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第八話:妹犬の居る兄バカの日常(3)


第八話:妹犬の居る兄バカの日常(3)


勇次:「だけどさ......

    お前、オレより怖がられてるって言われて、自分でショックじゃない?」

勇次は自分を指差してオレにそんな事を聞いてきた。

オレは勇次を見る。

勇次は180cmある長身で茶髪、顔はどちらかと言うとイケメンだが、

傍から見たら不良と思われても仕方のない格好をしている。

まぁ、コイツの場合は売られた喧嘩しかしないから、特に素行が悪い訳じゃなく、

コイツがそういう格好を自分に合っているからそうしているだけで、内面はごく普通のヤツだ。

それでも、喧嘩を売られれば買うし、当たり前のように勝つ。

対してオレはと言えば、身長は167cmで茶髪でもなく、顔もごくごく普通......だと思うし、

特に不良と言われる部類の格好もしてなければ、喧嘩を売る事も売られる事も買うこともない。

まぁ......勇次と一緒にいて喧嘩に巻き込まれて相手を殴る......前に睨みで逃げる......か......

オレ:「......オレってそんなに目が怖いかなぁ......」

勇次:「うん、怖い。」

オレ:「お前が言うなっ! お前のその背丈と顔と格好でオレが怖いってか!」

勇次はニヤリと笑いながらオレの顔を見る。

勇次:「やぁ、実際の所、お前の性格知るまで、コイツに関わるのよそうか.......

    とか考えてたぞ、最初。」

玲子:「だよね〜...... 初めて勇次が信也とつるんで私の所に来た時は、

    私は勇次に何か悪い事でもしかたしら......って足がすくんじゃったもの。」

美紀:「うんうん、私も、勇次君が信也君と一緒に歩いて来た時は素で逃げようか

    って考えちゃったもの......」

そんな事を言う玲子の顔を見ると、ふざけているのが見え見えの、とぼけた顔をしていた。

......が、美紀は本気でそんな事を考えていたのだろう、真剣な顔をしていた......

オレ:「......お前等.......そんなにオレを悪者にしたいのかよ.......」

玲子:「やっ、別に悪者にしたい訳じゃないのよ?

    でも、信也ってば、大半の女子に怖がられてるのは事実だからね〜......」

美紀:「そうだよ〜? 時々、私なんか友達に『信也君って怖くない?』

    って聞かれるんだからね〜?」

玲子:「そうそう、私もよくそれ聞かれるのよ。」

オレ:「......オレってそんなに怖いのか......」

勇次:「まぁ、それがお前の事実だ。それが嫌ならもう少し愛想よくするしかないだろうな。」

ポンと肩を叩きながら、勇次がそんな事を言った。

オレは、少しばかり気落ちしながら、小さく

オレ:「......無理......」

と言った。



そんな信也達のやり取りを見ていた女子が一人居た。

女子のグループの中で、比較的大きめなグループのリーダー的存在の彼女は、

相沢あいざわ 香織かおりと言う。

「藤崎信也は何処かで悪い事をしているに違いない」と考え、彼女は時々、

信也の様子を伺っていたのだ。

しかし......今日はいつもの信也ではない姿を彼女は見た。

香織:「何? 何なの? 藤崎信也は女性の敵の筈なのに......

    ただ単に、水沢玲子や狭山美紀は藤崎信也と佐伯勇次の手下の筈.......

    なのに......」

笑っていた......しかも、だらしのないデレデレの顔で.......

あんな顔をみたのは初めてですわ......

信也の顔を思い出すと自分の顔が火照ってくるのを感じる。

.....妹がどうこう言ってましたわね......でも、保健所から貰ってきた?

よく分かりませんわ......

よし、これは彼等に直接話を聞かねば.......


香織:「あの......もしもし?」

オレは気落ちしていたので、無言で声の方を見た。

香織:「......ひっ!...... なっ.....なんでもないですわ......」

声の主はオレの顔を見ると同時にビクっとして後ずさりして自分の席に戻っていった。

オレ:「......何なんだ?あれは......」

玲子:「......あぁ〜ぁ..... これだもんねぇ......」

美紀:「実は、信也君ってば天然なのかな?」

オレ:「狭山さんにだけは言われたくな.......」

勇次:「......今日の信也を見ていたら、オレも何気にそんな気がしてきたよ......」

勇次を見ると、腕を組んで真顔でそんな感想を漏らしていた事が分かる。

オレ:「......」


オレが一体何をした......

更に気落ちするオレだった......




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