5/12
五話
寒い季節、獲物が減り、腹をすかせた3匹の小さなトラ。
食事をしなければこの冬を越すことはできない。
6人の子供のうちの1人、3匹の小さなトラに囲まれている。
子供は枝を掴んで身構えている。
逃げ場はもうない。
小トラが突進し、子供の前足を太い前足で蹴り上げる。
子供は枝を振り回して抵抗するも、トラの力に負けて転倒する。
湿原のぬかるみに子供の足がはまり、バックパックが放り出される。
親のトラは見当たらない。
3匹の小さなトラは狩りの方法を親から完全に教えて貰えていないようである。
親のトラは魔導砲で殺されたのかもしれない。
獲物の喉元に噛みつき、止めを刺す方法を習得していない。
3匹の小さなトラは、じゃれるように獲物をいたぶりながら、じっくり獲物を仕留める。
子供が衰弱するのを待っている。