第八四話:妹犬と勇次の結婚
第八四話でございまする。
8/9-8/17まで青森-秋田ツーリングに行っていて、
その後1週間は会社の仕事に戻る事を念頭に置いていた為、
チョット更新をサボっておりましたが、そろそろ再開いたしまするよ。
ツーレポが見たいかたはこちらをどうぞ〜
http://www5b.biglobe.ne.jp/~was-gie/touring/index.html
第八四話:妹犬と勇次の結婚
その夜、オレが部屋でリルとのんびりしていると、勇次から電話が掛かってきた。
勇次「おう......信也か?」
オレ「おう、どうした?」
いつになく神妙と言うか何と言うか......
勇次は、少し躊躇しながら話を続けた。
勇次「実はな......」
オレ「うん?」
再び勇次の言葉が止まる。
ん〜......何かいつもの勇次と違うなぁ......
勇次の大きく息を吸う音が電話越しに聞こえる。
勇次「あの後、玲子に結婚を申し込んだ!」
オレ「へ〜......」
勇次「......」
オレ「......で?」
勇次「......で?......って、お前......」
勇次から半分呆れたような声が聞こえる。
オレ「や、遅い位だろ?
お前等、何年付き合ってたっけ?」
勇次「......ん〜......かれこれ......6年?」
オレ「幼馴染だったから、ある意味もっとだろ?」
勇次「......まぁな......」
オレ「で? OKだったんだろ?」
勇次「うん、まぁな.......」
オレ「おめでとうさん。」
勇次「サンクス......
......なんか.......反応が面白くないなぁ......」
勇次が少々ふて腐れたような声で話した。
オレ「やぁ......今更だろ?」
勇次「そうなんだけどさぁ......仲間じゃお前に一番最初に報告したんだぜ?」
オレ「それはまぁ嬉しいけどさ......
でも、驚くような話でもないしなぁ......」
勇次「......何でだよ?」
オレ「ん? だってお前、水沢さんが断ると思ったか?」
オレは椅子に深く腰掛けながら逆に聞いてみた。
勇次「や、そりゃそうなんだけどさぁ......
でも、万が一って事もあるだろ?」
オレ「それこそあり得んだろ。今更断るなら、既に別れてるって。」
勇次「それでもさぁ......玲子に申し込む時は緊張したんだぜ?」
オレ「何でだよ?」
勇次「何でだよって...... お前なぁ.......
人生の最大の決断で緊張しない訳が無いだろ!」
オレ「あぁ......そういう事ね。
まぁ、何はともあれ、おめでとう。」
勇次「サンクス......
......何か嬉しくねぇ.......」
勇次は苦虫を潰したような声を出して答えた。
オレ「で......式はいつにするんだ?」
勇次「ん? ん〜......たぶん、3ヶ月後くらいかなぁ......
式をするにしてもこれから色々準備しないといけないからな。」
オレ「確かにそうだな。 んじゃ、決まったら教えてくれよ。」
勇次「おう! 式では友人代表挨拶してもらうんで、よろしくな〜!」
オレ「......は?」
勇次「そんじゃな〜!」
オレ「おっ.....おいっ!」
勇次はオレの言葉を聞く間もなく電話を切った。
オレ「そうか〜......勇次と水沢さんがとうとう結婚かぁ......」
多少のブランクはあったが、高校時代からの付き合いだ。
勇次と水沢さんの嬉しくない訳ではない。
ただ......やっぱり今更というか......
それでも、少しづつ、勇次と水沢さんの結婚という事態の大きさが、
オレの中で大きくなり始めていた。
オレ「リル、勇次と水沢さんが結婚するんだってさ〜......
友人としては何かしてやらないとな〜......」
そう言いながらリルの頭を撫でて、どうしようか考え始めた。