第八一話:妹犬とコンクール(その2)
第八一話:妹犬とコンクール(その2)
更に進んで写真を見ていると、勇次と佐橋さんと水沢さんが写真を見ていた。
謙造「ふむ......中々に面白い構図だね。」
勇次「佐橋先生にそう言われると嬉しいです。」
玲子「良かったね〜、勇次〜」
オレ「よう、勇次。 佐橋さん、水沢さん、こんにちわ。」
後ろから、狭山さん、法泉さん、佳山さんも挨拶をした。
勇次「よう! どうよこれ! 見てくれよ!」
謙造「こんにちわ、信也君。」
玲子「あっ、信也〜! 見てみて〜! 勇次の写真!」
オレ「ん〜......」
オレは勇次と水沢さんに促されて写真を見た。
写真は、オレとリルの写真だった。
題名は「兄妹愛」
リルがオレの胡坐の上に乗りオレを振り向いて見ており、オレはリルを見下ろし
て笑顔になっていた。
美紀「うわぁ〜......いいな〜.....リルちゃん......」
由紀「信也さん......私にも.....その笑顔を......」
理香「やっぱり素敵ですわ〜......」
女性陣は3人ともうっとりとして写真を眺めた。
オレ「......何というか......オレは自分の笑顔をこうして見られる
のはチョット恥ずかしいなぁ......」
謙造「はっはっは〜 でも、いい笑顔をしているよ。」
玲子「ホント、信也はリルちゃんにはこんな顔を向けるんだよね〜......」
勇次「オレもこの写真はベストショットだと思ってな。」
オレ「でも、法泉さんや佳山さん達の写真は出品されなかったんだな。」
勇次「ん〜......オレも迷ったんだけどな。
まぁ、彼女等はオレが撮った写真を送っただけで満足してくれたし、
ベストな一枚はこれだろうなって思ったしな。」
オレ「そうか......」
美紀「そんな事は気にしなくていいよ!
信也くんとリルちゃんの素敵な写真が見られただけで感激だもの!」
理香「そうですわ〜 それに、私達の写真だって素敵に撮られてましたもの〜」
由紀「私達も......姉妹......」
女性陣3人はそんな風に答えてくれた。
まぁ......納得してもらえてればいいんだけどさ。
オレ「ちなみに.....聞いていいか?」
勇次「何だ?」
オレ「何でコンクールなのにリルとか連れてきて良かったんだ?」
謙造「それは僕が答えるよ。
要は、賞を撮った場合、写真のモデルも表彰されるからなんだ。」
オレ「なるほど......そういう事なんですね......
でも、それならシェリーちゃんやマユミちゃんは、出品された写真
には出てないですよね?」
謙蔵「それに関しては、お友達という事だよ。」
勇次「まぁ、そういう事だよ。信也とリルちゃんはオレと佐橋先生の写真
に出ているから、尚の事友達参加OKってな感じかな。」
オレ「......なるほど......」
......でも、やっぱりいいのかなぁ.....とか考えてしまうのはしょうがない事かなぁ......
玲子「勇次、そろそろだよ?」
水沢さんが時計を見ながら勇次にそう話した。
勇次「おっ.....もうそんな時間か.....」
オレ「ん? 何かあるのか?」
謙造「そろそろ優秀作品発表の時間が近いんだよ。」
オレ「そういう事ですか。」
謙造「発表の会場はこの先ですよ。皆さんで一緒に行きましょうか。」
オレ「そうですね。」
理香「いよいよですのね〜」
美紀「私だったら、やっぱり信也君とリルちゃんの写真に一票かな〜......」
由紀「あの......後ろ姿......忘れ.....られません......」
謙造「僕の写真を気に入って頂けたようで、嬉しいですよ。」
佐橋さんは佳山さんの言葉を聞いて、佳山さんに礼を言った。
理香「あら〜 あの写真は佐橋さんの撮った写真でしたの〜
私もあの写真は好きですわ〜」
美紀「私もあの写真気に入ってます!」
謙造「ありがとう。あの写真は僕も最高の出来だと思ってるんだ。
だから、こうして気に入って貰えると嬉しく思うよ。」
勇次「やっぱり、みんなそう思うよなぁ......
同じモデルだから、オレ的にはチョット悔しいなぁ.....」
玲子「勇次の写真だっていい出来だよ!
最優秀賞は無いかも知れないけれども、入賞はできるって!」
勇次「......それって、暗に佐橋先生の写真の方がいいって言ってないか?」
玲子「......細かい事はきにしないのっ!」
水沢さんは少し気まずそうに勇次にそう答え、その言葉でみんなが笑った。