一葉視点2
前回の日付けを間違えていました。
申し訳ございません。
◆◇◆◇
部室に入るとキクちゃんと池垣君がいた。
池垣君と何か楽しい話題を話していたのか、珍しく表情が柔らかい。
......ズルイ。ズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイズルイ!!
目の前の後輩に嫉妬を覚える。
その顔は私に向けられるはずなのに。
彼は私のものなのに。
私のほうがずっと長く彼を見てきたのに。
なんで出会って1ヶ月しかたってない後輩君とそんなに楽しそうにおしゃべりしてるの?
やり場のない嫉妬と怒りで視界が歪んでいく。
私はふらふらと無意識にキクちゃんに近づく。
3年間着続けて襟のよれきったシャツから露出する首元がおいしそう。
そういえば昨日の夜から何も食べていないんだった。
「......お腹すいた。」
ガブッ!!
力いっぱいキクちゃんを抱きしめて、キクちゃんの首元にかみついた。
跡ができる程度の力加減を意識して離れない。離れたくない。
キクちゃんの匂いがする。
キクちゃんの味がする。
キクちゃんの息遣いが聞こえる。
キクちゃんの鼓動を感じる。
私の思いが伝わったのかキクちゃんも私の体を抱きしめ返してくれる。
優しく私の頭をなでて、耳元で囁いた。
「一葉。後輩が見てるよ。少し落ち着け。な?」
ごめんねキクちゃん。もう少し。あとちょっとだけこうさせて。
あなたで満たしたいの。
だから少し我慢して。
もう少しだけこうさせてね。
永遠のような一瞬を過ごし、私はゆっくり首元から離れる。
私の口元から垂れる唾液が糸を引き、キクちゃんのシャツを濡らす。
赤くなった首元に私の歯形がクッキリ残る。
それを見てやっと私は満たされた。
後輩二人は状況が読み込めずに混乱している。
「はぁ。ごめんね二人とも。びっくりしたよね。」
「いつものことだからそんなに気にしないでくれ。」
......キクちゃん。それで気にしない人は多分いないよ。
ほら、何か言いたそうだもん。
「質問ある人手をあげて。」
キクちゃんをフォローするつもりでそういうと、黒鳥ちゃんが手を挙げた。
手で彼女を当てて質問を許可すると彼女の口から出た質問は意外なものだった。
「ふ、二人は、つ、付き合っているんですか!!」
「「え?そっち?」」
次回「菊池朗視点3」
更新日5/3(月)を予定しています。