表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/103

第三八話:妹犬達の姉達と兄バカ(その2)

第三八話:妹犬達の姉達と兄バカ(その2)



一旦会話が止まった所で、法泉さんがオレの手を握る。

オレ:「......法泉さん?」

そんな法泉さんの姿を見て、みんなが法泉さんとオレを注目する。

理香:「信也さんは......特定の方はおられますの?」

オレ:「特定の方ですか? それはどういう......」

理香:「つまりは.......恋人の事ですわ〜」

オレ:「いや、特には...... オレって基本的に怖がられてましたからね。」

理香:「あら......どうしてですの?」

オレ:「基本的にオレは目つきが鋭すぎたみたいで、高校時代は不良と思われてて、

    女性の友達も少なかったんですよ。」

理香:「そうでしたの...... でも、私達とは普通ですのね。」

オレ:「やっ、浅生さんは今日会った時、ちょっと怖がってましたよね。」

弥生:「そっ......それは流石にあの目は怖かったわよ......」

浅生さんは少し頬を掻いて、目線を上に向けて朝のオレの目つきを思い出しながら

そう話した。

オレ:「でしょう? オレは基本的にはあんな感じなんですよ。

    リルと一緒だとあんな風にはあまりならないですけどね。

    素の時は話し掛け辛いかもですよ、実際の所。」

理香:「それでは、私達は運が良かったのですわね。」

オレ:「そうなんでしょうか.......」

オレの手は未だに法泉さんに手を握られたままで、そこで法泉さんはさっきよりも

オレの手を握る手に力を入れてきた。

オレ:「あの〜......法泉さん?」

理香:「あら......嫌ですの?」

法泉さんは少し小首を傾げながらオレにそんな事を聞いてきた。

オレ:「やっ、別に嫌という訳ではないですが.......」

嫌とは言わないけれども、何故手を握られているのかが分からんから、

どう反応したらいいのか分からん訳で......

オレが少し困惑した顔を向けてると、法泉さんはおっとりと、

優しい口調で笑顔になりながら、オレにこう言ってきた。

理香:「なら......よろしいではないですか。」

オレ:「はぁ......まぁ......」


そんなオレと法泉さんの姿を見ていたその他の女性陣は、

弥生:「何気に......理香さんって積極的......」

沙耶:「私にはあんな事はできないよぉ......」

奈菜:「少し、羨ましいです......」

由紀:「負けて......いられない......」

佳苗:「でも、怖気付いてしまうかなぁ......やっぱり......」

詩織:「どっ.......どうしたらいいでしょうかっ.......」

という会話をしていた。


そこで、法泉さんはオレの手を更に強く握り、オレの方に身体を向けてオレを見た。

理香:「信也さん......」

オレ:「はい?」

理香:「信也さん......私と......お付き合いしていただけませんでしょうか?」

オレ:「......は?」

オレは驚きの余り、目が点になる。

更に、他の女性陣も

女性陣:「「「「「「......はっ!」」」」」」

と驚きを隠せない。

理香:「ダメ......でしょうか......」

オレ:「やっ.....ダメとかそういう問題ではなくてですね、

    今日初めて会ったばかりですし......」

オレの言葉を聞きながらも、法泉さんはオレの言葉を力強く否定し、

更に熱の篭った視線を向けてきた。

理香:「そんな事は関係ないですわ。

    この出会いを私は大切にいたします。

    この機会こそ、この時こそが大切なのです。」

法泉さんのその言葉も、その思いを真剣である事は良く分かった。

オレ:「......」

何と答えたらいいのだろう.......真剣に考えるにしても、

出会ったばかりでどうすればいいのか分からない。

理香:「やっぱり......ダメ......でしょうか......」

オレ:「やっ、そういう訳ではなくて......

    オレはこういうのに慣れてないんです......」

オレのその言葉を聞いた法泉さんは、今度はオレに身体を近付けてきた。

理香:「私も......いきなりこんな事を言ってしまってごめんなさい。

    会ったばかりでこんな事を言うなんて、私もどうかしてると思います。

    ですが......それでも、私は信也さんが好きです。」

オレ:「......ありがとうございます。」

法泉さんは真剣だった。 オレも真剣に考えないといけない。

......法泉さんは素敵な人だと思う。でも、まだ今日会ったばかりだ。

どんな人かも分からない。それに、法泉さんもオレの事をまだ知らない。

この状況でその思いに答えることはできない。

オレ:「法泉さん、法泉さんの思いは正直嬉しいです。

    でも、オレは法泉さんをまだあまりよく知りません。

    そして、法泉さんもオレをまだあまりよく知りません。

    だから......今はまだ.......ごめんなさいです。」

オレがそう答えると、法泉さんは笑顔を向け、そしてこう答えた。

理香:「信也さん、あなたはやはり素敵な方ですわ。

    私は、今の言葉で更にあなたを好きになりました。

    私は諦めません。 信也さん、覚悟してくださいましね。」

そう言いながら、法泉さんはオレの首に手を回してオレの頬にキスした。

そして、法泉さんはオレから離れ、椅子をさらにオレに寄せてオレの手

を優しく握ってきた。

そんな法泉さんの行動にオレは少し呆けながらも、法泉さんを見た。

それを見ていた女性陣も呆けたまま、何も言えずに法泉さんを見ていた。

法泉さんは、オレと目が合うと小首を傾げて笑顔を向けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