親の思いは必ずしも子供に伝わるとは限らない
お久しぶりです
この話より前の話を1部分編集しなおしました。
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一葉の部屋 深夜
風呂から出た俺は一葉にベットで組み伏せられ一葉の望むがままにされた。
拘束されようと首を絞められようと全身に歯形を残されようと俺はかまわない。
だが下に彼女の両親がいるので声を抑えるのが辛かった。
一葉が満足して眠りについた時にはもうあたりは静まり返っている時間帯だった。
完全に眠っているのを確認し、俺も彼女のそばに横たわる。
静かに眠る彼女は安堵の表情を浮かべている。
さっきまでの荒々しさはなく今はおとなしい女の子だ。
(...かわいそうに。家でも学校でも自分を隠してキャラを偽って)
寝顔を見つめながら彼女の頬をそっとなぞり瞼にたまった涙をそっとすくい自身の口に運ぶ。
塩辛い味が俺の味覚を支配する。
「俺が詩人だったらこの味を悲しみの味とでも表現するんだろうが、あいにく涙の味は塩気しか感じないな。」
一葉を起こさないようにゆっくり起き上がりベットから立ち上がる。
右手に着けられた手錠を枕元に置かれたヘアピンで素早く開け体残りをほぐす。
「よく寝てらっしゃる。関節が鳴る音に反応しないのはそれだけ疲れていたからなのか」
…それとも寝たふりでもしてるのかな?…
悪い笑みを浮かべながら一葉の耳元でそっと囁く。
一葉野体が一瞬ビクッと反応したのみて俺は足元に転がっているペットボトルを手に取り中身が無いことを確認する。
結局シャワーの意味がなかったなと思いながら制服の袖に腕を通す。
「少し喉が渇いたから水を飲みに行ってくるよ。」
小声で囁いた後、静かにドアを開ける。
足音を立てないように階段を降り台所へ向かおうとした。しかし結局台所にはたどり着けなかった。
(まずいな、一葉の両親まだ起きてるな。)
リビングで酒を飲んでいるのだろう、二階からはわからなかったがとびら越しから二人の上機嫌なしゃべり声が聞こえる。
リビングと台所はつながっているので当然入っていくわけにはいかない。
水をあきらめて戻ろうかと思って階段を上りなおそうとすると
「一葉は元気に育ってくれてよかったよ」
一葉の父親の声が聞こえた。
「僕は情けない父親だから仕事ばかりで自分の娘にあまり接してあげれなかったけど、立派に育ってくれた。」
「そんなことないわよ、あなたはいい父親よ。」
「そうかな、今日もあの子とは会話ができなかった。」
「そんなものよ、一葉も年頃な女の子なんですから。そんな時期もあるわよ。」
「そうか、思春期の父親ほどつらいものはないね」
「そんなものよ。それにあの子ももう子供じゃないんだから、そっとしておいた方がいいのよ。」
「それもそうだね。」
思わず聞き耳を立ててしまった。
一葉は両親を苦手としているがおそらく彼女の母親の言う思春期なのかもしれない。
別に両親が毒親というわけでもないし、一葉もそれはわかっている。
しかしそれが彼女を苦しめていることにこの二人は気が付いていないし、彼女も両親の気持ちがうまく伝わっていない。
(親も気持ち子知らず。この気持ち親知らず。か)
何とも言えない気持ちになり俺は一葉の待つ2階へまた戻ることにした。
俺の背中から2人分の笑い声がかすかに聞こえてきた。
次回「題名未定」
更新日「未定」
......不定期ですみません