天然?
返信が来た数日後、私はマネージャーの星さんへ電話をかけた。
案の定留守電だったが、その日の夜に連絡をくれた
『ご無沙汰しています。携帯でられなくてすいませんでした。お元気ですか?』勝手に私から電話をしてしまったにも関わらず明るく話してくれた。
『いやいや、こちらこそお忙しいのにお電話してしまい申し訳ございません。今、少しお時間大丈夫ですか?』
『全然大丈夫ですよ。何かございましたか?』
『実は◯◯さんからたぶん直筆のお手紙を頂いたんですが、本当なのか信じられなくてご連絡させて頂きました。ぶしつけで本当に失礼なのはわかっているのですが、お二人共本当の方ですよね?新手の詐欺グループとかじゃないですよね?本当にすいません!』私は失礼を承知で聞いてみた。すると彼女は大爆笑していた
『二人共本物です。すいません!笑ってしまって。たまに、サインがほしいとか会わせてほしいとか、その手の電話が多くて本物ですか?と聞かれて、更に新手の詐欺グループかと聞かれたのも初めてだったもので』本当におかしいようで笑いがこみあげていた。
『本当にすいません。実は頂いたお品物も返品出来るように綺麗に箱に戻してあります。こんなドラマでありそうな事が現実なんて到底信じられなくて!ましてや、応援してる俳優さんからプレゼントや手紙なんて私の中ではありえなくて!本当に本当にすいません』恥しさと信じられなかった情けなさに涙が出そうだった。星さんが言った
『逆に変なお願いでもされるんじゃないかってちょっと不安でした。
でも、お礼状頂いた時もそうでしたがお話しさせて頂いて山田さんは良い方で大丈夫な人だと確信しました。きっと、◯◯も同じように思ったんだと思いますよ』彼女は言った。
“このマネージャーにしてこの俳優ありだな!”私はこの二人を疑った事を深く深く反省をした。
『お忙しいところ本当にありがとうございました。プレゼントは大事に使わせて頂きます。今度は星さんだけでも日本にお越しの際は是非お立ち寄り下さい。大変なお仕事なので仕事以外で愚痴の一つでも話せる場所としていつでも聞きますよ!聞く事は出来ますので』と私が言うと
『あ!私は日本ですよ!彼が来日した時だけ通訳兼アシスタントをしてます。なのでお休みの日にでも是非お邪魔させて下さい!愚痴なら山ほどあるので聞いてください!』彼女は笑顔で答えた。
『大したお構いは出来ませんがいつでもいらして下さい。今日は本当にすいませんでした。ありがとうございました』
私は電話を切った。
いつの間にか2階から降りてきた息子が言った
『だれ?』
『あ〜!聞いて聞いて!手紙の俳優さんもマネージャーさんも詐欺師じゃなくて本物だったよ!やばいよ!どうする?』私が話すと
『どうするって?母さ〜、まさかだけど詐欺師ですか?とか聞いてないよね?』
『え?聞いたよ!そしたら本物だって。詐欺師じゃないですよ!って言ってた。超良い人だったよ。笑われたけどね』私は笑顔で答えた。
『母さ〜。良く考えて。もし詐欺師だったとしてね、詐欺師に詐欺師ですかって聞いて詐欺師です!って答えると思う?まっ、今回は詐欺師じゃないとは思うけど良く考えて話した方が良いよ!相変わらずトンチンカンだよね』苦笑しながら息子が言った。”確かに!“と私は心の中で思い反省した。
『だから、母は皆から天然とかリンゴ星から来た宇宙人とか言われるんだよ!』言いたい放題だ。
確かに職場でも家族にも友人にも、自分は全く思ってないが“天然だよね~”と言われる事もある。息子が言っていた”“リンゴ星から来た宇宙人”も前に家族でやった天然度テストで出た結果だ。毎回取りたくはないが95%以上天然の高得点を叩き出していた。でも長男は言ってくれている
『母はそのままで良いんだよ!笑われるけど、母がいれば皆が笑顔になってその場が和むでしょ?オーガニックな天然なんだよ!』
『母、野菜じゃないし!』
『そう言うとこ!』と、皆で笑って話した事もあった。でも、天然と言われるとどこかムカつくのは否めない。
そんな事を考えているうちに、ついさっき迄100%信じていたお二人がまたまた85%にダウンしてさまっている事が残念に思えてしまうのでした。
そしてソファに座る息子の後ろ姿を見て
”母は天然でもないし、リンゴ星から来た宇宙人でもない!普通だ〜!“
と、世界の中心で叫びたくなった。




