ライバル?それとも…?
自宅の前には記者らしき人達はいなくなっていた。”テレビの力は素晴らしいな!“などと感心していると、アッという間に約束のレストランに到着した。外観はちょっと古くなった洋館と言う感じで、高級感が漂っていた。“良かった〜!私もともも短パンTシャツじゃなくて”と思ったが、お金持ちの方からしたら今日の服装も同じようなものだな!とも思ったりもした。中に入ると受付けらしきものがあり、男性が部屋に案内してくれた。イタリアンと言うのでサイゼリアな感じのラフなものを想像していたがフランス料理店風で私達親子は少し緊張した。奥の部屋に入るとキム社長ととても美人な女性が座っていた。キム社長は私達を見ると立ち上りドアの前まで来て笑顔で挨拶をした。そしてジオンさんと私の椅子を引いて席に誘導してくれた。余談だが、韓国の男性は女性に対して本当にジェントルマンの方が多い気がする。ヒョンさんもそうだが、車のドアを開け締めしてくれたり、椅子を引いて座らせてくれたり、ドアの開け締めをしてくれて必ず先に通してくれる。前にも思ったがそれを皆自然にやるのは、当たり前に育って来たからかもしれない。話は戻る。キム社長がジオンさんと私と息子を席に誘導してくれてる間にヒョンさんはその美人な女性とハグをして親しそうに立ち話をしていた。何とも絵になる光景にヤキモチを妬く訳でもなくただ羨ましいと思って見ていた。全員が席に着くとキム社長が女性を紹介してくれた。『チョン・ソヨンです』と彼女は日本語で言った。そしてジオンさんに小さく手を振った。ジオンさんが『彼女日本語話せるの。女優さん。お姉さん知らない?』と聞かれて彼女をジッと見つめると確かにどこかで見た気がした。それにしても美人だ!肌は透き通るように白く、痩せていて、指は長く爪もちゃんと綺麗にネイルがしてあった。私と言ったらズングリムックリな体型におまけに手までズングリムックリ!爪は短く切りそろえてあり、間違っても綺麗な指とは程遠かった!私はつい自分の手をテーブルの下に隠した。横を見ると息子はニコニコしながらソヨンさんを見ていた。”出たよ!ニコニコ星人!“などと思いながら前を向いた。まずはシャンパンとジュースが運ばれて来て皆で乾杯をして、食事は始まった。キム社長が『기자회견 어땠어?(記者会見はどうでした?)』と韓国語で言ってソヨンさんが通訳をした。私は『유석이라고 생각했습니다. 하지만 영웅은 그만해주세요!(流石だと思いました。でもヒーローはやめて下さい!)』と言った。キム社長は笑って『いやいや!本心を言ったんですよ』と韓国語で言った。ソヨンさんが私に『韓国語話せるんですね!』と少し驚いて聞いた。私は『まだまだ勉強中で、少しだけは話せるようになりましたが、皆さんが普通に話しているのはなかなか聞き取れなくて!ゆっくり話して頂ければ何とか…』と笑顔で伝えた。そこへジオンさんが『ともも少し韓国語話せるんだよね?』と笑いながら息子に言うと『はい!カムサハムニダ~!アニョハセヨ~!チャルモッケスムニダ〜!サランヘヨ〜!ペゴパ〜!』と自信満々に言った。全員が笑った!キム社長が『배고파~(お腹すいた〜)』と息子のマネをして又皆が吹き出した。すると料理が運ばれてきた。ジオンさんが息子の世話をしてくれていたので、ちょっと助かった。ヒョンさんは私の手を気遣ってくれて、料理を取ってくれていた。そんな時に視線を感じ前を向くと笑顔のキム社長とシリアスな顔をしたソヨンさんが私達をジッと見ていた。私は『大丈夫よ!ありがとう!ヒョンさんも食べて!』と言ってヒョンさんも食べるように促した。キム社長が思い出したようにソヨンさんに言った。『ミキさんはヒョンの婚約者なんだよ。公にはしてないからここだけに留めておいてね』と伝えた。ソヨンさんはかなり驚いて『お兄さん!本当の話し?冗談だよね?』とヒョンさんに韓国語で聞いた。ヒョンさんは『何で?本当だよ!だけどまだ言わないでね』と笑顔で言った。私は“冗談にしか聞こえないよね〜”と思うと同時に”あ~ん!ソヨンさん、もしかしてヒョンさんの事好き?“と女の勘が働いた。そしてジオンさんが韓国語で『ソヨンさん。まだ、息子さん達は結婚の事知らないから、彼にわからないようにお願いします』と付け加えた。息子を見ると、狂ったように食べていて全然話しを聞いていないようなので、少し安心した。