第三五話:妹犬のはしゃぐ姿を眺める兄バカ
第三五話:妹犬のはしゃぐ姿を眺める兄バカ
サークルのメンバーみんなが椅子に座ると、メイドさんらしき方が2〜3人程で、
オレ達の座る前にティーカップを置き、紅茶を注ぎ始めた。
そして、テーブルの真ん中にはクッキーやら色々なお菓子が乗せられていた。
オレは、メイドさんにお礼を言った後、リル達を見た。
リルは、コリー犬のシェリーが一番好きらしく、シェリーの後ろを追ったり、
横に並んだりしていた。
......楽しそうだな......
オレと遊んでいる時も楽しそうだけれども、こうして友達ができて遊んでいる姿
は更に楽しそうだな......
連れて来て良かったな.......うん。
なし崩し的に女性しか居ないサークルに所属する事になっちゃったけど、
これならリルの為にもなるし、楽しそうな姿も見れるし、OKかな......
オレ:「リルはシェリーちゃんが好きみたいですね。
ずっとシェリーちゃんの傍を離れないですよ。」
理香:「ホント.......シェリーもリルちゃんが気に入ったみたいですわね。
2人で並んで歩いている姿は楽しそうですわ〜......」
オレ:「カリンちゃんとマユミちゃんとモモちゃんは、やっぱり大型犬同士
で走り回って楽しそうだし、リリコちゃんとケイちゃんとナナちゃんも、
小型犬同士で楽しんでいる......という感じなのかな......」
奈菜:「そうですね......
でも、ケイはモモちゃんの後を追ったりする時もありますよ?」
オレ:「そうなんですか? 全然サイズが違っても、やっぱり仲良く遊んでるんですね。」
弥生:「そうよ? 基本的にみんな仲はいいのよ。
でも、中々輪の中に入れなかった子もいたから、リルちゃんは優秀よね〜」
そういいながら、弥生さんは森中さんを見た。
すると、森中さんは、オレの視線を感じると、少々俯きながら話した。
詩織:「モっ......モモは大きくても私に似て人見知りするのですっ......」
佳苗:「ほ〜んと、モモちゃんが初めて来た時は、中々みんなの輪の中に入れなくて、
ナナが近づいても逃げるし......」
由紀:「結局......マユミが何度も追っかけて......みんなの輪の中に入った......」
沙耶:「そうそう、あの時はカリンも一緒に追いかけてたけど、逃げるのに疲れて座ってから、
3匹一緒に並んで座り込んじゃって......
これがその時の写真よ。」
皆川さんはそう言いながら、携帯電話のカメラで写したその時の写真を見せてくれた。
オレ:「......何気にみんなぐったりですね......」
モモちゃんはどれだけ逃げ回ったのやら......
弥生:「ホント、あの時は笑ったわよ〜!
多分、カリンちゃんとマユミちゃんはモモちゃんと追いかけっこ
して遊んでたつもりだったんだろうけれども、モモちゃんは必死
に逃げ回ってたんでしょうからね〜......」
詩織:「やっ......弥生さん酷いですよぉ......」
森中さんは弥生さんの言葉に少々頬を膨らませたが、直ぐに笑顔になった。
......みんな仲が良さそうで何よりだ。
そうして、妹達を眺めながらみんなで会話をしていると、リルがオレの所に戻ってきた。
オレ:「ん? リル、どうした?」
リルはオレの膝に前足と顔を置いて「クゥ〜ン......」と泣いた。
オレ:「ほ〜んと、甘えん坊だな〜、リルわっ!」
そう言いながらオレはリルを抱きかかえて膝の上に置いた。
すると、リルはオレの顔を思いっきり舐めてきた。
オレ:「リル、みんなと遊んで楽しかったか?
.......そうか、楽しかったか。
お兄ちゃんも連れてきて良かったって思ってるよ。」
ひたすらオレの顔を舐めるリルを見て、楽しかったんだとオレは認識した。
理香:「リルちゃんは可愛いですわね、ホント......」
オレ:「ありがとうございます。自慢の妹ですよ。
でも、みんなの妹達も可愛いですよ。みんな個性があって......」
沙耶:「でも、リルちゃんは甘えんぼさんで可愛いわ〜......」
皆川さんはリルをオレから受け取り、リルを膝の上に乗せてリルの頭を撫でた。
すると、カリンちゃんがオレと皆川さんの間に来て、お座りしてオレを見上げた。
オレ:「こんにちわ、カリンちゃん、リルとも仲良くしてね。」
そう言いながらオレがカリンちゃんの頭を撫でた。
それを見ていたリルが、皆川さんの膝の上で、「ウゥ〜......」と低く唸り始めた。
オレ:「......リル、もしかして焼き餅焼いてるのか?」
そう言いながらオレがリルの頭を撫でてリルの頭にキスすると、
リルはオレの顔を舐めてきた。
オレ:「リルはオレの可愛い可愛い、大切な妹なんだから、安心してていいぞ?」
そう言って、再びカリンちゃんの頭を撫でてカリンちゃんに顔を近づけると、
カリンちゃんもオレの顔を舐めてきた。
そこで、再びリルが「ウゥ〜......ワゥッ!ワゥッ!」と皆川さんの膝の上
で遠慮しながらも吠えた。
沙耶:「ほ〜んと、リルちゃんは信也お兄ちゃんが大好きなのね〜......」
弥生:「うちの子達も甘えん坊だけれども、他の子達を触ってもこんな反応
はしないわよね......」
奈菜:「リルちゃんは信也さん一筋なのですね......」
由紀:「ちょっと.....羨ましい......」
佳苗:「私も焼き餅焼かれてみた〜いっ!」
詩織:「リっ......リルちゃんは信也さんラブなのですっ!
わたっ......私もっ......リルちゃんラブになりそうですっ!」
理香:「ほ〜んと.......リルちゃん可愛いですわ〜......
仕草も反応も、表情も豊かで......」
オレ:「そうですね〜......リルは表情豊かですよね〜......
そうそう、リルは人にも嫉妬しますよ。」
理香:「あら、そうですの?」
そこで、法泉さんは少し考えた後、
理香:「......では、少々失礼しますね......」
と言って立ち上がり、オレの方に歩いてきたと思ったら、いきなりオレを後ろから
抱きしめてきた。
オレ:「ほっ!.....法泉さんっ! いきなり何......」
と、そこでリルがさっきよりも強めに、「ウゥ〜......ワゥッ!ワゥッ!」
と遠慮しながら吠えた。
理香:「あら〜、ホント可愛いですわ〜......
リルちゃんごめんなさいね。まだお兄ちゃんを取ったりしないから安心してね。」
そこで、その他の女性陣から、
女性陣:「「「「「「まっ......まだ?!」」」」」」
と驚きの声を上げた。
みんなの反応を余所にして、法泉さんはオレから離れ、リルの頭を撫で
てリルの頭にキスをしていた。
リルは自分が撫でられる分には全く怒っている様子もなく、嬉しそうな表情を見せた。