第五七話:妹犬達とサークル活動(Part3)
第五七話:妹犬達とサークル活動(Part3)
今日はサークル活動の日。
......という事で、リルを連れて待ち合わせの場所に来た訳だが......
既にサークルのメンバーは到着していた......のはOKとしよう。
まぁ、別にオレも遅れた訳じゃないし、時間の10分前には到着してる訳だしな。
が......知らない女性が3人ほど......別に犬を連れても居ない訳で......
オレが到着した途端に「キャー!!」とか言い出す始末......
あぁ......高校時代を思い出すなぁ.......
とか感慨に耽っている訳ではなく、嫌な思い出を思い出すだけだ。
オレ:「おはようございます。」
詩織:「おっ......おはようございますっ!」
リルも他の妹犬達と挨拶を交わしている。
オレ:「今日は......知らない方が3人いるみたいですが......」
弥生:「あぁ、その事ね。信也君&リルちゃんファンクラブの人よ。」
オレ:「......リルは良しとして何でオレ?!」
奈菜:「信也さんの魅力は私達以外にも理解されるという事です。」
沙耶:「そうそう! 信也君は元がいいんだから、
あの写真で人気が出るのもしょうがない事よ!」
皆川さんはオレにウィンクして答えた。
オレ:「別に人気が出ても嬉しい事なんかないんですが.......」
理香:「私達としても、信也さんに人気が出る事は、あまり好ましくは無かったのですが〜......」
由紀:「出て......しまった......から......こちらで......管理......」
オレ:「? どういう事ですか?」
佳苗:「要は、サークル活動に、ファンクラブの数人に参加権利を与えるようにして、
信也君への負担をへらしてあげようって事!」
オレ:「......なるほど......」
確かに、それならオレの負担は減るな。
みんなには感謝するべきだな、これは。
オレ:「わざわざありがとうございます。」
理香:「いえいえ〜 私達としても、由々しき事態でしたから〜
こうなる事は私達にとってもメリットがありますから〜」
オレ:「ふむ......」
まぁ......そこまでオレも鈍くはないよ。
オレに人気が出たら、そりゃ告白してきた人達なんだから、色々と考えるだろうからね。
オレ:「で......これで全員ですか?」
弥生:「いいえ、もう一人来るのよ。」
オレ:「そうですか......」
佳苗:「あっ、来た来た......あの人みたいですね。」
安西さんの見ている方向を見ると、男の人が犬を連れて歩いてきていた。
男:「やぁ〜......みなさんお揃いで〜...... おはようございます。
少し遅れてしまったかな〜......?」
弥生:「いいえ、時間ピッタリよ。あなたがファンクラブの方かしら?」
男:「そうだよ〜...... 僕はファンクラブの会員さ〜......
名前は加藤 幸助と言うんだ〜......
以後、お見知りおきを〜......」
男は右手を前に出して、お辞儀をしながら胸の方へと回して挨拶をした。
ん〜......なんかナルシストっぽいな......
......ってか、オレのファン?! 男が?!
少し引いていると、男はオレの前にやって来て、こう話してきた。
幸助:「やぁ、君が藤崎信也君だね〜......? 僕は加藤幸助と言うんだ〜.....
よろしく頼むよ〜......」
そう言った後、リルの前にしゃがみ込み、
幸助:「ん〜......リルちゃん可愛いね〜......
僕はリルちゃんのファンなんだ〜......
妹のジョセフィーヌ共々、よろしく頼むよ〜......」
と言った。
あぁ......そういう事か......リルのファンなら納得、そして大歓迎。
オレ:「幸助さんの妹さんはジョセフィーヌと言うんですね〜......
ジョセフィーヌちゃんも可愛いですね。
藤崎幸助です。よろしくお願いします。」
幸助:「幸助でいいさ〜...... こちらこそよろしくだよ〜......」
そこでオレと幸助さんは握手を交わした。
そして、幸助さんはリルに挨拶して、頭を撫でたりしていた。
幸助:「ん〜......リルちゃんはホントに可愛いねぇ〜.......
僕のジョセフィーヌも可愛いけれども、違った可愛さを持っていて、
僕は君にとても会いたかったのさ〜.......」
リルは幸助さんに褒められているのが分かっているのか、とても嬉しそうな顔をしている。
オレもジョセフィーヌちゃんに挨拶しようと、ジョセフィーヌちゃんの目線
になって顔を近づけ、頭を撫でた。
ジョセフィーヌちゃんはオレの顔をペロっと1回舐めて挨拶をしてくれた。
そこで、リルは「ヴゥ......」と嫉妬し、幸助さんの前からオレの方に寄ってくる。
幸助:「おやおや〜...... ホントにリルちゃんは君が大好きなんだね〜......
ジョセフィーヌも僕に嫉妬してくれるとうれしいんだけどね〜......
ジョセフィーヌはあまり動じてくれないのさ〜......」
オレ:「ふむ......」
確かに、結構知らん振りな雰囲気だ。
オレ:「ジョセフィーヌちゃんは珍しい犬種ですね。何ていう犬種なんですか?」
幸助:「サルーキという犬種なんだ〜...... 高貴な僕と同じで、この子も高貴なのさ〜......」
オレ:「なるほど......」
まぁ、幸助さんが高貴なのかは置いておいて、ジョセフィーヌちゃんはしっとりとして穏やかだ。
例えるならば、法泉さんが犬だったら......みたいな?
詩織:「そっ......それではっ! きょっ......今日は私の家なのですっ!
そっ......そろそろ向かいますっ!」
幸助:「あっ、そうそう......
今日は僕にリルちゃんのリードを持たせてもらえるかな〜......?」
オレ:「あっ、いいですよ。」
そう言い、オレはジョセフィーヌちゃんのリードを持ち、リルのリードを幸助さんに渡した。
幸助:「それじゃぁリルちゃん、行こうか〜......」
......と言う訳で、森中さんの後ろに続いて、みんなで森中さんの家に向かい歩き出した。