第六五話:幕間(大学生活の終了)
第六五話:幕間(大学生活の終了)
あれから色々あった。
まず、男連中にも女性陣にも、嫌われたり好かれたり......
男連中には、「チャンスが増えた!」と喜び勇んでサークルメンバー
に告白に行く連中が増えたらしい。(省吾からの談)
そこで、何気にサークルメンバー全員モテていたらしい事が判明した。
結局、サークルに入ればお近づきに......という連中も昔から多かった為に、
「メス犬を飼っていて、素で妹と呼んでいること。」という条件が付いたらしい。
弥生:「昔はもっとオープンだったんだけどね〜......」
とは浅生さんの談だ。
......という感じで、時々会うと一緒に食事をしたり話をしたりは続いていた。
流石にサークル活動には参加しなかったけれども、学校に妹を連れてくる時は、
オレもリルを連れてきたりして、サークルメンバーの妹犬達と遊ばせたりもしていた。
ちなみに、サークルのメンバーの卒業と同時に、サークル自体が大学からは消えたが、
サークルのメンバーはあの頃の通り、今も月1回のペースでお茶会を開いて
みんなを一緒に遊ばせている。
毎回誘われるのだが、オレは半年に1回くらい、1年に一回位なら......という感じ
で時々顔を出して、リルと他の妹犬達を遊ばせたり、オレが一緒になって遊んだりしている。
法泉さんからは、
理香:「やっぱり、信也さんが居ると妹達は生き生きとしていて楽しそうですわ〜」
と喜ばれてアプローチを受けたり、
由紀:「信也さん......相変わらず......素敵です......」
と、レアな笑顔を佳山さんから受けたりしている。
他のメンバーは、彼氏ができたり別れたり、ずっと付き合ってたりな感じだ。
仲睦まじいカップルを見ると幸せのおすそ分けを貰えて幸せになれるのはオレだけだろうか?
理香:「信也さん〜、そろそろ私達も〜......」
由紀:「理香さん......抜け駆け......良くないです......」
と、時々両手に花となり、「この2人は今もオレを?」と思う事もあるが、
やはり今の所は誰かと付き合う気にはなれないでいる。
でも、みんなとこうして時々会う程度なら、サークル活動をしていた頃のように、
楽しく過ごせるようになった事は何よりも嬉しいかな。
女性陣に関しては、嫌われる方が多い......と思っていたのだがそうでもなかった。
勿論、「女性の敵!」と揶揄される事もあるが、むしろあのままの方が女性の敵だ
とオレは思っているし、そう思う女性も少なくなかったらしく、むしろ好意的で、
ファンクラブが再燃する事こそ無かったが、時々告白された。
勿論、良く分からない相手と付き合う気にもなれなかったので付き合うことは無かった。
その都度、省吾からは、「勿体無い......」と呟かれたりした。
リルの人気は1年の頃のままで、オレに対してよりもリルに会いたいという女性陣
も多かったので、そういう場合には4〜5人程度なら対応してリルを連れてきて会わせたりもしていた。
そして、その写真がまた高校時代のように大学内に広がり、写真部からリルの写真
を撮らせてくれという依頼があったりして、対応したのだが、何故かリルだけの写真
よりもオレとリルが一緒の写真が一番売れたらしい......
......ってか売ってたのかよ!お前等!
......勿論、売っていた事を知ってからは1%くらいは報酬を貰うようにした。
写真部は5%でも10%でもいいと言ったが、商売をするつもりはなかったのでそこまで
はしなかった。
達郎さんからは、その度に「人がいいね〜」と言われたが、オレがそういうヤツ
なんだからしょうがない。
そんな事もあり、大学4年の頃にはリルとオレの写真が大学内にあまりにも広まり過ぎて、
オレは大学だけではなく大学近隣では有名人になってしまい、何を勘違いしたのかサイン
をねだられたり握手を申し込まれたりしたが、その都度丁寧にお断りをしていた。
まぁ、リルが可愛いと人気がでるのは分かるが、オレまで一緒に人気が出る理由が分からない。
幸助さんにその事を言うと、「キミはもう少し自分に自信を持った方がいいさ〜」
と言われた。
そんな事を言われても、勘違い野郎と思われるのはもっと嫌だ。
大学4年で、オレは自分の進みたい進路に進む為の就職活動をし、
規模は大きくはないが、組み込み系のOS作成会社に就職する事ができた。
大学も無事に卒業する事ができ、来月からオレは社会人として働く事となった。