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金髪少女との出会い



「おいペトラ、こいつを牢屋へぶち込んどけ」


「・・・ああ、わかった」



「はっ?(威圧)」系女子こと久遠静は絶賛囚われの身だ。



膝の皿を割られて激痛に悶えるも、無理やり歩かされて涙が止まらない。


全米が泣いたとかこういう時に使えよ。たかだがフィクションで泣いたとかこの激痛に勝るわきゃねーだろクソ。



「おい、ちゃんと歩け」


私の隣で私の首から繋がる鎖を持っている少年。ペトラとか言われてた。


私の足が遅いためか、そのペトラ君が嫌がる雑種犬を引っ張るように無造作に鎖に力を込める。


首輪をつけて鎖で繋がれ引っ張られるなんてまるで帰宅を嫌がってる犬みたいじゃないか!


私は犬じゃないと抗議の目でペトラ君を睨む。



「あっ?何見てんだ殺すぞ?」



見ただけで殺さないでほしい。


決して嫌がっているのではなく、足が死ぬほど痛いから歩くのが遅いんだよ!と犬の気持ちも少しはわかってほしい。



「おい、ここだ。さっさと入れ」



私はお尻を蹴られて犬小屋もとい牢屋へぶち込まれた。


と、そういえば私は拷問されるとかなんとかいう事実を尻を摩りながら思い出した。


・・・やばい。なんとかしないと!


ガシャン!と牢屋が閉められる。



「ま、待って!話を聞いてっ!」


「あっ?なんだよ?」



このままいけば間違いなく拷問される。それだけは阻止しないと!


見ればペトラ君は私より年下に見える。ここは年長者としてなんとか少年を説き伏せて脱出しないと!


最悪、体を使えばなんとかなるだろ。どうせ童貞だこいつは。



「・・・ねぇ?君いくつ?」


「あっ?殺すぞ?」



年を聞いただけで殺さないでほしい。



「そ、そうじゃなくてっ!わたし助かりたいの!お願い!助けてくれたらなんでもするから!」


「あっ?殺すぞ?」



なんでやねん。


どうしてこうも話が通じないのか!この年頃の子供は殺すか殺さないかの二択しかないの!?


キレる17歳ってレベルじゃねーぞ!



「私の体・・・興味ない?」



ちらっと胸元を開けてやる。こういうクソ餓鬼は言葉での説得より胸でも揉ませりゃ一発よ。


童貞の分際で女に勝てると思うなよ。



「・・・」



するとペトラ君は牢屋の鍵を開け始めた。所詮童貞だ。やっぱり胸の一揉みでイチコロよ!


鍵を開けて牢屋へ入ってくるペトラ君。胸を揉みしだきたくて必死なようだ。童貞め。とりあえずこれで牢屋からは脱出できる。



「・・・殺してやる」



どうしてそんなこと言うの?お姉さん分けが分からないよ。


ペトラ君の手にはナイフが握られている。



「そ、そんなもの持ってたら胸の感触わからないよ?危ないから床に置こうね?・・・ね?」


「うらぁぁぁッ!」


「ひえっ!」



ペトラ君が振りかぶったナイフが私の顔目掛けて振り下ろされる。



「おい!なにやってんだ!ペトラ!」


「・・・ちっ」



振り下ろされたナイフは寸での所で私の顔の前で止まっていた。



「牢屋にぶち込んどけって言ったが殺せとは言ってねーぞ?」


「ふんっ、こいつが俺を侮辱したからだ」


「たかだが女のいうことで熱くなってんじゃねーよ。そいつは俺たちが遊ぶんだ。勝手に殺すな」


「けっ、どうせ最後は始末するんだろ?今死んでも変わらねぇじゃねーかよ」


「いいからさっさと仕事に戻れ。鍵は俺が閉めておく」



フェミニズムの欠片もない会話が行われている。


命の危機を脱したようだが、死んでたほうがマシだったかもしれない。


ペトラ君達が牢屋の鍵を閉めた後、辺りは静寂につつまれた。


すると突然涙があふれてきた。さっきの恐怖とこれからの恐怖で自然と涙があふれてきた。



どうしてこんなことに・・・ちくしょう・・・あの女神めぇ・・・なんで私がこんな目に合わなきゃならないんだっ!


