菊池朗視点2
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珍しい組み合わせだな。
入ってきた二人を見て俺はそう思った。
黒鳥さんは好んで人に話しかけるタイプでは無いことはこの1ヶ月の彼女の部内での行動を見れば明白。
一葉は部員としゃべるときは異様にテンションが高い。
二人の印象はまさに陰と陽。対象の位置にいる。
その二人が一緒に登校してくるのはどんな巡り合わせだろうか。
「あれれ~?まだ二人しかいないの~?」
「あぁ。まだ35分だからな。45分くらいから来始めるだろう。」
「そっか~。」
(あ、こいつ朝飯食べずに来たな。)
一葉はおなかがすくと俺と一緒にいるときだけだが語尾を伸ばす癖がある。
ふらふらとした足取りでカバンを指定のロッカーにしまい、ゆっくり俺のほうに近づいてくる。
「......お腹すいた。」
ガブッ!!
「ッツ......」 「「!!!!」」
俺はすごい勢いで抱き着かれ、首元を甘噛みされる。
この奇行に池垣、黒鳥ペアは驚いてその場で固まる。
何か言いたそうな二人を手で制し、俺は優しく一葉野体に手を回し、頭を優しくなでる。
シャンプーのいい匂いがする。
「一葉。後輩が見てるよ。少し落ち着け。な?」
「......」
頭をなでながら俺は彼女の耳元で優しく囁く。
数秒後ゆっくりと口を首から離す。
「はぁ。ごめんね二人とも。びっくりしたよね。」
「いつものことだからそんなに気にしないでくれ。」
俺たちの説明にもならない説明に二人は納得いかない表情を浮かべる。
「質問ある人手をあげて。」
一葉の言葉に反応したのは黒鳥さんのほうだった。
正直意外だった。
どっちかというと幸一のほうが何か言いたそうな顔をしていたのに普段おとなしい彼女が真っ先に手を挙げるのは正直意外ではある。
しかしそれだけこの状況が異常であることを表しているのだろうと思うと納得する。
顔を赤くしながら黒鳥さんは口を開く。
十中八九来るであろう先ほどの行為に対する質問に身構えたが、彼女の口から出た言葉は意外なものだった。
「ふ、二人は、つ、付き合っているんですか!!」
「「え?そっち?」」
次回「一葉視点2」
更新日5/1(日)深夜を予定しています。