第三七話:妹犬達の姉達と兄バカ(その1)
第三七話:妹犬達の姉達と兄バカ(その1)
法泉さんの言葉に沈黙したみんなが法泉さんを見た。
そして、不穏な空気のまま、みんなが口を開いた。
弥生:「むっ......」
沙耶:「理香さん......」
奈菜:「さっきの言葉は......」
由紀:「......本気?」
理香:「えぇ、本気ですわよ?」
佳苗:「でっ、でもでもでもっ!」
詩織:「りっ......理香さんはっ......!」
弥生:「家柄とかで、無理なんじゃ......」
理香:「いえ? そんな事はありませんのよ?
お父様もお母様も、いい人を見つける為にも大学に行きなさい
って言ってくれましたから......」
再び、そこでみんなが沈黙した。
弥生:「......(こっ......これは.......ピンチかも.......)」
沙耶:「......(信也君、私もいいかもって思ってたのに......)」
奈菜:「......(理香さんの気持ちもわかります......私も......)」
由紀:「......(この気持ち......どうすれば......)」
佳苗:「......(う〜ん......これはアタックを掛けるしかっ!)」
詩織:「......(しっ.......信也さんとなら......わっ......私でもっ!)」
理香:「......(ホントのホントで本気になってしまうかもですわ〜......)」
何気にみんなが信也を狙い始めていた。
そんな会話やみんなの思惑を知らず、疲れたオレがみんなの居る所に戻ってきた。
オレ:「ただいまです......流石に疲れました......」
みんなも疲れたのか、オレに続いて妹犬達も姉の横に向かう。
法泉さんはオレが座ると、冷たい飲み物をメイドさんに用意して貰っていたらしく、
オレに渡してくれた。
理香:「信也さん、どうぞ、冷たいお飲み物を召し上がってくださいな。」
オレ:「あっ、ありがとうございます。流石に疲れて喉も渇いてしまいました。」
法泉さんは冷えた紅茶をオレに渡してくれた。ホントに喉が渇いていたので正直助かる。
理香:「それにしても......リルちゃんとはいつもあんな遊び方を?」
そう言いながら、いつの間にか椅子を移動していた法泉さんはオレの横に座った。
オレ:「はい、いつもあんな感じですよ。
ボールとか投げても取りに行った後持ってきてくれないんですよね〜......」
理香:「そうなんですの......
でも、リルちゃんもシェリーも、みんなの妹達も、ホント楽しそうでしたわ〜......」
佳苗:「そうそうっ! カリンも他の子達も、みんな疲れちゃってるけど笑顔だよ〜!」
奈菜:「信也さん、尊敬します。」
オレ:「やっ、そんな尊敬されるような事はないですよ。」
オレは白泉さんの言葉に少し驚きながらそう返した。
由紀:「そんな事......ない...... 私達には......真似できない......」
弥生:「そうよね〜...... あんな事、私達には無理だよね〜......」
オレ:「やっ、それはオレが男だってだけですよ。」
詩織:「そっ......そんな事ないですっ!
しっ......信也さんみたいな事ができる人は、私は見たことがないですっ!」
沙耶:「ホント! カリンやマユミちゃんやモモちゃんみたいな大型の子達と
あんなふうに遊べるなんて、そうそういないよ〜!」
オレ:「やぁ......恐縮ですよ......」
オレはみんなの言葉に頭を掻きながら答えた。
理香:「信也さんは犬がホントに大好きですのね。」
オレ:「そうですね。基本的に動物は大好きですよ。」
奈菜:「妹達も信也さんが気に入ったみたいです。」
オレ:「そう言われると嬉しいです。」
沙耶:「カリンとかみたいな大型の子達は怖くないの?」
オレ:「大型の子って、基本的に根は優しいし、大きな体の割り
には甘えん坊だから、全然怖くはないですよ。」
佳苗:「信也君は小型の子達ともうまく遊んでくれてたよね〜!
ナナ達も楽しそうだったよ〜!」
オレ:「まぁ、足元に居るから移動するのには気を使ったけれども、
うまく逃げてもくれてましたからね。」
由紀:「妹達......あんなにはしゃぐの......初めて......」
オレ:「そうなんですか? みんな元気だからいつもの事かと......」
詩織:「みっ......みんなとあんな風に遊べる信也さん、カッコ良かったですっ!」
オレ:「きょっ、恐縮です.......」
弥生:「妹達も信也君が気に入ったみたいだし、信也君がサークルに入ってくれて
私達も良かったって思うわ......」
オレ:「オレも、リルに友達ができたから、入って良かったって思います。」
疲れた身体を休めながら、オレはみんなとそんな会話をしていた。
リルや他の妹犬達も、メイドさんが持ってきた水を飲んだりオヤツを食べながら、
少し疲れたであろう身体を休めていた。