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第五話:妹犬が来て兄バカになる

第五話でございまする。


今回は、主人公が新しい家族をただの犬ではなく、妹と認識するお話ですよ。

兄バカ加減は、これから少しづつ発揮されていく事でしょう......

第五話:妹犬が来て兄バカになる



リルが来た次の日は月曜日である。

朝の早い時間にリルに起こされ、部屋でオシッコを漏らされ、

結局はもうその時間に起きるしかなく......

眠い眼をこすりながら、リルの事を見る。

リルは、自分が悪い事をした事を理解しているらしく、耳を後ろに畳んだ状態で、

「キャンキャン」と悲しそうに泣きながら、一生懸命にオレの顔を舐める。

オレ:「リル......わかったから......オレが悪かったよ......

    オシッコが漏れそうだったから起こしてくれたんだよな?

    気付いてあげられないオレが悪かったんだよ。ごめんな。」

そう言ってリルの頭を撫でて、それから粗相をした始末をする為、台所の床にある雑巾を取りに行った。

リルはそんなオレの後ろを申し訳無さそうに付いてきた。

粗相をした場所がフローリングであったのが不幸中の幸いかなぁ......などと思いながら、

リルの方を見る。

リルは、オレが床を拭いている間も、行儀よくお座りしてオレの方を申し訳無さそうに見ていた。


......でまぁ、拭き終わったのは5:30頃である。

まだ学校に行く準備をするのも早い。

もう一眠りしようかな......とベットの中に入ろうとすると、リルがまた大きく「ワン!」と吠える。

オレ:「リル......まだ何かあるのか......? お兄ちゃんは眠いんだけど......

    ......もしかしてトイレか?」

オレがそうリルに聞くと、自分の思いが通じた事が嬉しいのか、リルは嬉しそうな顔をして、

足をバタバタとさせた。

どうやら、やはりトイレに行きたいらしい......

しょうがない、家の中には犬用のトイレは作ってないし、散歩に連れて行くか......

オレ:「......分かったよ......しょうがいなぁ......

    今、着替えるから待っててくれ。」

オレがそう言うと、リルは嬉しそうに尻尾を振りながらも、「早く早く〜!」と言わんばかりに、

足をバタバタと動かした。



着替えて外に出ると、時間はまだ6時前である事と季節が春先である事があいまって、結構肌寒い。

オレ:「リル、散歩行くぞ〜」

と言いながら、リルに首輪を付け、リードを持つ。

外に出ると、オレの持つリードの端の余り部分を自分で噛んでオレをせかすように、

嬉しそうに跳ねたり走ったりした。

オレ:「リル、そんなに嬉しいのか?

    ......とりあえず、公園の方に行くか。」

なんと言うか......朝早く起こされたりしたのは辛い所ではあるが、やっぱりリルは可愛い。

真っ白で、眼がクリクリで、寂しがり屋で甘えん坊。


公園で、オレはリルのリードを離し、リルの様子を見ていた。

リルは、オレの場所を伺いながら、公園の草地の匂いを嗅いでいた。

......犬ってこんなにも表情が豊かなんだな......

正直、こんなにも色々な表情があるとは思ってなかったよ。

嬉しそうな顔、申し訳無さそうな顔、寂しそうな顔......

嬉しそうな声、悲しそうな声、切羽詰まった声、遠慮がちな声......

こうして見ていると、人間の子供と変わらない気がしてくる。

うちに来た新しい家族、可愛い小さな女の子。

今朝の夢の事もあいまって、リルの事をただの犬と思えなくなったような気がする。


オレ「リル〜、おいで〜」

オレがそうリルを呼ぶと、リルは嬉しそうに駆け寄ってきた。

オレはリルの頭を撫でて、リルの目線になって

オレ:「リル、リルはお兄ちゃんの事好きか?」

と、リルに聞いてみた。

すると、リルは嬉しそうに眼を細め、耳を後ろに畳んでオレの顔を舐めてきた。

オレ:「そうかそうか、リルはお兄ちゃんの事好きか〜

    お兄ちゃんもリルの事大好きだぞ〜」

そう言うと、リルは一層オレの顔を舐めてきた。

何というか......リルの何の掛け値もない愛情表現が嬉しく感じられる。

オレの中で、リルへの愛しさも感じられる。

オレ:「あぁ〜っ、もうリルはホントに可愛いな〜」

オレはリルの頭を撫でた。


......そういえば、オレって無意識に、リルに向かって自分の事を「お兄ちゃん」

って言ってたんだな......

でも、リルはオレの事を「お兄ちゃん」って認識してくれているんだと思うし、

こんな可愛い女の子(犬)に「お兄ちゃん」って思われてたら嬉しいよな〜.......

オレ:「リル〜っ、リルはお兄ちゃんの可愛い妹だぞ〜

    ず〜っと、ず〜っと、お兄ちゃんの大好きな、大切な妹だからな〜」

オレはそう言いながら、頭を撫でた。

リルはオレのその言葉と思いに答えるように、オレの顔を舐めた。


......こうして、オレは妹(犬)ラブな、親バカならぬ、立派な兄バカになった.......

以上、第五話、妹犬が来て兄バカになるでした。


犬って、飼っている人や飼った事のある人には分かると思いますが、ホントに表情豊かです。

オレはリルがうちの家族になった時、その表情の豊かさにビックリもしましたが、

それ以上に、特にリルについては、もうただの犬じゃなくなってましたよ。

だから、オレは「うちの犬」とは言わず、「うちの妹犬」と言ってました。

「ただの犬」と思われるのも悔しかったんでしょうな。

それ位、友人にリルの写真を見せても「可愛い〜!!」と間違いなく言われる、自慢の妹でした。


これからのエピソードで、そんなリルの可愛さが伝えられたら嬉しいかなと思いまするよ。

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