第四一話:妹犬との約束(その3)
第四一話:妹犬との約束(その3)
その日の夜、オレは自宅の部屋で寝ていたのだが、
かなり久し振りに妹犬の夢を見た。
真っ白な犬と公園で走り回って遊ぶ。
そして、そこには2匹の黒い犬が一緒だった。
オレ:「ん? 初めて見る子だけど......友達かな?」
犬:「うん、お兄ちゃん! 私にも友達ができたの!」
オレ:「そっか〜! 良かったじゃないか!」
犬:「うん!」
オレは真っ白な犬と2匹の黒い犬が一緒に並んでいる前に座り、
真っ白な犬とそんな会話をした。
......そういえば......名前を考えてたんだよな......
オレは真っ白な犬に向かって話しかけた。
オレ:「なぁ......お前に名前をつけようと思うんだけれども......どうかな?」
オレがそう聞くと、真っ白な犬はオレの顔を見て、嬉しそうに
犬:「お兄ちゃん、ホント?! 嬉しい!」
と答えた。
オレ:「喜んでもらえたらオレも嬉しいよ。
気に入ってくれるといいな〜......と思うけど......」
犬:「お兄ちゃんが付けてくれるなら、どんな名前でも気に入るよ〜!」
真っ白な犬は元気にそう答えた。
オレ:「そっか〜.......
それじゃぁ......リノ......ってどうかな?」
リノ:「うん! お兄ちゃん、ありがとう!」
リノは元気にそう言うと、そこで押し黙った。
オレ:「ん? どうした? リノ......?」
リノ:「お兄ちゃん......
お兄ちゃんは私の事を信じられる?」
オレ:「勿論、リノはオレの可愛い、大切な妹だもの、信じてるよ?」
オレの言葉を聞くと、リノは嬉しそうな顔になり、
リノ:「ありがとう......」
と静かに呟いた。
リノ:「お兄ちゃん、私もお兄ちゃんを信じてる。
お兄ちゃんは、私にとって、カッコイイ、大切なお兄ちゃんだよ!」
そう言うと、リノはオレに飛び掛かり、オレの膝の上に乗ってオレの顔を舐めた。
リノの言葉とその身体中を使った愛情表現が嬉しくて、
オレ:「うん。ありがとうな、リノ。」
とオレは答えながら、リノの頭を撫でた。
....という事で、オレはいつもの如く、リルに顔を舐められて起こされた。
起きた時間はいつもと変わらないので、いつもの如く、
オレはリルと一緒に散歩に行く事にした。
そして、いつもの公園でリルを放して今日の夢の事を思い出す。
リノは......確かにオレの妹だよ。勿論、リルも。
リノ......オレの付けた名前、気に入ってくれて良かったなぁ......
リノは、オレの事を信じてくれて、そして大切なお兄ちゃんだって言ってくれた。
正直、嬉しかった。
そして......リルはどう思ってるのかな......
そんな事を考えていると、リルがオレの所に戻ってきた。
オレはリルの頭を撫でながら、リルに
オレ:「リル......リルはお兄ちゃんの事を信じてるか?
お兄ちゃんは、リルの大切なお兄ちゃんか?」
と聞いた。
すると、リルは耳を後ろに畳んで、オレの肩に前足を掛けてオレの顔を舐めてきた。
その行動で、リルもオレの事を信じて、大切なお兄ちゃんだって思ってくれてるのかな......
とオレは感じることができた。
オレ:「そうかそうか、リルもお兄ちゃんの事を信じてくれてるか!
お兄ちゃんはリルにとっても大切なお兄ちゃんか!」
嬉しくなってオレはそう話しながら、リルの頭を撫でた。
リルはオレに頭を撫でられながら、嬉しそうに更にオレの顔を舐めた。
リル......リノ...... 2人(匹とは言わない、絶対に)とも、
オレの可愛い、掛け替えの無い、大切な大切な妹だ。
オレもずっと、2人の事を信じてるよ。
オレが心の中でそう呟くと、何処からか「お兄ちゃん!大好き!」
という元気な声が聞こえたような気がした。