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四話

フランシスコがレキマーのメモを訂正する。

「ヒガシミロ、ミズナラノキ、ヤエイ、カンソクオワリ だ。」


レキマーが言う。

「すまねぇ、間違ってた。」

「書き写しながら同時に解読は難しいよ。でも君のメモは完璧さ。ミズナラの木を探そう。キャンプができるはずだ。」


隊員の1人が東を指さしながら言う。

「ミズナラの木って、あの大きいのじゃない?すごく目立つし目印に丁度いいよ!!」


200mぐらい先に青々と茂った木が数本そびえている。

他の5人の隊員も賛同する。

あの木を目指せばいいんだな!5人の隊員たちは再び歩みを始める。

疲労も溜まってきた、目的地に到着して早く休みたい。


フランシスコがガイドブックを見ている。

「クローサ、君はみんなと一緒に行かずに少し残ってくれ、大事な薬品を持ってるだろ。」


クローサが小さく頷く。


クローサは8歳。

フランシスコの妹にあたる。

兄に似て賢いところはあるが、お絵かきが好きな内気な子だ。あまり喋らない。

ブロンドヘアの髪を編み上げ、後ろでクロスさせている。

バックパックにニトログリセリンを持たされていた。

兄のフランシスコの髪色もブロンドだ。


フランシスコが言う。

「あの木はミズナラでなく、エゾマツだ。ミズナラはこの時期、枯れていて葉が無い。」


レキマーが言う。

「どれがミズナラなんだよ。日も暮れてきたし、早く見つけないと。」


探すのは双眼鏡を持つ君の役目だろうと言いながら、フランシスコがレキマーにガイドブックのミズナラのを見せる。

ガイドブックのミズナラの木の挿絵には、立派に葉が付いている。

レキマーは幹や枝の特徴を覚え、双眼鏡越しに探し始める。

湿地帯に樹木は多くない、すぐに見つかるはずだ。


少し先、エゾマツを目指していた隊員達が悲鳴を上げるのが聞こえる。

「トラだ!!トラが居るぞ!!」


ウィパーが驚きの声を上げる!

「トラですって!!湿地帯のトラは全滅したって隊長が言ってた!」


フランシスコはウィパーが他の隊員と行かなかったのかと思いながら続ける。

「トラが全滅したっていうのは確かに聞いた。潜んでいたのかもしれない。日没までに壁を超えないと。」

フランシスコがウィパーに聞く。

「トラに遭遇すると、どうなるかって覚えてる?」

ウィパーが首を横に振りながら言う。

「いいえ、そんなの覚えてないわ!トラは全滅したって。それでシカが増えてヒルが増えたから湿地帯に入るなって言われた!」


フランシスコが薄笑いを浮かべながら続ける。

「大人ってたまに言うことがおかしい。」

クローサもうんうん、と頷く。

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