第五五話:妹犬と兄バカが大学でも評判になる(その4)
申し訳ないです。
サブタイトルの話が五四話になっていたので修正いたしました。
ので、一度見た方は内容は変わっておりませぬのでご了承くださいませ。
第五五話:妹犬と兄バカが大学でも評判になる(その4)
記事を見終わったオレが回りを見ると、敵意剥き出しの男達がオレを囲んでいた。
......ホントにオレはこの大学の男の大半を敵に回したらしい.......
省吾:「信也君? 何かコメントはあるかな?」
省吾は笑顔だが口の辺りが引き攣っている。
オレ:「......誰かオレの話を聞いてくれ〜!!」
オレの心からの叫びだった。
そこで女性の声が聞こえた。
女性:「はいはい〜! みなさんちょっとごめんね〜!」
声の方を見ると、オレを囲う男共をかき分けて女性がオレの前に立った。
女性:「新聞部です。藤崎信也さん、今回の事件について、あなたに聞きたい事があります。」
オレ:「事件って......物凄く人聞き悪くないですか?」
女性:「この騒ぎを見たら事件である事は変わりないと思いますが?」
オレ:「そりゃまぁ...... でも、大騒ぎにしたのかこの記事のせいじゃないですか?」
女性:「それはそうかも知れませんが、あのポスターが貼られた時点で事件
は既に始まっています。
それに、この事件の真相を追究しなくては、もっと大変なこと
になってなかったでしょうか?」
オレ:「ん〜......でも、この記事は誤解をする所ばかりじゃないですか?」
女性:「では、今回の事件の真相をあなたから語っていただけますか?」
オレ:「......分かりました。」
とりあえず、誤解を解く記事が書かれるならば、むしろオレにはプラスかもしれない。
それに、この女性ならオレの話を聞いてくれそうだ。
オレとこの女性が話をしている間は、男共も特に動く感じもないし......
オレは今回の件に関する誤解を解く為に、女性に真相を話した。
そして、それを聞いた男共も、オレの言葉で何となく怒りを収め、散っていった。
そして、その2日後の帰り、今度は女性陣の好奇の目線が更に強まった。
男共の敵意の目線は特に変わった感じはない。
......ん〜......収まった気配はないし、逆になんか酷くなってる気が......
......そう言えば、前回の新聞部の取材の件が貼られている頃だろうか......
オレは前回、新聞部の新聞が張られていた場所に行ってみる事にした。
新聞部の新しい記事は、前回の記事の横に張られていた。
題名は「渦中の男、真相を語る!
『リルが可愛くて可愛くて』『リルの事を愛しています』」
......まぁ、題名は良しとしようか......
さて......何々?
記事:私は今回、渦中の男である藤崎信也(大1)の独占取材に成功、
直接真相を聞くことができた。
彼は淡々とこう語った。
「リルはオレの大切な大切な存在です。何者にも変わるものは居ません。」
.......うん、まぁここいらは妥当だな。
記事:「リルという名前はオレが付けました。オレがリルとお袋にこの名前はどうか
と聞いた時、リルは耳をピクっとさせて直ぐに気に入って喜んでくれたんですよね。
寂しがり屋で甘えん坊で、ほんとにリルが可愛くて可愛くてしょうがないです。」
......リルの事もちゃんと書いてくれてるな、うんうん。
記事:「リルを通じて彼女達とは知り合いになりました。
知り合いになった時に彼女等に告白された時はビックリしましたが、
今もいい関係が続いていると思います。
でも、今回の件は流石にビックリしました。
彼女達をこんなにも追い詰めていたなんて.......」
......オレの反省している点もちゃんと書かれているな、よしよし。
でもなんか引っかかるな......
記事:「リルは彼女達がオレに何らかのアプローチを仕掛けてくると、
『ヴゥ〜......』って嫉妬して威嚇してくるんですよ。可愛いでしょ?
オレもそんなリルの姿が嬉しくて可愛くて、ホントに堪らなく愛おしいです。
オレはリルの事を愛しています。リルもオレの事を愛してくれていると感じています。」
......ん〜......まぁ、変な所はない......かな......
でも何だか違和感が.......
記事:「彼女達は、リルの事を最初から可愛いって言ってくれてたし、
嫉妬するリルの姿にも彼女達は可愛いって言ってくれていたから、
まさかあんな風に思ってたとは思わなかったです。
正直ビックリしました。
リルにばかり感けて、彼女達の事を蔑ろにしていた感は否めません。
もう少し、彼女達の事を見るようにしなければと反省しています。」
......この辺りも......大丈夫か......
この違和感は何だろうか......
記事:彼女達との付き合いを認めた藤崎信也は、終始リルちゃんに惚気ていた。
彼女達が嫉妬して前回のような凶行に至る理由も良く分かるというものだ。
自分では気付いていないのであろうが、彼はリルちゃんの事を話す時
はデレデレだがとてもいい笑顔を見せていた。
確かにリルちゃんは可愛い。物凄く可愛い。
しかし、一人の女性として、付き合っている彼女等を差し置いてリルちゃんだけ
を甘えさせるのはどうかと思う。
そして、あの笑顔を自分にも向けて欲しいと思うのは彼女であれば当然であろう。
......はい? ......あれぇ? ちょ〜っと待とうね〜?
記事:最後に、写真部提供のリルちゃんと彼の写真を載せるが、よく見て頂きたい。
リルちゃんは凄く可愛い。物凄く可愛い。この上無く可愛い。
私も実物のリルちゃんに会いたいと思う程に可愛い。
彼が溺愛するのも良く分かるというものだ。私もこんなワンちゃんなら欲しい。
そして、リルちゃんと一緒の彼はとても素敵な笑顔を見せている。
彼女達が惚れるのもよく分かるというものだ。かく言う私も既に彼のファンだ。
ともあれ、今後の彼とリルちゃんに私はこれからも注目していきたいと思う。」
......うん、リルが可愛いって書いてくれるのはとても嬉しいですよ?
でも、オレとリルのこの写真がA4カラーで貼り付けてるのは何故でしょう?
A4サイズって......幾ら何でもデカくないですかい?
それに......あれぇ〜? .......おかしいなぁ.......
どこか読み飛ばしたかなぁ.......
......
......まだ誰とも付き合ってないって話、何処にも書いて無いじゃん!
そこで呆然としていると、オレの後ろから省吾が声をかけてきた。
省吾:「よぉ、信也君、元気してるかい?」
オレが振り向くと、省吾の他にも男共が再びオレを囲っていた.......
が、よく見ると半数が男で半数が女性.......
男共は怒りを表に出し、女性陣は好奇の目線をオレに向けていた。
......この状況をオレにどうしろと......
って言うか、何だか更に悪化している気がするのはオレだけだろうか......