4/5
第四章 大山鳴動して狼一匹
檻の中から見えた機械に私は入れられた。そして、しばらくすると、すぐに出された。
「条件が完璧にそろっていますね。彼なら新型に変わられるかも...ブツブツ」
その瞬間、私は確信した。
私もトラふぁるさんのように、人狼に変えられてしまうのだと。
恐ろしい。人狼は人を喰らって生きるという。私はそうはなりたくない。たくさんの命を奪う人狼は、人間の道徳心の敵である。
ふと、そこに鍵が落ちてあるのを見つける。すぐさまそれを盗る。手の届く位置に鍵が落ちていたのは不幸中の幸いであった。
その夜、その人狼がいなくなった時、檻を開け、外に出る。
トラふぁるさんを元に戻す方法はないのか、あるいは...
これは...?
「‟研究記録日誌"?」
ガタッ
奥で音がした。もうすぐこっちに来るかもしれない。解き明かすことより、脱出する方が優先的だ。
急ぎ出て、とにかく走る。
気付けば、もう家まで帰ってきている。
思ったよりも、何もなく、逃げてこれた。
奴は私のことを追ってくるのか?
“条件がすべてそろっている”と言っていた...ということは