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第五四話:妹犬と兄バカが大学でも評判になる(その3)

第五四話:妹犬と兄バカが大学でも評判になる(その3)



その2日後の放課後、オレは大学の講義を終え、家に帰ろうとしたのだが.......

......ん〜......何だか視線が痛いというか......何気に注目されてないか?

そんな訳はないとは思うんだが、何故か、前後左右から視線を感じる。

ん〜......何かしたっけ、オレ......

そこで、オレの肩を後ろから叩きながら省吾の声が聞こえた。

省吾:「よっ、有名人!」

オレ:「......」

......なんというか、2日前の同じパターンだ。

違うのは、オレが沈黙して省吾を半目になって見ている事。

省吾:「......何だよ......何か機嫌悪そうだなぁ、信也......」

オレ:「知らない男に敵意の視線送られたり、知らない女性に好奇の目で見られたりしたら、

    誰だって不機嫌になるだろ......」

省吾:「......ホント、お前は周りだらどう見られているかを気にしない男だよなぁ......」

オレ:「もう理由は分かってるよ。」

そこで、省吾はニヤニヤしながら

省吾:「ホントか?」

とオレに聞いてきた。

オレは、

オレ:「あぁ、例のポスターだろ?」

と、省吾に短く聞いたが、省吾は更にニヤニヤしながら、

省吾:「ん〜.......実はそれだけじゃないんだな〜......

    お前、今日は何処に居ても男共の敵意受けてただろ。」

オレ:「まぁ......確かに......」

そこで、他の男共と同じように省吾が敵意をオレに向けてこう聞いていた。

省吾:「......聞いたぞ......

    お前......白泉さんだけじゃなく、浅生さんと法泉さんまでお前の恋人なんだってな......」

その言葉が発せられた辺りから、周りの男共がオレを囲むように寄ってきた。

......ってか、ちょ〜っと待てよ?

今、物凄く聞き捨てならない言葉を聞いたような......

オレ:「ちょ〜っと待て......誰がオレの恋人だって?」

省吾:「白泉さんだけじゃなく、浅生さんと法泉さんまで......」

オレ:「だから、オレの話を聞けよ!」

省吾はもうオレの話を聞いていない。

省吾:「信也...... オレはお前を友達だと思っていたのに......

    お前が法泉さん達と知人なのは知っていたが、まさか、恋人同士だとは......

    しかも、公認の3股とは.......」

オレ:「チョット待て! お前は思いっきり誤解している!」

慌てているオレを余所に、省吾や他の男共はオレを囲う。

更に、その周りには好奇で近寄る女性の輪ができている。

省吾は、そこで作り笑いを浮かべながら

省吾:「ん〜? 誤解とはどういう事かな〜?」

と聞いてきた。

オレ:「だから! オレはまだ誰とも付き合ってないっ!」

すると、周りの男から声が聞こえる。

A男:「嘘を吐くな! ネタは上がっているんだ!」

B男:「そうだ! お前に抱きつく3人を見た者が居るんだぞ!」

あ〜......そういう事ですか......

オレ:「だから、それが誤解だっての!」

C男:「誤解な訳あるかっ! あのポスターを見ろ!」

オレ:「......は?」

オレは男が指さす方を見た。

オレ:「ん〜...... 済まないが、ここからじゃ見えないから見に行っていいか?」

そう言いながら、周りに居る連中をかき分けてポスターの方に向かう。


ポスターを見て絶句。

オレ:「な.......な...... なんじゃこりゃ〜!」

某有名俳優張りの迫真の演技ならぬ、迫真の驚きがオレを直撃した。

そこには、前回のお茶会で、リルに頬擦りするオレと、オレの横に座って

オレに寄り掛かる法泉さんの写真のポスターがあった。

......え〜っと.......これはどういう事でしょうか......

D男:「それだけじゃないぞ! あのポスターを見ろ!」

オレは顔を青くしながら、更に別の男が指さした方にあるポスターの方に向かう。

オレ:「......これはどういう事だ〜!」

迫真のオレの驚き表現。しかし、誰もオレのそんな叫びに耳を傾けてはくれない。

そこにあったのは、前回のお茶会で、リルを後ろから抱きしめているオレと、

オレの横に座ってオレの肩の上に自分の顔を乗せている浅生さんの写真のポスターだった。

そして驚いているオレの肩をポンと叩き、省吾がこう聞いてきた。

省吾:「さぁ、信也君? キミが白泉さんだけではなく、法泉さんや浅生さん

    と付き合っているのは明白だぞ?」

オレ:「だから誤解だって!」

E男:「誤解な筈はないじゃないか! あれを見ろ!」

オレは顔を青くして困惑の表情で再び別の男が指さす方へと向かう。


そこには、新聞部の記事があった。

題名は「我が大学の3年生美女トリオが一人の男の毒牙に!!

    『悪気はありませんでした。』『ちょっとした出来心でした。』

    『今も後悔していませんとも!』」

.......物凄く嫌なタイトルだな......

......何々?

記事:我が新聞部は、突如張られた写真部のポスターについて、

   3年美女トリオに写真の真相を聞く為、彼女等に独占取材を行った。

   それによると、一緒に居る男の名前は藤崎信也(大1)。

   一緒に写っているのワンちゃんは男の買っているリルちゃん(メス:3歳)で、

   男がリルちゃんを溺愛する余り、恋人である自分達を構ってくれないと嘆き、

   今回の凶行に及んだとの事。

......凶行って......しかも彼女等が恋人になってるし......

記事:白泉さん:「悪気はありませんでした。

         ただ、リルちゃんだけではなく、私の事をもっと見て欲しかったのです。」

   法泉さん:「リルちゃんばかり可愛がって、私を可愛がってくれなくて嫉妬してしまいます。

         今回の事は、ちょっとした出来心でした。」

   浅生さん:「だって、リルちゃんばっかり甘えさせてズルイよ!

         私だって甘えたい時はあるもの!

         ええ、今も後悔してませんとも!」

   との事だった。

......オイオイ......どっかの事件のようなコメントだな......

記事:3者3用ではあるが、男に自分を見て欲しいという彼女等の思いが今回の事件

   を引き起こした事は明白な事実であろう。

   男の今後の動向によっては、第4第5の彼女等が現れる可能性が極めて高い。

......第4第5って......しかも事件ですか.......

記事:最後に、藤崎信也! お前はこの大学に居る大半の男達を敵に回した!

   無事に過ごす事ができると思うなよ!?

......どうコメントしたらいいのやら......

というか、この記事自体が何処かおかしくないか?!


全ての記事を見終わったオレは、ただ呆然とするしかなかった。

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