前世よりひどいじゃないか!拷問されるなんてっ!苦しみぬいて死ぬなんて絶対に嫌だっ!死んでもごめんだっ!


クソッ!クソッ!クソッ!



「あの、新しい人ですよね?」



泣きながら地面を叩いていた私に誰かが声をかけてくる



「・・・誰、ですか?」



私は辺りを見渡した。すると後ろの壁の方から人らしき姿が確認できた。


この牢屋は明かりが少なく気づかなかったが、どうやら私一人ではなかったらしい。



「僕はここの奴隷です。あなたもここに連れてこられたってことは奴隷なんですよね?」



そこには汚ったねぇクソみたいな色した麻布を着た金髪少女?がいた。



「ええ、そうよ?もしかして私もあなたと同じなのかしら?」



とりあえずイキっておこう



「そ、そうですよね・・・でも変わった服着てて、なんだか高そうだし。奴隷には見えないです」



はい服論破。私のセーラー服の方が圧倒的に正しいことが証明されたわけだ。


これで一つ相手より立場が上であることを認識させれたようだ。


ここは優位に立っていたかったから丁度良かったわ。服の違いを見せつけられたようね。



「それはそうでしょう?あなたとは服が違うのだから」


「えっ?そ、それは見ればわかりますけど・・・」


「あら?理解が早いわね」


「は、はぁ・・・?」



一目で服の違いを見抜けるなんてこの金髪は見る目がある。


服を論破したことによって完全に自分の立場ってのを理解したみたいだ。



「ところで・・・あなたは何奴隷なんですか?」


「何奴隷?なにかしらそれ?」



ふんっ!と鼻をならして髪をなびかせる私。



「ここの奴隷には種類があって・・・僕は身の回りのお世話のために攫われたんです」


「へぇ?大変ね?それって夜の世話も言いつけられるのかしら?」


「・・・はい、そうです」



金髪少女は伏目がちに答える。



「私はそうね?たしか拷問されるーーーってことよね?」



誰もいない牢屋の外へ視線をやる。



「誰に聞いてるんですか?っていうか拷問ってヤバイじゃないですか!最下級の奴隷の扱いですよ!?」



最下級奴隷だったのか私。



「でもなんだか高価そうな服を着ているみたいですから、もしかしてどこかのお姫様なのかなって思ってたんですけど」


「ええそうよ」



息を吐くように嘘をつく。こういう癖を本当に直したい。



「そ、そうだったんですね!すみませんっ!無礼な口を聞いてしまってっ!」



金髪少女は土下座の姿勢で頭を下げる。なんて気分がいいんでしょ。明日から直そう。



「許すわ」


「あ、ありがとうございますっ!そうですよねっ!あ、あれ?でも拷問されるって・・・」


「まぁ私は拷問されるけれど、あなたのように奴隷の身分ではなくってよ?扱いが違うって言うのかしら?だから自分の立場をわきまえた方がいいわね」



圧倒的主張。相手の立場と違うをことを示す。



「でも拷問されるんですよね?奴隷より扱いがひどいんじゃ・・・」



こいつ調子に乗って論破しに来やがった。自分がダブスタだって気づかない典型的なバカのようね。


こういう輩には・・・



「だから立場が違うって言ってるでしょ?あなたはただの奴隷。私は最下級奴隷なのよ!それはあなたが最初に言ったことでしょ!?」



「そ、そうでした!たしかに!あなたは最下級の奴隷なのでした!」



圧倒的勝利。私が最下級であることを相手に示してやったぜ。私は勝利をもぎ取ったのだ。



・・・惨め。惨めすぎる。


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