第六一話:妹犬達と写真撮影
第六一話:妹犬達と写真撮影
サークルメンバーの女性陣が戻って来た事で一悶着.....というか、
オレ的には大問題が発生したのだが、浅生さんの一言によりその辺り
は見事にスルーされた。
弥生:「それじゃ、お待ちかねの写真撮影ターイム!」
A子、B子、C子:「「「キャー!」」」
そして、幸助さんも、
幸助:「僕は、リルちゃんとジョセフィーヌが一緒の写真を撮らせてもらうよ〜......」
といかにもリルのファンらしい発言が飛び出した。
まぁ、さっきまでならジョセフィーヌちゃん抜きの写真を撮ってたんじゃないかなとは思うから、
ある意味では成長したのかも......
そこで、ファンクラブの女性陣から声が掛かる。
C子:「信也さん!」
オレ:「......はい?」
B子:「私達と一緒の写真を撮らせてください!」
オレ:「はぁ......いいですけど......」
A子:「キャー! 嬉しい〜!」
......という事で、オレとリル、ファンクラブの女性陣との写真撮影があり、
更にオレとリル、妹犬達等、色々な写真が撮られた。
そろそろ今日のお茶会も終わりの時間となり、そこで再びファンクラブの女性陣
から声が掛かる。
A子:「信也さん! 今日はありがとうございました!」
オレ:「いえいえ...... 何と言うか......何でオレにファンが.....
ってな感じで微妙な気分ではありますが、楽しんでもらえたなら何よりですよ。」
B子:「今日の信也さんも素敵でしたよ!」
オレ:「『も』ってのが気になりますがそこはスルーして......
オレなんかよりもっと素敵な人は沢山いますよ?」
C子:「信也さん! 握手してくださいっ!」
オレ:「はぁ......」
そうして、オレは最後にファンクラブの3人と握手をした。
みんな喜んで暮れてはいたが......何ていうか......
オレってそんなに大したモンじゃなんだけどなぁ......
やっぱり気分的には微妙だった。
すると、そこで森中さんからオレに声が掛かった。
詩織:「しっ......信也さんっ! なっ......何だか顔色がすぐれないですっ!」
オレ:「えっ......? やっ......なんと言うか......」
詩織:「どっ......どうかしたんですかっ?!」
少し心配そうな顔をして森中さんがオレの顔を見る。
オレ:「あっ、大丈夫ですよ。 ただ......」
詩織:「たっ.....ただっ?!」
オレ:「ん〜.....何ていうか......ファンクラブって......何でオレに......」
詩織:「そっ......それはっ! しっ......信也さんが素敵だからですっ!」
オレ:「......ありがとうございます。 でも......そんな大した男ではないですよ?」
詩織:「そっ......そんな事ないですっ!
しっ......信也さんは他の男性が持ってない魅力があるのですっ!
わっ......私は信也さんが大好きですっ!」
森中さんは言ってから思いっきり顔を赤くした。
うん、可愛い。森中さんは普通にしてても可愛いと思う。
でも、こういう表情はやっぱり更に可愛い。
......何気に余裕あるな、オレ......」
オレは、森中さんに笑顔を向けて、
オレ:「ありがとうございます。」
と言った。
そんなオレの顔を見ていた森中さんは更に顔を真っ赤にして固まった。
詩織:「しっ......信也さんっ! ふっ......不意打ちはひきょうですっ!」
オレ:「......はい?」
オレが疑問符を頭に浮かべていると、オレと森中さんの様子を見ていた佳山さん
が森中さんに話しかけてきた。
由紀:「信也さん...... やっぱり...... 気付いて...... ない......」
オレ:「......えっと......何がでしょうか......」
オレは、更に疑問符を頭に浮かべながら佳山さんに聞いた。
詩織:「しっ......信也さんっ! 信也さんの笑顔は素敵過ぎですっ!」
由紀:「信也さん...... リルちゃんに向ける笑顔...... 女性は......
直ぐに......ノックダウン......」
オレ:「.......はぁ......」
なんと言うか......オレの笑顔がレアだから......って意味ではなく?
まだ納得できていないと、更に他の女性陣から声が掛かる。
弥生:「信也く〜ん...... そろそろ自分の魅力に気付かないと、罪作りな男になっちゃうぞ〜?」
オレ:「......もう手遅れのような気が......」
そこで、白泉さんに手を握られ、身を乗り出してこう言われた。
奈菜:「でしたら、今すぐ私と......」
沙耶:「奈菜さんっ! 抜け駆け禁止ですっ!」
理香:「でも〜、アプローチは〜、積極的にしていかないと〜......」
そう言いながら、法泉さんはオレの右腕に抱きつく。
佳苗:「理香さんズルイ〜!」
由紀:「私も......」
更に、左手に抱きつく佳山さん。
......これはいつもの展開でしょうか......
でも、そろそろリルが......と思ってリルを見てみると、リルは幸助さん
とジョセフィーヌちゃんと一緒にのんびり寛いでいた。
違う方向を見ている為、オレの状態については勿論気付いてない。
......リル〜! 気付いてくれ〜!
念を送るも、届かない.....というか、
詩織:「しっ......信也さんっ! きっ......今日は私のことを見てくださいっ!」
森中さんに顔を両手で掴まれて森中さんの方を向かされた。
オレ:「やっ.....あのですね......」
森中さんは少しムッとしながら、オレの首に手を回し、オレの頬にキスをした。
理香:「あら〜、詩織さん、ナイスアプローチですわ〜」
ニコニコしながらも少々怖い法泉さん。
余韻に浸る間もなく離れる森中さん......少し可哀想だなぁ......
奈菜:「私もよろしいですか?」
や......オレの身体に抱きつきながら行儀よく聞かれても返答に困る訳ですよ。
由紀:「これは......チャンス......」
更に抱きついてきて頬にキスしてくる佳山さん。
奈菜:「......私もキスさせていただきます。」
有無を言わさない白泉さんの反応。まぁ、少し怒っているっぽいけど可愛いから許しましょう。
......が、右腕に抱きついている法泉さんから発せられるオーラ
がドンドン凶悪になってきているのは気のせいでしょうか......
幸助:「信也君〜...... モテモテだね〜...... 羨ましい限りさ〜......」
幸助さん、羨ましいなら変わってあげますから助けてください!
そう思った所で、リルがオレの方に近づき、「ヴゥ......!」と唸り声を上げた。
それでみんなオレから離れてくれてやっとひと心地着く事ができた......のだが......
奈菜:「信也さん、今日は逃がさないです。」
......逃がさないってどういう意味でしょう?
理香:「そろそろ〜、慣れていただかないと〜」
......慣れるって何にでしょう?
帰り際、リルが見ていない状況で白泉さんと理香さんに抱きつかれ、両頬にキスされたのだった。
まぁ、勿論、あんな綺麗な方々に好かれるのは嬉しいですよ?
でも、やっぱり.......何というか......今の状況は......素直に喜べないんだよなぁ.....