第四四話:妹犬の兄バカの大学生活(その3)
第四四話:妹犬の兄バカの大学生活(その3)
その後、少々居辛いとも思いながらも、知人であり、今や友人とも言える人達
と会話をするのは楽しいと感じるオレは、敵視する視線をものともせずに、
そのまま、浅生さん、白泉さん、法泉さんの3人と会話を楽しんでいた。
少々会話が途切れた所で、浅生さんが
弥生:「そういえば......信也君って......何気に度胸あるよね.......」
とオレの方を見て話した。
オレ:「はい? 何でですか?」
奈菜:「こんなにも周囲の視線を浴びてるのに、信也さんは動じないで
私達と会話してますから。」
白泉さんは、視線だけを左右に向けて、再びオレの方を見た。
オレ:「ん〜...... 知人や友人と会話するのに何の遠慮がいるんでしょ?」
理香:「やっぱり......私の目に狂いは無かったようですわ。」
と、そこで法泉さんはオレの方を見て、嬉しそうに微笑みを浮かべた。
弥生:「でも......それにしても場慣れしてない?」
理香:「そうですわね......」
と、そこで、白泉さんが、「そう言えば......」と、唇の下に右手の人差し指を当てて、
奈菜:「信也さんは高校時代にアイドル視された事があったんですよね?」
とオレに聞いてきた。
そこで、オレは高校時代の事を思い出し、少し渋い顔をしながら話した。
オレ:「はい......あれは......かなり参りましたよ......
元々、素で睨みつける癖があって、最初は不良と思われてるか、
不良より怖がられてた筈なのに、いつの間にか黄色い声援を浴びてて、
素で睨みつけても知らん振りしてても、キャーキャー言って走り去るだけで、
ホント、お前等何がしたいんだと......」
オレがそんな返答をすると、浅生さんは半ば呆れ顔で、
弥生:「信也君ってさぁ...... 何気に鈍感?」
と聞いてきた。
理香:「鈍感と言うより......無関心......かしら......?」
奈菜:「むしろ......唐変木とも......」
オレ:「......仲間にはいつも唐変木って言われます。」
弥生:「やっぱり......」
と、少々呆れ顔の浅生さん、納得している白泉さんと法泉さんだった。
そんな会話をしていると、次の講義の予鈴が鳴る。
理香:「そろそろ、次の講義ですわね。私達は次の講義がありますが、
信也さんは次の講義はありますの?」
オレ:「はい、オレも次の講義があります。」
と、オレは席を立ち上がった、
奈菜:「それでは、またよろしくお願いしますね。」
オレ:「はい、またよろしくです。」
と、法泉さん、白泉さん、浅生さんも席を立つ。
弥生:「あっそうそう、メーリングリストでも流すけど、次のお茶会は今週末よ。
今回は写真撮影も行なうから、そのつもりでよろしくね?」
オレ:「はい、了解です。」
まぁ、写真撮影があってもオレは変わらないけどね。
リルは......お風呂に入れるくらいはするかな......
と、オレ達はそこで次の講義の教室へ行く為に別れた。
オレが食堂を出て、教室に向かおうとすると、そこで後ろから、
A男:「おい、お前!」
と声が掛かる。
声の方を振り向くと、数人の男がオレを睨みつけていた。
まぁ、理由は分かるが、とりあえず、
オレ:「何ですか?」
と聞いてみた。
B男:「何ですかじゃねぇよ! お前! 浅生さん達と楽しそうに話をしてたよなぁ?!」
オレ:「はい。それが何か?」
オレがそう答えると、向こうは更に怒気を強め、別の男がこう言ってきた。
C男:「それが何かだぁ?! 法泉さん達とはどういう関係だよ?!」
オレ:「友人ですが......それが何か?」
オレは、少々ムッとしながらも平静を装いながらそう答えた。
D男:「ゆっ......友人だとぉ?! それが何か......だとぉ?!
白々しいにも程があるぞ?!」
友人と言って否定されてもなぁ......事実だしなぁ......
オレは頭を掻きながら、そろそろ面倒になってきたので、
オレ:「......そもそも......」
......と少々語気を強め、全員の顔を見た。
オレの顔を見た男達は、少々怖気付いたらしく、目が泳ぎ始めている。
オレ:「友人と話す事に何の遠慮が要るんですか?
あなた方は、友人と話すのに、誰かに断りを入れるんですか?
そして、あなた方は、友人でもないオレに向かって『お前』
とは随分と失礼じゃないですか?
こそこそとオレ達を見て、オレを睨みつけて、みっとも無いも程がある。
注目される身にもなれよ! 気の休まる場所も無い!
彼女等に話したい事があるなら、こそこそ見てないで自分で声かけろや!
それができないなら、最初から注目してんじゃねぇよ!!」
オレの言葉と怒気と表情に、そこでオレを睨みつけていた全員が沈黙し、
恐怖の表情を浮かべる。
オレは全員を睨み付けたまま、
オレ:「......何か言いたい事あるヤツはいるかよ?」
と聞いてみたが、全員が恐怖の表情を浮かべたまま首を横に振った。
オレは呆れて溜め息を吐きながら、
オレ:「......自分に非があるからオレを怖がるんだよ。
非が無いなら怖がる必要なんかない。言いたい事を言えばいい。
それができないでただ怖がるのは、自分が浅ましいからだ。
自分がどれだけ浅ましいか、じっくり考えるんだな。」
と言い、教室へ向かって歩き出した。
そんなオレの姿を見た、オレを睨みつけていた男達は、ある者は震えながら座り込み、
ある者は震えたまま呆然とし、ある者は震えながら涙を流し、全員が
「......助かった〜......」と安堵し、それを見ていた他の男達は、
「声をかけずによかった......」と自分が怒気を受けた訳でもないのに震えていた。
それを見ていた女性陣は、
A子:「誰?あれ......」
B子:「何気にカッコ良くない?」
C子:「でも怖いよね......」
D子:「でも、やっぱりカッコイイよ〜」
と噂をし始めた。
更に、その中には、サークル「愛ラブシスター」の仲間達である皆川さん、佳山さん、
安西さん、森中さんも居て、
沙耶:「ねぇねぇ! 信也君、カッコ良かったね〜!」
由紀:「流石は......私の......選んだ......方です......」
佳苗:「それを言うなら『私達の』だよ〜!
それにしても、凛々しかったわよね! ますます惚れ込んじゃうよ!」
詩織:「わっ......私もっ...... 惚れ直しましたっ!
でっ......でもっ...... ライバルが更に増えそうですっ......」
沙耶:「まぁ......確かに......」
と周りの女性陣を見渡す。
みんな信也の事を怖いと思いながらも、「カッコイイ」とか「凛々しい」と噂している。
由紀:「今度......浅生さん達に......報告......しなくては......」
佳苗:「だね〜...... 結構緊急事態だよねぇ......」
詩織:「とっ...... とりあえずはっ! さっ...... 作戦会議っ! ですっ!」
と、話し合っていた。