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第七四話:妹犬と2人きりの休日

第七四話:妹犬と2人きりの休日



その後の週末、オレはリルと2人きりで遊びに出掛けた。

まぁ、出掛ける場所は公園しかない訳だが......

それでも、いつもとは違う大きな公園に連れて行く事にしていた。


今回は写真を撮る為にデジカメも持ってきた。

いつもは撮ってくれる人もいるから持ち歩く事はないのだが、

今回はオレとリルだけなので、オレが沢山撮ろう.......

そう思ったのだ。


オレ「リル〜、今日は大きな公園だから思いっきり走り回れるぞ〜」

そう言いながら、リードの先に繋がれたリルを見る。

リルは、オレの方を見て嬉しそうな顔をした。

うん、たまにはこうして連れてきてあげた方がいいよな。

最近は、他の人と一緒だったから、リルだけに構ってあげる事

もできなかったしなぁ......


そして、大きな広場でリードを外してリルを走らせる。

リルは、オレの周りを回るように走り、時々オレの袖を噛んで引っ張ったりと、

いつもの遊び方をした。

ひとしきり遊んで、売店でオレの飲むジュースとリルにあげる水を買う。

リルも少し疲れたのか、オレが買った水を飲んでから木陰にオレと一緒に座り、

のんびりと景色を眺めている。

オレ「リル、今日はいい天気で良かったな。」

そう言いながら、リルを撫でて寝転ぶ。

いい天気ではあるが、木陰では涼しい風も吹いている。

のんびり過ごすにはいい感じだ。

リルもオレと一緒に寝転び、木陰で昼寝をする事にした。



2時間くらい眠っただろうか。

リルがオレの顔を舐めてきたので目を覚ました。

オレ「ん......リル......どうした? トイレか?」

オレがそう聞くと、リルは足をバタバタさせたので、トイレだと分かる。

オレ「よし、んじゃ起きて散歩しようか。」

......と、起き上がろうとした所で後ろから声が掛かる。

 声「こんにちわ〜......」

声の方を向くと、50代くらいの男性がオレの方を見ていた。

オレ「あっ......こんにちわ。何ですか?」

男性「えっと、失礼と思いながらもとてもいい絵だったので写真

   を撮らせてもらいました。

   もし宜しければ、この写真をあなたにお渡ししたいのですが......」

男性は持っていたカメラを自分の前に向けてオレに「このカメラで撮った」

という意思表示をした。

オレ「あっ、わざわざありがとうございます。

   そのカメラはデジカメですか?」

男性「いえ、私のは銀塩の普通のカメラです。」

オレ「そうですか......」

男性「ですので、写真はあなたの家に送りたいのですが、

   宜しければ住所を教えていただけないでしょうか?」

オレ「ん〜......知らない人に住所を教えるのは難しいですよね、今の時世だと.......」

男性「そうですよね......

   実は、私はこういう者でして.......」

そう言って、男性は名刺をオレに渡した。

オレ「......プロのカメラマンですか?」

男性「はい。この写真も、できたらコンクールに応募したいと思いまして。」

オレ「えっと......それは構わないですが...... んじゃぁ、住所を教えます。」

名刺を渡してきて、プロのカメラマンなら信用していいかな......

男性「あっ、今度私の写真展も近くで開かれるので、写真と一緒にチケット

   も送らせていただきますね。」

オレ「はい。オレも写真とか絵画とかを見るのは好きなので、是非。」

男性はオレの答えで笑顔になった。

男性「そうでしたか。2週間後には始まりますので、是非見にきてください。」

オレ「はい、楽しみにしてますよ。」

そうしてオレは男性と挨拶を交わして別れた。


オレ「リル、また写真撮られちゃったね。

   オレとリルの姿がいい絵だったんだってさ。」

オレはリルの頭を撫でながらそう言った。

オレ「リルとお兄ちゃんは仲の良い兄妹だもんな。

   あの人にもオレとリルが兄妹に見えてるといいな。」

リルは、オレの言葉を聞いて嬉しそうにオレの顔を舐めた。

オレ「よし、散歩して帰ろっか!」

そう言って、オレとリルは立ち上がり、散歩の為にその場所を後にした。


男性「う〜ん......絵になるなぁ......」

男性は、オレがリルの頭を撫でて、リルがオレの顔を舐めている写真や、

オレがリードもなくリルと一緒に歩く姿を写真に撮りながら、そんな言葉を呟いた。

男性「兄妹かぁ......ホントに仲の良い兄妹のようだな......

   今回のコンクールもだが、写真展にも1枚飾ってみようか......」

そう言いながら、男性はオレとリルが歩き去る姿を見ていた。

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