第三章 被害者
「トラふぁる...さん...?」
会話を試みるが、その腕は、もう振り下ろし始めていた。
「まちなさい。」
その声と共に、トラふぁるさんの腕が止まる。
「やはり、その男..."全ての条件が満たされている"。せっかくです、それも実験材料にしましょう。」
"実験材料"?何にせよ、生かしてはくれる様子で。
できる限り長く生きた方が得でしょう。実験が何かはわかりませんが、死ぬよりかは。
ガッ!
突然の鈍い音と共に、意識が奪われる。
目を覚ますと、そこは檻の中だった。なんとか周りを見て、いざ、脱出する方法を探し出していると、
何か機械のような物を見つける。電車一両分ほどはある、大きな機械は、赤く塗られており、白文字でアルファベットが四つ書かれていた。
「貴方はしばらくモルモットです。一日一食はあげるので、あまりエネルギーを使いすぎないように、生きながらえて下さいね。」
そういってお盆を渡される。
白い飯に味噌汁、白身魚のフライに卵豆腐、さらには緑茶までセット。豪華すぎやしないか。
「あの、具体的にこれから私はどうなるんです?」
そう聞いてみる。
「貴方はこれから人狼になるんです。人狼になれば、超人的な力を手に入れられるでしょう。まあ、人を喰わなきゃ生きられないですが。」
私は、少し寒気を感じた。