フィールドの1番
夏の大会初戦
ピッピッピー… 試合終了… 10 対 0 …
神童学園、力の差を見せつける結果となりました… 。
ザワザワザワザワ… 観客がザワつく
「お、おい… 神童学園の1番… おかしくないか…?」
「あ、あー… おかしい…
どう考えても人間離れしてる… まさか1人で10点を… 」
圧倒的な勝利を収めた神童学園はロッカールームへと戻る。
「田中、お疲れ。今日もナイス勝利だった。」
「か、監督… ちょっといいですか?」
「どうした?」
「も、もう嫌なんです… 」
「この戦術か… 」
「はい… 」
「確かに俺も、このやり方はあんまり好きじゃない… 」
「じゃあなんで!」
「負けちゃいけないんだよ… 」
「え?」
「神童学園… この肩書きがある以上、負けちゃいけないんだ」
「でも、だからってこの戦術じゃなくても… 俺らだけでも!」
「ねーねー。なに言い争ってるのー?」
「か、神鳥ワイト… !?」
「もしかして僕のこと嫌いになっちゃったー?」
神童学園… 絶対勝利で完璧無敵の名門校。
そして今年、神童学園のサッカー部には人間離れした1年、
神鳥ワイトが入部してきた。
彼が入部をしてから神童学園の戦術はおかしくなった。
その戦術とは、とにかく神鳥ワイトにボールを回す。
ただそれだけだ。でもただそれだけで勝ててしまう。
神童学園は勝ちが絶対。だからこの戦術なのだ。
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夏の大会準決勝
試合前のロッカールームにて
「なあ、神鳥。聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「はい監督、なんでしょう?」
「お前の才能は凄い。正直、現時点でもプロ以上だろう」
「ありがとうございます」
「でも俺は納得いっていない」
「何故ですか?」
「お前はそんな素晴らしい力があるのに何故、番号1にこだわるのだ?」
「え?」
「普通は、エースストライカーと呼ばれるような存在の選手は
10番や9番、最近では7番などの番号を求めたりするものだ。
俺の現役の時はそのような番号に憧れ、必死に頑張っていた。
でも何故、お前は1番なのだ?
10番も9番も7番も付けれる実力があるというのに…」
「1番だからですよ」
「え?」
「僕は日本1いや世界1いや宇宙1の存在だからですよ」
「そ、そうか…」
ゴ、ゴール… !!
神童学園、これで30点目… なんという強さでしょう…
ピッピッピー… 試合終了… 30 対 0 …
神童学園… というか神鳥ワイトの勝利と言うべきでしょうか…
神鳥ワイト、これで今大会通算100点目となりました… 。
ザワザワザワザワ… 観客がザワつく
「神鳥… ワイト… あいつ… 人間じゃない…」
「な、なんだよ… あのシュート… おかしすぎる…」
「守備のスピード… どうなってるんだ… ありえない…」
こうして決勝進出を決めた神童学園は
ロッカールームへと戻っていた。
「あ、あの監督!ちょっといいですか?」
「ん? おー、田中か。どうした? また神鳥のことか?」
「は、はい…」
「はぁ… 何度も言うが、戦術を変えるつもりはないぞ」
「い、いえ! 戦術はもう気にしてません! 勝つためなので!」
「じゃあ、何を?」
「あ、あの… 神鳥ワイトって人間ですか?」
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夏の大会決勝
「さあ、始めようか。フィールドの1番の伝説を」
ピー! 試合開始です!
王の座に君臨するのは一体、どちらのチームでしょうか!
シュッ… バコンッ!
え? えっと… ゴ、ゴール… !!!
「う、嘘だろ… なんだよ今のシュート… あんなの止められるわけ…」
神鳥ワイトが蹴ったボールは、一瞬でゴールの中へ。
「に、人間が蹴れるボールのスピードじゃねぇ…」
相手ボールのキックオフで試合が再開された。
「よーし! まだ1点だ! 取り返すぞ!」
シュイーン…! バッ!
「え? ボ、ボールが消えた…」
「お、おい! ボールはどこだ?」
相手チームは勿論、神童学園の選手ですらボールを見失う。
トントンッ
「ねーねー。ボールならここにあるよ」
「な!? い、いつの間に…」
神鳥ワイトは相手ゴールキーパーの後ろにたっていた。
そして、そこにはボールもあった。
「これ、決めちゃうね。えい」
コロコロコロコロ…
ゴ、ゴール… な、なんというゴールでしょう… まるで瞬間移動…
準決勝後のロッカールームで…
「あ、あの… 神鳥ワイトって人間ですか?」
「違う。あれは人間ではない」
「やっぱり… でも確証はあるんですか?」
「彼が… 神鳥ワイトが自分で言っていた。僕は神だと」
「か、神… そんなわけ…」
「俺も最初はそう思った。でも彼の目を見て確信した。
人間の力を超越した宇宙1の存在、それが神鳥ワイトなのだと」
ゴ、ゴール… 神鳥ワイト… 50点目…
「ほ、本当に… 神鳥ワイトは神なのか…
でもそうじゃなきゃ今の説明がつかない…」
ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール…
ゴ、ゴール… 神鳥ワイト… これで70点目…
「もう流石に確信した。神鳥ワイトは神だ」
ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール…
ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール…
ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール…
ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール…
ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール…
ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール…
ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール…
ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール… ゴール…
ゴ、ゴール… 神鳥ワイト… これで10000点目…
コンマ1秒… いや、それ以上の速さでゴールを決めています…
ピッピッピー… 試合終了… 10000 対 0 …
ちょっと信じられないですね… まるで人間と神の戦いのような…
この日、地球上に住む全人類がサッカーを辞めた。
そして神鳥ワイトは言った。
「僕は日本1いや世界1いや宇宙1の神。
そしてこの世に存在するフィールドプレーヤーの1番だ。」