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テンション

 最近雨が多くなった。梅雨入りのニュースもちらほら耳にするようになってきた。

 梅雨は本当に嫌いだ!主婦の方ならわかって頂けると思うが洗濯物が乾かない!これでしょ!

それなのに、息子は容赦無く毎日のように洗濯物を出す。“2,3日着れば!”と思う。靴下とパンツ以外は。

 私は昔からテンションが落ちてる時には必ず好きな音楽を聞くようにしている。イヤホン使用で。

 今日も朝から雨が降っていて、起きた瞬間からテンションが上がらなかった。

 ちなみに、空港での出来事を最後にあの二人からも連絡はなかった。もちろん、私からも特に連絡はしていなかった。一ヶ月ぐらいは経っていた。私の中ではすでに春の日の忘れられない想い出とかしていた。

 せっかくのお休みなので、本当はシーツなどの大物の洗濯をして一気に掃除でもと考えていたが予定がくるった。天気痛?なのか片頭痛もいつもに増して酷く感じた。

 ”予定変更!“私はとりあえずテンションを上げる為に耳にイヤホンを着けて音楽をかけた。なかなかテンションが上がらない!洗濯機はまわした。そのうち歌い出した!すると暫くして息子が降りてきた。

『おはよう!母〜!悪夢見て起きた!』理由はわかっている。私が歌を歌っていたからだ!まちがっても上手とは言えない歌をイヤホンしながら大熱唱するからだ。

『おはよう!テンション上がらないんだよね~!』

『朝からそのテンションいらね〜』『母。朝からテンション上がらないので朝食ボイコットします!食パンがあるのでお願いします!ついでにこのテンションの上らない母に食パンをお願いします。バター少なめマーマレード乗せで!』息子は苦笑いして

『でたよ〜!はいはいっ!やりますよ!1枚で良いの?』

『1枚でお願いしま〜す!さすが高校生!出来る男は違うね〜!』

『たぶん俺、母より出来るから』

“たかがパン1枚で調子にのるなよ!小僧が!”と心の声が言った。

 息子と朝食を食べてテンションが上がって来たので風呂掃除、トイレ掃除、洗濯物を部屋干ししてザッと掃除機をかけた。昼間まで時間があったので近くにある母がいる老人施設に顔を出した。ついでに差入も持って行った。息子はその間にバイトに行ったようだった。

 とりあえず、昼になったが特にお腹もすかなかったので、Netflixで韓流ドラマを見ることにした。

 今では春の出来事が嘘のように、ヒョンさんは出会う前のテレビの中の韓流スターとなっていた。韓国語のテキストも何年も使われていないかのように本棚の隅でひっそりしていた。ただ、韓流ドラマはずっと見ていたので少し聞き取れる文法はあった。だけど、バリバリ字幕で見ていた。毎回ドラマを見て

”ヒョンさんて、何で歳とんないの?カッコよすぎるだろ!肌きれいだし!宇宙人か?それにしても、いつ見てもカッコいいわ!“などと本当にただのおばちゃん化していた。

 実はもう少し若い俳優さんも好きで、ドラマは全部制覇していた。生まれて初めて買った写真集もある。

 あんなに凄い出来事があったくせに、今ではただのおばちゃんの妄想の世界にどっぷり浸かっていた。

 毎回そうなのだが、韓流ドラマを見始めるとまるで“かっぱえびせん”のように止められなくなる。それで1日が終わってしまう。

 気がつくともう夕方で外は暗くなってきていた。私は心を鬼にして夕飯の準備に取りかかった。程なくして息子が帰ってきた

『ただいま〜!』

『おかえり!腹減った!夕飯なに?でしょ!』私は先に言ってやった優越感にひたりながらドヤ顔で言ってやった。

『風呂入るわ』だからなに?みたいな顔をしてさっさと風呂に入る準備をしていた。

『新聞取ってくれた?』

『見てない』”だよね~!気が利けよ”と思いながらポストから新聞を取ってきた。いつものように請求書のような物もあった。

”請求書しか来ないんかい!このうちは!“などと思いながら見ていると一つだけ封筒でもない薄いダンボールのようなA4サイズぐらいの封筒があった。

“息子宛のアマゾンか?”と思い宛先を見ると私宛だった。それも英語でAIR MAILだった。

”ん?何?“もしかして、ヒョンさん?”私は送り主を見たが会社名と名前がヒョンさんではなかった。開けて大丈夫なものか悩んだ!とりあえず、息子が風呂から出るまで待つ事にした。

 息子が出てきて開けて大丈夫かどうか家族会議をした結果、まずは会社名らしき送り先を検索してみた。韓国の芸能事務所らしかった。

開けてみる事にした。

 中には細長い封筒と普通の封筒の2枚が入っていた。まず普通の封筒を開けるとハングル文字で書かれた手紙だった。もちろん直には読めないのでもう一つの細長い封筒を開た。驚いた。航空券だった。

 『チケットじゃん!母、何か頼んだの?旅行行くの?』

 『行くわけ無いじゃん!飛行機だよ!お金無いし。』

 『だよね~。もしかして、間違いだったんじゃん?隣のりょう君家とか!』私は慌てて宛名を再確認した。

 『いや!母宛だよ。ほら!』息子も確認したがやっぱり私宛だった。

航空券を確認してみると、羽田∼金浦と書いてある。“金浦?中国?”とジッと考えていると息子が

『金浦国際空港、韓国だって』と調べてくれた。

 『何か応募した?当たったんじゃない?』

 『え〜!何にも応募してないけどな〜!』

 『とりあえず、手紙みたいなの見てみたら。何か書いてあるんじゃん』そう言うと息子はソファに座りテレビをつけた。そうだ!忘れてた。私は手紙に翻訳機のカメラをかざした

 ”みきさん。お元気ですか?ヒョンです。飛行機のチケットを送ります。お休みの日に韓国に来て下さい。僕はまだドラマの撮影中ですが来月にはお休みがもらえます。だからもし大丈夫ならその時に会いたいです。いろいろ連れて行ってあげたいです。待ってます。また、連絡します。 愛してます。 ヒョン“


 『え〜〜〜!うそっ!』と絶叫してしまった。

 『ビックリした!何?』と息子が立ち上り言った。

 『ね!見て見て!あり得ない!読んでみて。これ。わからない。理解出来ない!ヤバい!』

 『母落ち着いて。読んでみて』

 『読めない!』“は〜?”とわけがわかんない!みたいな顔で携帯を覗き込んで翻訳機を読んだ

 『どういう事?韓国にご招待って事?』

 『母もわかんない!あれ全部ドッキリか抽選だったかもしれないんだよね?どういう事?意味がわからない!母の事本当に好きって事?』

 『それはない!』即答された。

 『とりあえず、星さんにLINEして聞いてみるわ!それでこれが何なのか聞いてみる。間違えかもしれないし。送り主の名前違うしね。』

 『ちゃんとしまっときなよ!』と息子はまたソファに座り何も無かったかのようにテレビを見ていた。

 私はただただ小刻みに震えを感じていた。

 ”母!冷静になれ!大丈夫。歳を考えろ!きっと何かの間違えだ!狼狽えるな!冷静に冷静に!“

まずは星さんにLINEを入れてから、夕飯の準備を始めた。

 親子丼を作る為に生卵を割ってボールに入れるはずが、割った卵を洗い場に流してしまった!


 “冷静なんて無理〜〜!”わけのわからないテンションになっていた!

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