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受け継がれるバトン  作者: 伊達サキ
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今は個人保護の為あえて番号で連絡を取り合うようだ。でもそのわりには中待ち合いからはバリフルネームで呼ばれて診察室にはいるのだが…。「個人情報」と「本人確認」、どうもちぐはぐの気がした。診察室に入ると看護師さんから椅子に座るように指示され、「お父さんは?」と聞かれたので普通に「待ち合いにいます」と答えるとあたふたと呼びに行ってしました。その間も主治医らしき医者は一言もしゃべることなく、かといって、ミホの方を見るでもなくパソコンの画面から目を離さなかった。気まずい空気が流れ、なんか、ヤな感じだった。つい小山先生と比べてしまう。ああ、早くかえりたい。父が看護師さんにうながされて診察室に入って来た所で医師はやっとこちらを向き直した。「初めまして、飯島美保さんですね。わたしはミホさんの主治医の川崎と言います。」あれっ?何だかさっきまでとは違い人の良さそうな優しい眼差しがメガネ越しに感じられた。ふーん。こんな大病院の先生様でもベタないち庶民の患者に『初めまして』なんて自己紹介するんだ。少しだが人間らしさを感じた。


「さて、と。」川崎医師は、紹介状と検査結果を何度も見直しながら言葉を選ぶように話し出した。「いろいろな検査をして疲れたかな?」という問いに「いいえ大丈夫です。」と間髪入れずに返した。少々子供扱いされたような言い方にイラ立ちを感じ取られたのか、ヤバいと思ったときは後の祭りで心の声が口をついていた。深呼吸をしてから医師は再びマイペースで話し出した。『考えられる全ての検査をしましてその結果からミホさんの病名が特定されました』「えっ⁉病名?私って病気なの?」そんな戸惑うミホを気遣いながらも川崎医師が後を続ける。『『悪性リンパ腫』です。お聞きになった事がありますか?この病気は…。』何かどこか異国の言葉で話されているようでそこから先はちっとも耳に入ってこない。「悪性リンパ腫?」血液のガンで以前24時間テレビ番組で闘病生活の特集をしていたのを思いだした。


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