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第二章 知らぬが仏
トラふぁるさんが狐山神社に向かう。私がそれを後から追う。
狐山神社の裏に入って行く。あそこに何かあるのか知らないですが、なにか、猫でも拾ったんでしょうか?
柱の陰から見ていると、突然、
トラふぁるさんが、メキメキと音を上げて大きくなり、体毛が伸びていく。そして、まるで漫画やアニメに出てくるような、"人狼"の姿になった。
驚いて声を出せないでいると、もう1人、いやもう1体?人狼が、林の奥から出てくる。
「ようやくその姿になるのが安定したようですね。」
林から出てきた方の人狼がそう言う。
「グガァァァ...グルガァァァ」
トラふぁるさんはというと、何を言っているのかほとんど聞き取れない。ただ吠えているだけとしか。
すると、突然、ぱっと2体とも、こちらを向く、急いで隠れる。
(見つかったでしょうか...トラふぁるさんは...私は...)
心が落ち着かない。ゆっくり、ゆっくり頭を回そう。そうしていると、
「グガァァァァァ」
その声が、耳元で聞こえた。ふと後ろをふり返る。
そこには...人狼の姿になった、トラふぁるさんがいた。