になったら人に聞くんだよ!』と半ば半笑いで母に言った。
『そんな事わかっとるわ!子供かっ!』と私が言うと我慢が切れるように大笑いで笑い出した。私もつられて笑ってしまった。そんなやりとりをしている間にあっという間に羽田に到着した。
『送ってくれてありがとね!ともよろしくね!連絡する』
『楽しんで来て!俺等の事はお気になさらず!後で報酬はたんまりもらうから!じゃね!いってらっしゃい!』長男は笑顔で手を振って行ってしまった。
私はとりあえずお土産を買い荷物を預けるため、チェックINカウンターで受付をする事にした。
受付の方に説明を受けた『座席は〜』、
“えっ?ビジネスクラスって?ラウンジが使えるって?エコノミーじゃないの〜?”いきなり変なドキドキ感が身体中を包んだ。
”最初で最後のビジネスじゃん!“
私はすぐに搭乗口に向かい税関をクリアしてラウンジなるものに向かった。入口にCAさんらしき人がいたので入り方を聞いて中に入った。ビジネスマンらしき人やいいとこの御夫婦らしき人が所々に座って談笑していた。飲み物や食べ物もあった。
私はとりあえず一人でうろちょろ施設見学をした。シャワールームやパウダールームもあった。そこには化粧品等も置いてあった。私は先程の場所に戻り近くでテーブルを拭いていた従業員の方に小声で聞いた
『すいません。あちらにあるアイスティーはどこでお金を払えば良いですか?』すると笑顔で答えてくれた。
『全て無料でございます。』え?
『あそこにあるワインなんかも無料なんですか?』
『はい。お好きなお食事やお飲み物をお楽しみ下さい。』彼女は会釈をして行ってしまった。
“ウソ〜!朝食食べて来なければ良かった!”と、心の中で叫んだ。
”とりあえず、もったいないから少したべて、ワイン飲んじゃお!“
おばちゃんあるあるの“もったいない根性”が出てしまった。私はなんだかわからないオシャレなつまみ風なものをいくつかみつくろい、シャンパンを注ぎ窓際の席に座った。窓からは飛行機が直ぐ側に停まっていた。
”最高〜!“と一人心の中で乾杯をして頂いた。“おいしい~!神だわ!”などと思いながらおもむろに2杯目を飲んでいた。
暫くすると搭乗okのアナウンスが入り、グラス半分ほどのシャンパンを一気飲みした。
なんだかほろ酔い感覚で凄く気分が良かった。私は一人のドキドキ感もヒョンさんに会うドキドキ感もすっかり消えていた。ただただ、なぜかわからないが戦闘モードに入っていた。
”さあっ!いざ出陣!“
私は出入りの女性にお礼を述べ、意気揚々と搭乗口に向かった。




