第九十話:妹犬の兄と仲間達(その1)
第九十話:妹犬の兄と仲間達(その1)
.....という訳で、みんなで勇次の家の前。
狭山さんも佳山さんも法泉さんも居る。
美紀「ふふ〜ん」
狭山さんはオレの横で上機嫌だ。
由紀「......」
理香「......」
それが気に食わないのか、佳山さんと法泉さんは少し不機嫌だ。
......まぁ、今日は勇次の家に来たんだから、まずは呼び鈴を......
オレは呼び鈴を押した。
玲子「は〜い!」
家の中から水沢さんの声が聞こえる。
水沢さんは玄関を開けてみんなを迎え入れた。
玲子「信也もみんなもようこそ! どうぞ上がって〜!」
勇次も遅れて現れてオレとみんなに挨拶をした。
勇次「おう、信也、よく来てくれたな。みんなもありがとうな。」
美紀「玲子、勇次君、結婚おめでとう!
これは私と信也くんからの結婚祝いだよ!」
居間に入って、狭山さんは結婚祝いの品を水沢さんに渡した。
玲子「わぁ〜! 美紀、信也、ありがとうね!」
勇次「サンキュー」
美紀「いいのよ〜! 私達は長いんだもん、ね!」
そう言って狭山さんはオレを見た。
オレ「あぁ、高校時代からだもんな。 ともあれ、ホント、結婚おめでとう。」
勇次「おう、ありがとうな!」
玲子「うん、ありがとう!」
その後、みんな居間のソファーにそれぞれ座った。
その後、オレと勇次、水沢さんと狭山さんの高校時代の話を佳山さんと法泉さんに話した。
玲子「信也って、高校時代の後半は結構人気あったんだけどね〜......」
美紀「うん! 私なんか卒業の時に告白しちゃったんだもん!」
勇次「まぁ、でもコイツは昔っからこんなだからな〜......
実際の所、大学時代に法泉さんや佳山さんとこんな風になるなんて、
思いもしなかったよ。」
オレ「やぁ......あれも結構微妙な出会いでは会ったとは思うけどね〜......」
理香「そうでしたの〜 私も信也さんと高校時代に会いたかったですわ〜」
由紀「高校時代の......信也さん......見てみたい......です......」
そこで、水沢さんが立ち上がった。
玲子「あっ! 高校の卒業アルバムあるよね?! 持ってきていい?!」
勇次「あぁ、いいぞ? 丁度いいんじゃないか?」
玲子「そうね! ちょっと待っててね!」
......という訳で、更に高校時代の話に花が咲いた。
玲子「ところで......昨日の電話の話だけれども......」
そう言い、ニヤニヤしながら水沢さんはオレを見た。
オレ「......ぬ?」
勇次「そうそう、お前、狭山さんに『惚れた?』って聞かれて『チョット』
って答えたんだって? 詳しく話をしてくれないかな?」
そこで、法泉さんと佳山さんから不穏な空気が流れてくる。
......ちょっと......怖いです......
理香「あらぁ〜 これはどういう事でしょうか〜」
由紀「もしかして...... 私達は...... 振られる......」
オレ「やっ、そういう話じゃないから!
今回法泉さんと佳山さんを呼んだのは、オレがずっと告白を断ってきた理由
について、ちゃんと話をしなければいけない頃だなって事で!」
そこで、空気が変わる。
理香「あら〜 それはどういう事なのでしょうか〜」
由紀「もしかして...... 私達は...... 振られる......」
今度は何気に悲しそうな雰囲気だ......
オレ「や.....だからね......
この件は、今までは勇次しか知らなかった事だったんだけど、
先週......狭山さんにもその事を話したんだよ。」
そこで、狭山さんが俯く。多分、先週の事を思い出したのだろう。
法泉さんと佳山さん、そして水沢さんはそんな狭山さんを少し心配そうに見た。
オレ「それでね、今までは勇次しか知らなかったけれども、狭山さんも知ったから、
水沢さんには話さないとね.....ってね。
そして......法泉さんと佳山さんにも......ね。」
そして、オレはみんなに先週狭山さんに話した事を話した。