するとソヨンさんがトイレに行くと席を外した。私はジオンさんに通訳をお願いした。『キム社長。もしかして、ソヨンさんはヒョンさんの事が好きなんじゃないんですか?』と聞いた。キム社長は『そうだよ。だから、ここに通訳かねて読んだんだ。あきらめさせるためにね!』と韓国語で言ってウインクした。私は驚いてヒョンさんを見ると彼も私を見て頷いた。“え〜!知ってたの?”と思い言った。『でも、それは彼女が可哀想だし、私が相手だと知ったら尚更あきらめないんじゃないですか?どお見ても彼女美人だし、お似合いだし。』と私は言った。ジオンさんが通訳をした後にキム社長は『彼女昔からヒョンの事が好きで、少し付き合った事もあったかな?プロポーズもされたんだったよね!でも、直ぐに別れてそれでも猛アタックしてたんだけどヒョンはずっと断わり続けてたんだよ!それで今回いい機会だからって二人で話したんだ。ごめんね』と私に言った。”あっ!インタビュー受けてた人だ!“と突然思い出して、『もしかして、この前テレビでインタビュー受けてた方?』とジオンさんに聞くと頷いた。『えっ?ジオンさんも知ってたの?』と聞くと頷いて『お姉さんごめんね!知らないのはお姉さんとともだけ!』と私の耳元で言った。するとソヨンさんが戻って来た。そして私に『ミキさん!失礼ですがお幾つですか?』と席に座るなりいきなり聞いた。『52です』と正直に答えた。ソヨンさんは『え〜!私の叔母と同じですね!』と笑った。私は“お〜!歳で攻めてきたのね!”と何だか面白くなってきたな!なんて思っていた。するとキム社長が韓国語で『僕と同じ歳だよ!ヒョンがいなかったら、僕がアタックしてたな!』と笑って言うと、ヒョンさんが『やめて下さいよ!彼女は僕の大切な人ですから!飲み友達なら許しますけど…もちろん僕も一緒に飲みますけどね!』と皆で笑ったが彼女だけは真顔だった。するとソヨンさんは『キム社長もお兄さんもミキさんのどこがそんなに魅力的なの?』と聞いた。キム社長とヒョンさんはお互いに顔を見合わせてヒョンさんが言った。『どこって言えないかな!ただ、彼女といると自分が自分でいられるんだよ!そんな僕を包んでくれて。上手く言えないけど、彼女がいない事は考えられないくらい愛してるよ!』と笑顔で言った。ジオンさんは私の耳元で通訳してくれていたが、途中で顔が熱くなるぐらい恥ずかしかった。キム社長も『そうなんだよね!わかるよ!彼女といると素の自分でいられると言うか、普通で良いんだなって感じるんだよね!誰にでも優しいしね』と言って私に向かって笑顔で言った。ソヨンさんは何か納得出来ないようで、私に『離婚されてるんですよね?いつされたんですか?お子さんは何人いるんですか?』と、何だかお姑さんに質問されてる気持ちになった。私は笑顔で『離婚したのは14年ぐらい前ですかね?子供は息子が3人で25,22,16です。そっちで食べてるのが3番目です』と言った。キム社長はソジンさんに通訳をするように言ったが、彼女はなぜかそれどころではないように考えていた。ジオンさんはそれを察してか韓国語でキム社長に通訳した。その間も料理が運ばれて来ていて、私は息子に全部食べられないかなどそんな心配をしていた。私がヒョンさんに『食べても良い?』と韓国語で聞くと、『どんどん食べて!ワインもまだあるから!』とキム社長が私にワインを注ぐ仕草をしたので私は『ありがとうございます』と空になったグラスを出した。ソヨンさんもグラスに残っていたワインを一気に飲み干した。そして『お兄さん、ワイン下さい』とヒョンさんにグラスを出してヒョンさんがワインを注いであげた。『ありがとう』とソヨンさんは満面の笑顔で言った。そんなソヨンさんを見て私は何だかソヨンさんが可愛いく思い笑顔で見ていた。その後も私のお皿が空きそうになると、ヒョンさんが気にしてくれて皿に料理をよそってくれて、それを見てソヨンさんがヒョンさんに何かをお願いした。私はヒョンさんに『ヒョンさんも私の事は気にしないで良いから、食べて飲んでね』と韓国語で伝えて彼の空になったワインを注いでキム社長のワインも注いだ。するとジオンさんが『お姉さん!私も〜』と空のグラスを出して来たので私は笑顔でワインを注いだ。私はこの変な空気を払拭する為に策を考えていた。




