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歪んだ愛  作者: 時計塔の翁
プロローグ
1/48

親友視点

はじめましての方もそうでない方もよくいらっしゃいました。

少々痛いヤンデレの世界へようこそ。

  親友に彼女ができたらしい。

  嬉しそうに親友は俺に話してきた。

  相手は同じ演劇部の娘らしい。前から気にはなっていたという話はこいつから聞いてはいたがまさか彼女のほうからこいつに告白するとは意外ではあった。

 どうやら進級に合わせて告白してきたようだ。

  羨ましくはある。けれど親友の幸せに友として素直に祝福することにした。

  こいつは照れながらもありがとうといってくれた。

 

 ◇◆◇◆


  親友に彼女ができて数日。

  ほんとにお似合いのカップルだ。

  親友が彼女をわざわざ俺に紹介してきたとき俺はそう思った。

  彼女の方は親友のことをほんとに好きなようで最初のほうはしつこいぐらい親友のこと(おもに好物や親友の思い出など)を聞いてきた。

  親友が彼女にたいして少し過保護ではないかと思うことはしばしばあるが、笑い会う二人はとても初々しい。

  とりあえず今公開されている映画のチケットを二人分渡す。

  二人の邪魔をしないよう俺は以前より親友との距離を置く。


  ◇◆◇◆


  親友に彼女ができて3ヶ月。

  親友が首にキスマークを着けて登校してきた。彼女の首元にも同じくキスマークがついている。

  お熱いカップルだ。

  鞄から絆創膏を二枚取り出し、二人に渡す。

  仲がいいのはよろしいことだが少しは周りの目を気にしてほしい。

  二人は素直にそれで首元のマークを隠す。

  やれやれだ。


  ◇◆◇◆


  親友に彼女ができて半年。

  ちょくちょく奇行が目につき始める。

 初めは日に日にキスマークの数が増えていた。もう絆創膏だけでは隠せない。背中にびっしりキスマークがついているのを見たときはゾッとした。

 キスマークの次は歯型だった。これも日に日に数が増えていた。

 そのころから親友がちょくちょく学校を休むようになった。

 親友はめったに学校を休む奴ではないので心配した。帰りに何度か親友の家に行ったが、どの日もとても辛そうだった。

 げっそりした顔で一人で寝ていたいというので家には上がらず早々に帰った。

 そんなことが何度か続き、だんだん俺はお見舞いにも行かなくなった。


 ◆◇◆◇


 親友に彼女ができてちょうど1年

 進級した俺たちだが、神のいたずらか悪魔の罠なのか俺と親友はクラスが別々になり、かわりに親友の彼女と同じになる。だからといって会話をするかというと全くといってしない。

 あいかわらず二人の首元のキスマークと歯形は健在である。

 どうやらまだ二人の熱は冷めていないようだ。

 だが今年から受験も始まるから勉強も頑張ってほしいものだ。

 ・・・・・・いや、いらない心配だな。

 それよりも自分の心配をしなくては。


 ◆◇◆◇


 親友に彼女が出来て1年と3ヶ月

 親友の休む回数が以前より増えた。

 奇妙なことに親友の彼女も同じ日に学校を休んでいることに気が付いた。

 はたしてこれはただの偶然なのだろうか。

 次親友が登校してきたらそれとなく聞いてみよう。


 ◆◇◆◇


 次の日

 登校してきた親友の彼女の様子をそれとなく見る。

 別にいつもと変わらずクラスでは物静かな娘だ。

 ・・・・・・ただ一点をのぞいたら。

 腕をまくるときに偶然見てしまった。

 腕に殴られたような痣があった。

 考えたくはないが親友が?

 俺は怖くなってその日は親友に何も聞くことが出来なかった。


 ◆◇◆◇


 次の日からさらに3日後

 二人とももう3日も休んでいる。

 さすがに心配だ。

 まだ午前中だが、俺は学校を抜け出し親友の家に向かって走った。

 どうかただの風邪であって欲しいものだ。


 ◆◇◆◇


 数分後

 息を切らしながらも親友の家にたどり着く。

 玄関のチャイムを鳴らそうとして思いとどまる。

 家の中から音が聞こえる。

 人一人分の生活音などではない。

 明らかにもう一人いる。

 親友の両親は海外出張で数年前から家にいないはずだ。

 扉に顔を付け中の音を探る。

 二つの音は激しくぶつかり合い、何者かの悲鳴が聞こえた。

 これはただ事ではない。

 さいわい鍵がかかっていないので音を立てないよう中に入り込む。

 音は外で聞いたものと比べさらに大きく、激しく聞こえる。

 どうやら二階の親友の部屋にいるらしい。

 気づかれないよう階段を一段ずつあがる。

 一段上がるごとに音の鮮明さが増していく。

 親友よ、お前の身に何があったんだ。


 ◆◇◆◇


 階段6段目

 何かを殴る音と短い悲鳴が聞こえた。

 俺は思はず足を止めてしまった。

 それは親友の悲鳴ではなかった。

 あきらかに女の悲鳴。

 それも親友の彼女の悲鳴だった。

 やはり彼女はこの家にいたんだ。

 つまりもう一方の殴ったほうが俺の親友ということになる。

 信じたくなくてしばらく放心してしまった。

 もしかしたら俺の聞き間違いかもしれない。

 警察に連絡する前に自分の目で確かめたほうがいい。


 ◆◇◆◇


 二階、親友の部屋の前

 ここまで来ると部屋の中のことがいろいろわかってしまう。

 床の上で人がもがく音。二人の激しい息使い。時に含まれるうめき声。誰か、いや親友が何かを殴る音。そのたびに聞こえる彼女の短い叫び声。そしてジャラジャラと終始聞こえる鎖の音。汗のにおいとわずかに感じる血の匂い。

 間違いない。

 親友が彼女を鎖で拘束し、暴行を加えているようだ。

 あんなに優しかった男がなぜこんなことを。やめさせなければ。

 ドアノブに手をかけた俺は意を決して勢いよく扉を開け放った。

 しかし目に飛び込んできたのは俺の想像とは違う光景だった。

次回、彼氏くん視点

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