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己に勝つ
「何もかも失った…」
「何もかも終わった…」
「もうどうすることも出来ない所まで落ちた」
かつては王国の心優しい王子だったが帝国との戦争に破れ何の気紛れかそれとも心の快楽のために生かされているのか捕らえられ牢の中に入れられ続けている。
「なぜあの時皆と一緒に戦い死ねなかったのか」
いまの王子の中には過去しか考えられない程に後悔が溢れ出していた。
ふとその時声が聞こえた
『己の全てを奪ったのは何だ』
後悔しか考えられないはずの王子になぜかその声は響いた
「帝国…」
『分かっているならばなぜ立ち向かわない』
「もういいんだもう苦しい思いはしたくない」
『これではお前を生かすために戦った者達が哀れだな』
「皆の侮辱は許さない」
『そうかお前は同胞達の侮辱が許せないか…
笑わせるな!
全てを諦めているお前に皆の願いを叶えようとしないお前に皆を庇護する資格などない』
「願い…」
王子は深く考える皆が私に国王になって欲しいと言ってくれていたのは思い出した
「国王になることはもう叶わない」
『誰が国王なれなどと言った』