第七話:妹犬の居る兄バカの日常(2)
第七でございまする。
兄バカな主人公の日常「その2」となりまする。
今回で、主人公の元々の性格が分かるかもですよ。
第七話:妹犬の居る兄バカの日常(2)
渡り廊下でそんな会話を勇次としていたら、学校の中がだいぶ騒がしくなってきた。
もうそろそろ教室に戻るか......
と、勇次と一緒に教室の中に入った。
声:「おっはよ〜、勇次ぃ〜、それに信也ぁ〜」
元気な女子の声が教室に入った途端に後ろから聞こえた。
勇次:「おぅ、おはよう、玲子。」
声の主は、水沢 玲子と言う、勇次の恋人の女子で、
オレと普通に会話ができる数少ない女子の一人だ。
間違いなく、勇次とオレが友人でなければ、玲子ともこんなに気さくに話す事
もなかっただろうな......
オレ:「あぁ、水沢さん。おはよう。」
玲子:「さっき廊下で勇次と何か携帯電話見ながら話してたけれども、何かあったの?」
オレ:「ん? あぁ、実はオレに妹ができたんだよ。」
玲子:「えっ、妹!? 写真あるの!? 見せて見せて!」
オレ:「あぁ、ちぃ〜と待ってくれ......」
オレは携帯電話を出して、リルの写真を玲子に見せた。
玲子:「(.......犬? だけど......)可愛いぃ〜!!」
オレ:「だろぉ〜!? ホントに可愛くてさ〜!
『可愛い顔して〜』って言うと、ホントに可愛い顔するんだぜ〜!?
もうたまんないよ!」
玲子:「へぇ〜......ホントに可愛い顔してるわね〜......
どうしたの?この子?」
オレ:「日曜日に保健所から貰ってきたんだよ。
名前は『リル』って言うんだ。オレがつけたんだよ。
すぐに気に入ってくれてさ〜、オレが名前を言った途端にピクンと耳を立てて
笑顔をみせてくれたんだよ!」
玲子:「へぇ.......
......ってか、アンタ誰?」
オレ:「......」
勇次:「......やっぱり玲子でもそう思うか......
信也......お前、顔がまたデレデレになってるぞ?」
オレ:「......」
何と言っていいか分からん......
そんな勇次と玲子の言葉を聞いて、オレの目が据わる。
玲子:「あっ、いつもの信也に戻った。」
オレ:「......オレのデフォってやっぱりこんな顔だよなぁ.......」
玲子:「うん。」
勇次:「だな。お前はいつもはどちらかと言うと、笑った顔が珍しいくらいのヤツだからな。」
玲子:「だよね〜...... だから、女子には勇次よりも怖がられてるんだよ。
もう少し愛想良くした方がいいよ? 元はいいんだからさっ!」
オレ:「......いいんだよ、オレは......」
オレは別にモテたいとか思わん。
オレを怖がって近寄らないなら近寄らない方がオレも気楽でいい。
玲子:「あぁ〜あ〜っ...... さっきのまんまの方が愛想良くって、女子からの受け
は良かったと思うんだけどなぁ〜......」
声:「そうよ〜、信也君って、元はいいんだから、もう少し笑顔を見せてみなよ〜」
そこで、玲子の後ろから別の女子の声が聞こえた。
その女子は、玲子の両肩に両手のひらを起き、右肩の方からひょっこり顔を出した。
声の主は、狭山 美紀と言う。玲子の友達で、それが縁でオレとも友人になった、
数少ない女子の友人その2だ。
美紀:「おっはよ〜、玲子、勇次君、信也く〜ん!」
勇次:「おう、おはよう。」
玲子:「うわっ、びっくりした〜! 誰かと思ったじゃない!
おはよう、美紀っ!」
オレ:「......おはよう、狭山さん......
.......あんまり締まりない自分の顔は好きになれんよ......」
美紀:「もう、いつまで経っても他人行儀なんだから〜......
美紀でいいってば!」
玲子:「そうよ〜、未だに苗字で呼ばれてると、何か友人じゃない気がしてくるよ......」
オレ:「や、これは我の性格上無理でございまする、姫様方.......」
美紀:「もう......しょうがないなぁ...... でも、私達が名前で呼ぶのは構わないんだよね?」
オレ:「あぁ、それは全然構わんよ。
ただ単に、オレが女子を名前で呼ぶのが苦手なだけだからさ。」
玲子:「まぁ......しょうがないかぁ......
これでも私達には慣れた方だもんね〜......」
美紀:「だよねぇ......」
勇次:「だな......堅物だものなぁ......」
オレ:「......」
勇次に堅物と言われるとチョットムカつくなぁ......
以上、第七話、妹犬の居る兄バカの日常(2)でした。
今回は、主人公の性格を......というか、主人公がどんなヤツかを書いてみました。
基本的には、自分は至って普通のつもりなのに、何故か女子に怖がられている。
理由は、何気に目つきが悪いからで、関わってみると至って普通な事が分かるのに、
そうなる前に殆どが近寄ることができない......という感じでしょうか。
そして、友人の勇次とその恋人である玲子、玲子の友人の美紀。
勇次は主人公の信也よりもむしろ不良っぽい男。だけど、コイツも至って普通なヤツ。
玲子は勇次の恋人で、男勝りな性格な女子。勇次と信也が友人になった事により、
信也も玲子と友人になる。
信也自身が素で女子に怖がられている為、数少ない女子の友人の一人......という事になる。
美紀は玲子の友人で、性格は少々天然の入った明るい女子。
玲子と友人になった事で信也とも友人になった、数少ない女子の友人その2......という感じですな。