第四話:妹犬(?)の夢を見る。
第四話でございまする。
今回は少しファンタジーな感じになります。
でも、オレにとって、これはオレとリルの思いそのものでありたいという考え
でもありまするよ。
第四話:妹犬(?)の夢を見る。
その日の夜、オレは不思議な夢を見た。
昔々、オレがまだ小さい頃の夢。
雪が積もった中で、オレは真っ白な犬と遊んでいる。
オレが走り出すと、楽しそうに追いかけてくる。
オレが呼ぶと、嬉しそうに走り寄ってくる。
オレ:「お前は可愛いな〜......お前を飼う事ができたら一番嬉しいんだけれども、
うちは貧乏でアパート暮らしだから、飼う事ができなんだ.......ごめんね......」
オレがその犬にそう声をかけると、その犬はオレの顔を見て、こう答えた。
犬:「お兄ちゃん、私もお兄ちゃんと一緒に暮らしたいな......
でも、それは叶わないんだね......」
犬が喋った事にオレはびっくりした。
引いたりはしないけれども、物凄い驚きっぷりだったのだろう。
犬は、少し申し訳無さそうな顔をして、
犬:「いきなり話しちゃってごめんなさい。びっくりしたでしょ?
でも、こんな機会がないと話す事もできないから、私の思いはしっかり
と伝えたいの。」
とオレの目を見て話した。
犬がオレにそう話した事で、オレは真剣にその犬の言葉を聞こうと思い、
しっかりとその犬に向き直った。
犬:「私は、いつか、お兄ちゃんと一緒に暮らしたいって思うの。
だから、その時が来るまで待ってる。
お兄ちゃん、私のこと、忘れないでね!」
オレ:「うん、忘れない。お前といつか一緒に暮らせる日が来る事を信じてるよ。」
犬:「うん、お兄ちゃん、大好き!」
その言葉を聞いたオレがその犬を抱きしめた所で、頬に何か暖かいものが当たる感触があり、
オレは目が覚めた。
目が覚めると、リルがオレの顔を一生懸命に舐めていた。
オレ:「リル.....お前が起こしたのか......」
まだ眠い......リルの頭を撫でながら時計を見ると、時計はまだ朝の5時を指していた。
起きるには早い。
オレ:「まだ5時じゃないか......もう少し寝てようよ......」
と、リルに話しかけながら、リルの顔を見た。
夢の中の犬とリルの顔がだぶる。
オレ:「あの夢の犬はリルなのか?
......でも......似てるけど......違うのかな......」
リルはオレの問いかけに答えるように、再びオレの頬を舐める。
オレ:「こらこら、リル、いいからもう少し眠ろうよ。」
そう言って、リルを抱きしめて腕枕をして眠ろうとするが、リルは再び起きて
遠慮がちに小さく「ウァウ......」と吠ええる。
オレ:「どうした? まだ早いぞ? 兄ちゃんはまだ眠いから眠らせてくれ......」
と言ってもリルは眠ろうとせず、遠慮がちに小さく「ウァウ、ウァウ......」と吠えながらも、
なんだかバタバタと足をバタつかせ始めた。
ぬぅ......起きないといかんのかな.......
でも......まだ眠いしなぁ.......
よし、無視して眠るっ!
そう決めて、オレはリルに向かって、
オレ:「眠いっ! お休みっ!」
と言った。
が......リルは今度は遠慮なしに「ワン!」と甲高い声で大きく吠えた。
オレ:「こらっ!静かにしろっ! まだ早いんだからもう少し眠れっ!」
......と言いながら起き上がると、リルは......オシッコを漏らしてた......
あぁ......そういう事だったのね.......
リルは、「だから言ったのに〜!」と言わんばかりに、「クゥ〜ン......」と泣いた。
以上、第四話、妹犬(?)の夢を見るでした。
これは、オレがリルがうちの家族になって、半年位経った頃かな......
プロローグで書いた、小学2年生の頃の事を思い出して......
リルに「お前はあの時の子なのかな......」なんて話し掛けた事がありました。
実際の所、あの子の姿はもうぼやけてしまって、ちゃんと覚えてないんですが、
似ている気もしたし、オレが出会ったあの子は成犬で、あれから10年くらい経ってたし、
可能性はなくもないかな......とか考えたりして......ね。
それで、今回はそれを題材にして、少しファンタジーな感じで書いてみたと言う感じです。
ファンタジー的な要素は、基本的にはこんな夢のお話になっていくんじゃないかな......
と思いまするよ。