キャンプ場整備作業員のボヤキ
「「非」日常」を楽しむキャンプは「「非」常識」を行う場所ではありません。
私は山口興業と言う建設会社に勤めている畑中宝26歳だ。
今日は**市による入札で得た**市森林公園の無料キャンプ場の整備に来ている、ここ昨今のキャンプブームによりキャンプ場の数と範囲が手狭になってきたので**市の森林公園のキャンプ場を本来のスペースまで整備して広げる事になったのだ。
キャンプブームになる前は4月上旬から10月下旬までの期間で1か月に5~6組しか利用者がいなかったのでキャンプ場本来のスペースの3分の1しか整備していなかった。
で、今シーズンからはキャンプスペースを全面整備しようとなって私の会社が入札を引き当てた訳である。
組長
「じゃあ~、野上と武とあーさんは駐車場の方から、俺とツッチーと三上と東郷と浩二は林間の方からやるぞ」
組長の言う「あーさん」とは私の事だ、何故「あーさん」かと言うと、畑中宝を平仮名とアルファベットにすると「はたなかたから」「HATANAKATAKARA」と全てが「*あ」なので組長からは「あーさん」と呼ばれているのだ。
草地に入って直ぐの所では所々に使用済みのコンドームが落ちている、まぁ~これは何処の公園でも落ちている物なので驚きもしない。
あーさん
「数から言って10人分くらいかな」
ここに捨てられたコンドームの中身が捨てられる事無く産まれていれば少しは日本の少子化にブレーキを掛けられると言うのにな。
あーさん
「でも、子供を育てられないような環境を改善できない政府にも責任はあるかぁ~」
更に進むと、今度はボロボロの白く固まった物が落ちていたりするが、それは紙でテッシュペーパーだ、白いままの物は主に女性が用足しに使った物、紙に茶色く色が付いている物は「大」で使った物だ。
当然、「大」も落ちている。
無料キャンプ場の利用期間以外ではトイレは入口が閉鎖されて使えないものだから、草場の影に隠れて用を済ませる人がいるのだ・・・・がっ!。
あーさん
「ここから500メートル、森林公園入口交差点の角にコンビニがあるんだがなぁ~」
恐らく、ここで用を足した人は「間に合わないからここで用を足したのか」それとも「ここで用を足す」事に愉悦感を得ているのだろうか?。
そこから更に進むと笹藪になる。
丈が120センチはある笹藪を刈り払って更に進んで行くと不自然に枯れ草がまとまって置いてある。
広さ的には3メートルX3メートルくらいだ。
あーさん
「ああぁ~、ここでキャンプした奴がいるな」
人の少ない所でキャンプがしたいからと言って整備されていない草地の奥深くに入り込み草を刈ってからキャンプをする人がいるのだ。
あーさん
「自己責任とか言って自己中心的なキャンプは危険なんだがなぁ~」
草地の奥深くに入り込んで草を刈ってキャンプをする、一見恰好良さそうに見えるがそんな所で火器を扱って枯れ草に燃え移ったりしたら瞬く間に四方を火に囲まれるから危険なのである。
あーさん
「しかも直火してやがる」
自殺志願者なのだろうか?、ただそれだけなら良いが山火事でも起こしたら下手すりゃ家族どころか親族一同を路頭に迷わせる事になるんだがなぁ~。
あーさん
「まぁ~、そうならないようにする為に今俺達が整備作業をするんだがな」
しかし、それでも直火は良く無い、草を刈り払うとそこだけが黒く残り異様な光景なるからだ。
あーさん
「こうゆう所は細かく細断した枯れ草を撒いて焦げ目を隠して置いとかんとなっ」
これは本来の作業手順に含まれていないから環境美化として個人の判断で行っておこう。
一方、林間の方で作業をしている組長の班では。
キィン!!。
三上
「あっ!」
ブスっ。
浩二
「うっ!・・・・・ううぅ」
何かが起きたようだ?。
組長
「どうしたっ?」
うずくまる浩二に近づく組長。
組長
「こっ、これは!?」
三上
「すみません、・・・すみません組長、草の中に金属片があったみたいで・・・」
三上が刈り払い機で草を刈っている最中に金属を弾き飛ばしてしまいそれが浩二の太ももに刺さったのだ。
組長
「解った、それよりも・・・東郷は車で浩二を病院に連れて行ってくれ、三上も同行しろ」
東郷
「解りました」
三上
「は、はい」
騒ぎを聞きつけたあーさんの班の人達が近づいてきた。
あーさん
「何があったんだっ?」
組長
「浩二の太ももに金属が刺さったんだ」
ツッチー
「これが刺さったんだ」
あーさん
「これは・・・曲がったペグだな」
組長
「たまにあるんだよなぁ~」
あーさん
「うん~!」
組長
「林間でテントを張る為にペグを打ち込んだが地中にある木の根に突き当たりその後も無理して更に打ち込んでペグを曲げてしまい、そのペグを捨てていったって・・・・物だな」
あーさん
「まるで凶器だな?」
組長
「ああ、皆も気を付けて作業を続けてくれ」
あーさん
「解りました」
その後も林間の周辺では曲がったペグが4~5本見つかったらしい、ペグはどれも太さ3~4ミリで先端が尖っていない物で、主にテントの付属品のペグだ。
あーさん
「値段の高い別売りのペグと違い付属品のペグは手でも簡単に曲がる柔な物が多いからなぁ~」
野上
「しかも、持ち帰らないで捨てていくなんてなぁ」
武
「この曲がったペグって「燃えないゴミ」で処分出来るんですよね?」
あーさん
「大概の自治体では「燃えるゴミ」だけど、先端が尖っている物に関しては人が傷つかないようにしてから捨てるように促す所もあると聞いたな」
武
「尖った針金みたいな物って凶器になりますもんね」
野上
「怖いなぁ~」
夕方、作業員達は作業を終えて駐車場に集まった。
ツッチー
「燃えないゴミが13袋、燃えるゴミが4袋、その他の粗大ゴミが軽トラ2台分ありました」
組長
「お・・・多いな?!」
ツッチー
「ほとんどが燃えないゴミの金属類ですね、網とかトングとかペグとか空き缶とか・・・」
野上
「BBQコンロが3台もありましたね」
武
「草むらの中にテント1式捨てられていたのには凄い驚きでした!」
組長
「確か・・・ワンタッチ式の・・・傘?・・・みたいなテントだったな!?」
あーさん
「はい、扱いが悪かったのか骨組みが破損していましたね」
ツッチー
「持ち帰って処分するのが面倒だったんでしょう」
組長
「非常識だなぁ~」
あーさん
「まぁ~そんな世の中なんでしょう?」
組長
「せちがないな~」
野上
「あと~、松の木の皮が剥がれている所がありました、結構高い位置なのでハンモックをロープで設置したんじゃないんですかね?」
ハンモックの設置は木にタオルのような物を巻いてからロープを括り付けるか
、帯ベルトを木に括り付けるかして木の表面の保護に気を使うようにしましょう。
あーさん
「とりあえず今年度のキャンプ場整備は終わったなぁ、来年度の整備の時にはゴミが無ければ良いんだけどなぁ~」
ゴミ置き場の無いキャンプ場を利用した時はゴミは持ち帰りましょう。
終わり
今回は実例をモデルに大げさに表現して書きました。