第七二話:妹犬との約束(その6)
第七二話:妹犬との約束(その6)
久し振りの妹犬の夢。
リノ:「お兄ちゃ〜ん!」
オレ:「リノ〜! 元気にしてたか〜?」
リノ:「うん! 元気にしてたよ?」
オレ:「そうかそうか、良かったよ。」
そうして、オレはリノを膝の上に乗せて、色々な話をした。
リノ:「ねぇ、お兄ちゃん?」
オレ:「ん?何かな?」
リノ:「お兄ちゃんが好きな人達、3人も残ったね。」
オレ:「ん〜......そうだなぁ......」
オレは上を見上げながら狭山さん、法泉さん、佳山さんの事を思い出す。
そんなオレの様子を見て、リノはオレに聞いてきた。
リノ:「お兄ちゃんは誰が一番好きなの?」
オレ:「ん〜......まだ分かんないよ。」
リノは、オレの答えが気に入らなかったらしく、少しムッとしてオレに答えた。
リノ:「......お兄ちゃん、そろそろ決めないといけないと思うよ?
でも、今回は全員を振るって決め方は絶対にダメだからね?!」
オレ:「そうだなぁ......でも......難しいなぁ......」
リノ:「どうして誰か一人に決められないの?」
オレ:「少なくとも、今でも誰かと付き合いたいって気持ちになれないんだ」
リノ:「どうして? みんな真剣だって思うよ?」
オレ:「うん、それは分かってるんだ。だからこそ、簡単に決められないんだよ。
オレを好きになってくれた人の人生を左右する事だからね。
それに......まだ自分に対する自信はないんだよ。」
リノ:「お兄ちゃんは、みんなの事を考えているから決められないのね。」
オレ:「そうなのかなぁ......そうかもな〜......」
リノ:「私はお兄ちゃんが大好きだよ? リルちゃんもお兄ちゃんが大好きだよ?
お兄ちゃんが大好きな人は沢山いるんだもの、自分に自信を持ってね。」
オレ:「ありがとうな、リノ」
オレはリノの頭を撫でて、頭にキスをした。
リノは、少し恥ずかしそうにしながらも嬉しそうな笑顔をオレに向けた。
リノ:「あっ、おにいちゃん......約束して!」
オレ:「うん? 何かな?」
リノ:「私もリルちゃんも、お兄ちゃんがどう扱ってくれたかをずっと覚えてる。
その事を忘れないでね。お兄ちゃんが大好きな理由は、そこにもあるんだよ?」
オレ:「うん、分かった。ありがとうな、リノ。」
オレはもう一度リノの頭を撫でて、頭にキスをした。
......ところで、普通に目が覚めた。
珍しいな〜......と思ったら、リルは部屋に居なかった。
どうしたのかなぁ......と思ってベットから起き上がり、居間の方に行くと、
リルはお袋の傍に座っていた。
オレ:「おはよう......リル......こんな所にたのか.....
いつもみたく居ないからビックリしたぞ?」
お袋:「おはよう信也。今日は休みだからってゆっくり眠り過ぎじゃないかい?」
オレ:「......会社入ってまだ間もないし、色々あるから疲れてるんだよ......」
お袋:「そうかい...... あさのリルの散歩は母さんが行ってきたから、
もう少しのんびりしておいで。」
オレ:「ん......そうさせてもらうかな......」
オレが居間から出て行こうとすると、リルがオレの所にやってきた。
オレ:「ん? リル、どうした?」
オレが自分の部屋の扉を開けると、リルは先に部屋に入っていった。
オレ:「......一緒に寝るのね......」
まぁ、いつもの事だけれども、休日にこうしてずっと寝てるのは久し振りかもなぁ.....
オレがベットに上がると、リルは既にベットに上がり、座り込んで眠る準備をしていた。
オレが布団をかぶると、リルも布団の中に入り、オレの横で寝転んだ。
オレはリルの頭を撫でてリルを腕枕しながら、「おやすみ〜」と言うと、
リルも目を瞑って眠りについた。
眠っているリルを見ながら色々考える。
......オレは誰が好きなんだろうな......
狭山さん......まさかずっと諦めずにオレの事を思い続けてたとは.......
あんなに綺麗になってたし、今までも色んな人に告白されたと思うんだけどなぁ......
法泉さん......最近アプローチがエスカレートしてきたなぁ......
かなり直接的で、リルの威嚇も効かなくなってきてるし.......本気だって事なんだろうなぁ......
佳山さん......佳山さんも何気に過激だよなぁ......ある意味、法泉さんに対抗
しているだけのようにも思われるけれど......
でも、やっぱり本気って事だよなぁ......
ん〜......どうしたらいいんだろうなぁ......
オレ:「リル......お兄ちゃんはどうしたらいいんだろうな......」
オレはリルの頭を撫でながら眠りに就いた。