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八話
山脈に響く破裂音に、雪崩が起きる。
雪崩の斜面にゴマ粒の様に動くものが見える。
難民のキャラバンだ、雪崩から逃れるように斜面を駆け下りはじめた。少し先には崖。
ファンタムがオペレーターに通信する。
「難民のキャラバンを見つけた、雪崩が迫っている。救助するか?」
オペレーター
『北部山脈は立ち入り区域だ。救助すべきアルタイルの民は存在しない。任務を外れるな。』
難民キャラバンは10名ほどのようである。
飢えに耐え切れず、冬の山を越える決意をしたのだろうか。
紛争に巻き込まれ、北部山脈に逃れてきたか。
ファンタムは無線を切り、隊列を外れ、高度を落とし斜面に対して低空で飛行する。
キャラバンの頭上を霞め、構成員を確認する。
犬ゾリ、毛皮を深くかぶった成人が数名。子供。
食料が明らかに足りていない。自殺行為だ。
ファンタムは、犬ゾリに取り残された犬を解放し、抱きかかえる。再上昇して隊列に戻る。
「すまないな、おまえの無謀な主人は助けることができなかった。」
キャラバン一行は雪崩に飲み込まれて、見えなくなる。
ファンタムの腕の中、犬は震えていた。