第五九話:妹犬がツンデレる(その2)
第五九話:妹犬がツンデレる(その2)
そうこうしているうちに、他の妹犬達がオレの方に集まり出した。
オレ:「ん? みんなどうした?」
オレがみんなの顔を見ると、舌を出して「ハッハッ!」としたり、
後ろ足で立ってオレの膝を前足で押したりしてきた。
オレ:「よし! 遊ぼうか!」
オレがそう言うと、みんな嬉しそうにオレの袖やら裾を噛み始める。
......という事で、オレはいつものように遊び始めた。
が、ジョセフィーヌちゃんだけはそんなオレや妹犬達を見ながらも、
一緒に遊ぼうとしなかった。
リルと幸助さんの方を見ると、幸助さんは相変わらずリルと一緒に遊んでいた。
弥生:「おっ?! 信也くんと妹犬達のいつものが始まったみたいね!」
奈菜:「そのようですね。 ホント、楽しそうです。」
佳苗:「信也君は相変わらず凄いなぁ〜......」
由紀:「でも......ジョセフィーヌちゃん......寂しそう......」
理香:「そうですわね〜...... みんなと一緒に遊ばないですわね〜......」
ジョセフィーヌちゃんは、相変わらず外周を歩いていた。
オレは妹犬達と遊びながら時々ジョセフィーヌちゃんを呼んでみたが、
こちらに来る気配はない。
時々、オレ達ではなく幸助さんの方を見ているらしい。
そして、オレが幸助さんとリルの方に走り出してみんなと遊んでいると、
そのうち何匹かの妹犬達が幸助さんの方にも行き始めた。
幸助:「やぁ〜......みんな元気だね〜......」
カリンちゃんに押し倒され、ナナちゃんやリルやケイちゃんに袖やら裾
を噛まれて引っ張られて、少々ビックリ気味な幸助さん。
すると、そこにジョセフィーヌちゃんが走ってきて他の妹犬達を追い払い、
幸助さんの袖を噛んで立ち上がらせようとした。
幸助:「ジョセフィーヌ〜...... ありがとう〜......」
そう言ってジョセフィーヌちゃんの頭を撫でようとしたが、再びジョセフィーヌちゃん
は知らん振りをして幸助さんから離れた。
幸助:「ジョセフィーヌ......」
幸助さんは少し寂しそうな顔をする。
気を取り直してオレがみんなと遊んでいると、幸助さんがオレと同じようにみんなと遊び始めた。
そして、少々息を切らせながらこう言ってきた。
幸助:「信也君〜...... キミはいつもこんな遊び方をしているのかい〜......?
僕にはあまり長くは無理そうだよ〜......」
オレ:「ん〜......みんな元気だから揉みくちゃになりますが、楽しいと思いますよ?」
幸助:「キミはとても素晴らしいね〜...... 人気が出るのも良く分かるよ〜......」
オレは、苦笑いしながら
オレ:「ありがとうございます。」
と答えた。
そして、その後幸助さんは芝生の上に大の字で寝転び、
幸助:「流石の僕も〜...... もうダメさ〜......」
と言った。
そんな姿を見たジョセフィーヌちゃんはいつの間にか幸助さんの横に来て、
幸助さんの寝転がる横に座った。
幸助:「ジョセフィーヌ〜...... 僕を心配してくれているのかい〜......?
僕は嬉しいよ〜......」
そう言って幸助さんは寝転がったままでジョセフィーヌちゃんの背中を撫でた。
ジョセフィーヌちゃんは優しい顔をして幸助さんを見つめていた。
数分して幸助さんは立ち上がり、
幸助:「ジョセフィーヌ〜...... みんなと一緒に遊ぼうか〜......」
と言ったが、ジョセフィーヌちゃんは再び庭の外周に歩いて行ってしまった。
......ん〜......ホント素直じゃないなぁ.....ジョセフィーヌちゃんは......
オレがそんな事を考えていると、他の妹犬達がジョセフィーヌちゃんの方に走っていく。
みんなジョセフィーヌちゃんを囃し立てるが、ジョセフィーヌちゃんは全く意に介さないようで、
知らん振りをして外周を歩いていた。
そして、オレがみんなを呼ぶとジョセフィーヌちゃん以外が再びオレの方に走ってきて遊び始めた。
.......ジョセフィーヌちゃん......遊ばないのかなぁ......
オレ:「ジョセフィーヌちゃんはいつもどんな風に遊んでいるんですか?」
オレが他の妹犬達と遊びながら座り込んでいる幸助さんに聞いてみると、幸助さんは、
幸助:「ん〜...... いつもは〜..... ボールを投げて取ってこさせる感じだろうか〜......」
オレ:「なるほど...... そういえばみんなともそういう遊び方をしてなかったですね〜.....」
オレはそう言いながら、庭に落ちているボール3個を拾い、投げて遊び始めた。
幸助さんも3個拾って妹犬達と遊んだ。
数分した所で、オレはジョセフィーヌちゃんを見てみた。
すると、ジョセフィーヌちゃんは幸助さんをじっと見ていた。
オレ:「幸助さん......ジョセフィーヌちゃんが寂しそうに見てますよ?」
幸助さんはオレの言葉でジョセフィーヌちゃんの事を忘れていた事に気付き、
ジョセフィーヌちゃんの方を見ながら、
幸助:「あぁ〜...... そうだったね〜...... 何か物足りないと思っていたんだ〜.....
ジョセフィーヌ...... おいで〜......!」
と言った。
すると、ジョセフィーヌちゃんは堰を切ったように走り出し、幸助さんに突進して行った。
そして、幸助さんを押し倒すと、幸助さんの顔を思いっきり舐め始めた。
思いっきりビックリする幸助さん。何があったか一瞬分からなかったらしい。
が、すぐに嬉しそうな顔をして上半身を起こし、ジョセフィーヌちゃんに顔を舐められながら、
幸助:「あぁ〜......ジョセフィーヌ〜...... こんなにも僕を愛してくれていたんだね〜......
僕もキミの事を愛しているよ〜...... 大切な大切な僕の妹さ〜......」
と言い、ジョセフィーヌちゃんの頭を撫でた。
オレ:「幸助さんは今日はリルとばかり遊んでいて、ジョセフィーヌちゃんは今日
は殆ど呼ばれていなかったから寂しかったんですよ。」
幸助:「そうか〜...... そうだったのか〜...... ごめんな〜......」
そう言いながら幸助さんはジョセフィーヌちゃんの頭を撫でた。
ジョセフィーヌちゃんは「クゥンクゥン......クゥ〜ン......」
と泣きながら幸助さんの顔を思いっきり舐めた。
ん〜......何ていうか......ジョセフィーヌちゃんは......ツンデレ?
最初は法泉さんが犬だったら......みたいな風に思ってたけれども、やっぱり違うな。
少なくとも、法泉さんはツンデレじゃないからね。