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第八十話:妹犬とコンクール(その1)

第八十話:妹犬とコンクール(その1)



とりあえず、コンクールの入り口に到着した訳だが......

佐橋さんの写真展の時もそうだったが、リルを連れて行って大丈夫だろうか

という心配はどうしても拭い去れない。

美紀「信也君、どうしたの?」

オレが躊躇しているので狭山さんが聞いてきた。

オレ「やぁ.....佐橋さんの個展の時は、佐橋さんが主催だから、

   まぁ大丈夫かなぁ......とは思ったんだけど、

   今日のは主催者が違うでしょ?

   リルを連れて行って入れるのか......」

理香「あらぁ〜 それでしたら大丈夫ですわよ〜」

由紀「私達の......妹達も......一緒......」

オレ「それはそうなんですけどね......」

美紀「大丈夫だよ! ちゃんとリルちゃん達の招待状もあるんだもんね!」

オレ「......そうだな...... よし、入りますか。」

......という事で、オレ達はリルやシェリーちゃんやマユミちゃんを連れて

コンクール会場の中に入っていった。



コンクールの受付でリル達の招待状を見せると、普通に通してくれた。

まぁ、取り越し苦労ではあったのは事実だが、それでも気になるものはしょうがない。

美紀「ほら、大丈夫だったでしょ?」

オレ「まぁね〜......」

......という訳で、コンクールの写真を見ながらゆっくり中を進んでいく事にした。


このコンクールはそれなりに大きなコンクールらしく、大勢の観覧客と撮ったであろう写真家が居た。

オレ「ん〜......基本的に風景写真とか人物写真が多いね。」

美紀「時々変なのもあるけど......」

理香「そうですわね〜 写真も個人の表現なのですわ〜」

由紀「この写真......好き......」

佳山さんは、風景写真を見ながらうっとりしていた。

オレ「なるほど......確かにいい写真ですね......」

その写真は、風景の中に1組のカップルが小さく写っていたのだが、

その構図が幸せな雰囲気を醸し出していた。

佳山さんは、オレを見ながら、

由紀「私と......信也さんも......こんな風に......」

と呟いた。

オレ「......コメントに困ります......」

オレがそう答えると、佳山さんは少し口を尖らせ、

由紀「いけず......」

と話した。


更に進むと、佐橋さんの撮ったオレとリルの写真があった。

理香「あらぁ〜...... ホントに素敵ですわ〜......」

法泉さんはオレとリルが並んで歩く写真を見ながら、右頬に手を当ててうっとりと呟いた。

美紀「ホント......兄妹が手を繋いで歩いているみたい......」

由紀「和みます......」

狭山さんも佳山さんもこの写真をみながらうっとりしている。

他の観覧者も「この兄妹は素敵ね」とか「普通に兄妹ってのがしっくり来るね」と呟いていた。

オレはリルを抱きかかえ、リルに向かって、

オレ「リル、お兄ちゃんとリルは素敵な兄妹だってさ。

   お兄ちゃんは嬉しいぞ? リルも嬉しいか?」

と聞いた。

リルは、オレの顔をみて嬉しそうな顔を向けて、オレの顔をペロっと舐めた。

オレ「そうかそうか、リルも嬉しいか〜

   お兄ちゃんとリルはホントの兄妹だもんな〜」

そう言いながら、オレはリルの頭を撫でた。


そこで、写真を見ていた夫婦らしい男女から掛かる。

男性「もしかして、この兄妹さんですか?」

オレ「あっ、はい。そうです。」

女性「あらぁ.....ホントに可愛らしい妹さんね。」

オレ「リル、可愛いってさ。」

そう言いながらオレはリルの頭を撫でた。

男性「僕は犬は苦手なんだけれども、この写真を見てチョット見方が変わりました。

   犬ってこんなにも表情が豊かなんですね。」

オレ「そうですね。リルと会ったばかりの頃はオレもそう思いました。」

女性「ホント、この写真のように、素敵な兄妹ですわね。」

オレ「ありがとうございます。オレにとって、リルは大切な可愛い妹ですから、

   そう言ってもらえるのはとても嬉しいです。」

男性「触っても大丈夫ですか?」

オレ「はい、大丈夫ですよ。」

男性は、少し恐る恐ると言う感じでリルに触れたが、リルに触れた途端に安心して、

リルの頭を撫でた。

男性「ホント、大人しくて可愛いですね。お名前はリルちゃんと言うのですか?」

オレ「ありがとうございます。はい、リルと言います。」

男性「そうですか.....リルちゃん、ありがとうね。」

女性「リルちゃんは素敵なお兄ちゃんがいて幸せね。」

そう言って、男性はリルの頭を撫でて、次の写真の方へ歩いていった。


由紀「信也さん......リルちゃんも......素敵......」

理香「ホント、この写真も素敵ですわ〜」

美紀「やっぱり、信也君とリルちゃんの姿は、普通に兄妹なのね〜」

オレ「そう言って貰えると嬉しいよ。

   リルも嬉しいよな〜」

そう言いながら、オレはリルの頭を撫で、リルの頭にキスをした。

リルはオレのその言葉に対して、とても嬉しそうな顔をオレに向けた。


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