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歪んだ愛  作者: 時計塔の翁
第一章 出会い。二人の視点
8/48

彼女さん視点4

 ◇◆◇◆


 彼と出会って1ヶ月

 最終的に演劇部に入った1年生は10人。その中に私も含まれています。

 この1ヶ月は私にとってとにかくつらかったです。

 裏方志望でも基礎練習は全員で参加させられるのが肉体的に辛かったです。

 体力と腹筋を鍛えるための筋トレと、体をほぐす柔軟体操。腹式呼吸を使った発声練習。この3セットを重点的にやらされました。

 もともと体力は少ないし筋力なんて平均以下。体もガチガチなので思わず叫んでしまう。家族以外と話すことがないので声も小さい。

 でも一番つらいのはこれを体育館の舞台上で他の運動部に見られながら行うことです。

 だから私は目立たないように舞台袖のほうになるべくいるようにしていました。


 それでも何とか部活を辞めず1ヶ月続けることができましたがもうヘトヘト。

 そんな時に部長はいつものテンションで


「オーディションをします!」


 と発表してきました。

 私たちは最初は何を言っているのかわかりませんでしたが、副部長の補足説明を聞いて理解しました。

 私は先輩から台本を受け取り内容を見ました。

 好きな女の子が事故で死んでしまった男子高校生の前に彼女の霊が現れる。

 最初は彼女と一緒にこの世の未練を晴らしていき成仏させよう奮闘するけど彼女が成仏して永遠に離れてしまうことに耐えられなくなった彼が狂気に侵されて終わる。

 最初はただの青春ラブストーリーかと思いきや、最後はサイコホラーで終わる高校演劇とは思えない台本に私は困惑しました。

 けれど他の方々はなぜかテンション高めで自分がどの役をやりたいか楽しそうに話していました。

 それを私は少し離れたところで眺めていました。

 私の瞳に映る彼らは生き生きとして見えました。みんな輝いて見えました。

 対する私はなんて暗いんだろう。

 いつも舞台袖に隠れている私にとって彼らはまぶしすぎました。


 あの日までそう思っていました。

 ......そう、役職が決まるあの日まで。


次回「彼氏くん視点4」

更新日

3/30(火)の深夜予定

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