真奈美10
すみません、更新日一日遅れてしまいました。
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目が覚めると知らない天井だった。
なんて使い古された表現ができればよかったのだが、あいにく俺はうつぶせで寝るタイプなので天井は見えなかった。
ベットギリギリの位置に体があることから(右腕は床に向かってブランと垂れている)寝ている時に寝返りを打ったのだろう。
周りがカーテンで仕切られているからここは保健室だ。
保健室というところはどうも昔から好きになれない。
なぜと聞かれれば納得できる説明はできないのだが、どうも保健室という場にいると自分の中に罪悪感がふつふつと湧き上がってくるのだ。
「......よし、見つかる前に帰ろう」
かかっていた掛け布団をはねのけベットから脱出する。
立ち上がって体をほぐす。さっきまで感じていた倦怠感や頭痛はだいぶ良くなっていた。
だが喉がすごく乾いている。
シャッ!
カーテンを開けてそのまま帰ろうとしたとき目の前に保険の先生がいた。
「「......あ 」」
厄介な人に見つかってしまった。
この保健室の先生はこの学校でもある意味有名だ。
容姿端麗とはこの先生のことをいうのだろう。
若くスタイルのいい美人、保健室の女神と呼ばれるこの先生にガチ恋する男子生徒も多い。
だが俺はこの人が苦手だ。
なんというかこの人の目が、その視線が俺に向けられた時、俺の背筋に嫌な汗が流れるのだ。
「あら君、えーと菊池朗君だったっけ? おはよう。よく眠れた?」
「え、えぇ。おかげさまで」
隙をついて逃げられないものかと思ったが、なぜかこの先生からは逃げられないような気がする。
「とりあえ体温をはかろうか。そこの椅子に座って」
案内されたとおり椅子に腰を掛け体温計を脇にさす。
測り終わるまでのあいだ先生から事の顛末を説明された。
思った通り俺は高熱で倒れこんだ。
鼻血を吐血だと勘違いした教職員が大騒ぎして一時パニックが起きたそうだ。
「まぁすぐ鼻血ってわかったんだけど、もうちょっと気づくのが遅かったら救急車呼ばれるとこだったよw そのあと君を体育の先生がここに運んできたんだ。一応様子を見てから病院に連絡するかどうかを判断するためにね。あ、音鳴ってるよ」
体温計がピピピっというあの音を立てて知らせる。
服の中から取り出してみると 37.1 と表示されている。
「あぁ、まだちょっと熱があるね。どうする? 親御さんに連絡入れる?」
「いえ、大丈夫です。1人で帰れますから早退させてください」
そういうと保健室の先生は面白そうに笑った。
「ふふふ、もう授業は終わってるよ」
次回「真奈美11」
更新予定日 2022/02/13(予定)
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