真奈美8
◆◇◆◇
「自分が何をしたのかわかってるのか!」
どうしてこうなってしまったんだ?
1限目の授業中、俺は職員室に呼び出されていた。
目の前にいる俺の担任教師が拳を机に叩きつけながら俺を問い詰める。
そんなに怒鳴られると頭痛に響くからやめてほしい。
「何のことで怒っているのか一度説明をいただけるとありがたいのですが?」
さて、この状況の原因はあれかその取り巻きだろう。
あの時あの場に他の目撃者がいるような感じはしなかったし、いや、校舎の窓から下を覗き込めば見られるかもしれないが、果たして俺だと分かるものだろうか?
教師に告げ口したのが前者の場合、俺がすべて悪いように説明されているだろう。
後者の場合、俺一人が暴れまわっていた、またはあいつらを虐めていたように見られ、そう報告されているだろう。
(......後者なら弁解の余地ありだな。だがこの怒りよう、前者だな。そうなるとこの教師は俺の言葉に耳を傾けるだろうか? まぁどちらにしろ俺が不利だな)
そんなことを考えていると目の前の教師は顔を赤くして俺に怒鳴る。
「何をとぼけているんだお前は! お前が今朝山本達に暴力を振るったんだろうが!」
「山本? 山本~? う~ん、だれだっけ?」
まぁこの流れだとあの4人のうちの誰かだとは思うのだが、どうも聞いたことがある名前を思い出すことができない。
というか思考がいつもよりまとまらない。
「まだふざけてるか!」
ダン!!!!!!
再度拳をたたきつける教師。
おそらくそれがトリガーになったのか、俺は山本の顔を思い出すことに成功した。
パチン(指を鳴らす音)
「あぁ‼ 山本‼ えーと、あいつだ。そう‼ 生徒会長の‼」
興奮したのか教員の怒鳴り声には劣るがそこそこ大きな声が口から出てしまう。
そして熱に侵された俺の頭は冷静さを奪われる。
「そうそう‼ あいつか‼ 男のほうの‼ どうりであの時どこかで見た顔だとは思ったんだ‼ あれ? 下の名前なんだっけ? まぁどうでもいいか」
ようやく思い出すことができて俺は満足した。
突然大声を出した俺に驚いたのか、目の前の教師を含む職員室にいる教職員の視線が俺に注がれる。
しかし俺はそんなことお構いなしに目の前の教師に尋ねる。
「それで? あの生徒会長と取り巻きどもにどういったことを吹き込まれたんですか?」
まさかこんなテンションで質問してくるとは思わなかったから、教師は回答の瞬間が遅れる。
だが俺は教師か何を言おうとするのを待つ前に俺はさっさと自分でしゃべり始めた。
次回「真奈美9」
投稿予定日2022/02/09
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