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二話
西方の小国アルタイル領内。
デネブ帝国の国境間際。
湿地帯を見下ろす小高い丘の上に少年兵団が陣取る。
任務はデネブ帝国領、広陵前哨基地の破壊。
小国アルタイルの民は魔導石に触れると正気を失うと信じている。
広陵前哨基地は豊かな気候と水を蓄えた農耕地。
数年前までは、小国アルタイルの民の食を支えていた。
デネブ帝国の侵攻は広陵前哨基地で止まった。
小国アルタイルは荒れ果てていた。
食糧の備蓄や金品は底を尽きつつあり、盗みや殺しが横行している。
デネブ帝国も無用な手出しはしないようである。
国境が魔導壁で閉鎖された。
熊より大きい生き物が魔導壁を潜ると、魔道砲が降り注ぐ。
大型の野生動物への誤射が頻繁に起きている。
捕食動物の減少により、人と生活域の近いウサギやキツネなどが増加をはじめた。
疫病が流行り始めている。