第三九話:妹犬達の姉達と兄バカ(その3)
第三九話:妹犬達の姉達と兄バカ(その3)
呆けていた女性陣が、そんなオレと法泉さんを見て、やっと正気に戻る。
最初に声をあげたのは皆川さんだった。
沙耶:「ちょっ.......ちょっと待った〜!」
オレと法泉さんが安西さんを見る。
すると、他の女性陣も声を上げた。
詩織:「わっ......わたっ......私もっ!
信也さんの事が好きですっ!」
オレ:「......はっ?」
理香:「あら......いきなりライバル出現ですわね。」
法泉さんは嬉しそうに話した。
やっ......そこは嬉しそうに話す場面ではないと思うんですが......
目を丸くするオレに向かって、佳山さんがこう言ってきた。
由紀:「みんな......同じ気持ち......」
オレ:「......へ?」
オレがそんな返答をすると、安西さんは立ち上がり、大きな声でオレにこう答えた。
佳苗:「だっ、だからっ! みんな信也君が好きになっちゃったのっ!」
何気に顔が真っ赤だ。
その言葉を聞いた、浅生さん、皆川さん、安西さん、森中さんは顔を真っ赤
にしながら、白泉さんは笑顔で、佳山さんは真顔(ってか、全然表情が変わらない)
で「うん」と頷いた。
そんなみんなを見た法泉さんは、おっとりとした口調で、笑顔になりながら、
オレを見ながらこう答えた。
理香:「あらぁ......ライバルが一気に6人も増えてしまいましたわ〜。」
......法泉さん...... これは笑顔で話す場面なのでしょうか......
そこで浅生さんが立ち上がり、更に顔を真っ赤にしながら、こう答えた。
弥生:「みっ、みんには負けないんだからねっ!」
理香:「私も負けませんわよ?」
あくまでも笑顔で答える法泉さん。
......どこまでもマイペースだな、法泉さんって......
更に白泉さんが座ったまま、行儀よく、こう答えた。
奈菜:「信也さん、覚悟してくださいね。
私達はあなたを諦めませんから。」
白泉さんも......動じない人だなぁ......
みんなの言葉に驚きながらも、オレは少しづつ冷静になっていく。
理香:「あら......信也さんも結構動じないのですね。」
オレ:「やぁ......驚き疲れただけですよ......」
弥生:「何気に、信也君も度胸あるわよね。」
オレ:「そんなんじゃないですよ......」
逆にここまでなると現実味がないだけだよ、うん。
奈菜:「信也さんは、何故かこういう事に慣れている雰囲気があります。」
オレ:「まぁ......ある意味では慣れているんでしょうか......」
詩織:「どっ......どうしてですかっ?!」
オレ:「ん〜......何というか......
高校時代......何故かアイドル視された時期がありまして......
こういうのって、現実味がないじゃないですか。」
由紀:「つまり......みんなに......告白されても......現実味がない......と......」
オレ:「はい...... 申し訳ないですが...... あまりにもとんでもなくて......」
佳苗:「でもっ、でもでもでもっ! これが現実だからねっ!」
安西さんは、オレの言葉で立ち上がり、オレにビシっと指をさし
ながらながらそう答え、皆川さんはオレにウィンクしながら
沙耶:「信也くん、覚悟してねっ!」
と答えた。
そこで、法泉さんが再びオレの首に腕を回し、
理香:「とりあえず......再度先制いたしますわね。」
と言いながら、オレの頬にキスし、オレの首から腕を放した。
それを見ていたみんなは、オレと法泉さんを見ながら立ち上がり、
女性陣:「「「「「「あ〜っ!」」」」」」
と声を上げた。
しっかし......いつもならこういう場面ではリルが嫉妬して寄ってくるんだが......
......とリルの方を見ると、疲れているようで、みんなと寝転んでいた。
......リル......気付いてないんだ......
今後どうなる事やら.......
......と、未だに現実味がない状態の為に、他人事のように考えていたオレだった。