第六七話:妹犬のバカ兄は相変わらず
第六七話:妹犬のバカ兄は相変わらず
既に社会人となって3ヶ月。
仕事は自分がやりたかった事。
......なのだが、何故かやる気があまり出ない。
勿論、ちゃんと仕事はしている。
それでも、身が入ってない感が否めない。
ん〜......何でだろうなぁ......
学生から社会人に変わったという事が大きいのかなぁ......やっぱり......
部長:「藤崎くん、仕事には慣れたかい?」
オレ:「はい、仕事自体は、慣れてきたと思います。
でも、自分ではフラフラしてる感が強いです。」
部長:「そうか...... まぁ、まだ入社して3ヶ月だから、
環境に慣れるのはもう少し掛かるかもだね。」
オレ:「はい、そうかもしれないですね。」
部長:「ともあれ、指示した事はちゃんとできてるみたいだから、
その辺りは少しずつ慣れていってくれればいいよ。」
オレ:「ありがとうございます。」
プログラマーを仕事として始めて、与えられた仕事はそれなりにできいている。
その面では、自分でも自信になっていると思う。
でも......何なんだろうなぁ......この身の入らなさは......
夜、帰宅後に久し振りに勇次に電話を掛けた。
オレ:「勇次か? 久し振り。」
勇次:『おう、久し振りだな。どうした?』
オレ:「や......チョットな......
何ていうかさ...... 仕事に身が入らなくてな。
仕事を始めたキャリアだとお前の方が長いだろ?
最初の頃どうだったかって話を聞きたくてな。」
そう、勇次はプロのカメラマンとして既に活動していたのだ。
オレよりも2年早いので、仕事をしている人間としてはオレよりも先輩だ。
ちなみに、風景や動物専門だ。動物を可愛く撮るのでは定評があるらしい。
勇次:『なるほどな〜......
まぁ、オレも最初はそんな感じではあったけれども、
それよりも何よりも、下っ端は小間使いで忙しくてそんな暇はなかった
って面もあったかなぁ......』
オレ:「でもさ、それだと尚の事、『何やってるんだろう』って考えた事ないか?」
勇次:『ん〜...... 確かにこんなんでプロのカメラマンになれるのか?
......って思った時はあるぜ?
でも、その中で色々覚えたし、今考えると無駄では無かったっては思うぜ?」
オレ:「そうか......
それなりに仕事してて、与えられた仕事をこなしていて、
それでも『何やってるんだろう』って思ってるオレはおかしいのかなぁ......」
勇次:『別にそういう事はないと思うぜ?
ホントにオレはこれがやりたかったのか......みたいな事は誰でも考えるさ。
オレの先輩も最初はそんな感じだったみたいだし。
環境の変化が大きいから、どうしてもそれはあるみたいだからな。』
オレ:「そうか......どうしたらいいんだろうな......」
勇次:『ん〜......
そうだ、お前、来週末は暇か?』
オレ:「ん? ......あぁ、暇だけど......」
勇次:『じゃぁさ、リルちゃんの写真を撮らせてくれよ。
ついでに気分転換にもなるだろ?
できたら、他にも知人のペットも連れてきてくれると助かるよ。』
オレ:「ふむ......了解。 来週末だな? 知り合いにも当たってみるよ。」
勇次:『久し振りに玲子や美紀にも会えるぞ?』
オレ:「そうか......
水沢さんと言えば...... 結婚はまだか?」
勇次:『......美紀じゃなく玲子かよ......
ん〜......ボチボチだな......』
オレ:「そうか〜...... 結婚式には呼べよ?」
勇次:『呼ばない訳がないだろ。 まぁ、友人挨拶もやってもらうと思うがな。』
オレ:「げ...... 面倒臭いなぁ......」
勇次:『いいじゃんかよ、それくらい!』
オレ:「ん〜...... 他にいないのかよ?」
勇次:『オレと玲子の共通の友人はお前だろ?』
オレ:「まぁな〜...... まぁ、考えておくよ。」
勇次:「よろしく頼むぜ?」
オレ:「おう。」
......という訳で、来週末の予定が決まった。
水沢さんに狭山さんかぁ......元気にしてるかなぁ......
とりあえず、会ったら最初に勇次と水沢さんに思いっきりチャチャ入れだな。
あとは......サークルの人達に声を掛けてみるか。
プロのカメラマンが撮ってくれるって言えば、みんな来てくれるかもな。