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第三二話:妹犬は何処でも人気者

第三二話:妹犬は何処でも人気者



大学から帰宅して居間に入ると、リルが元気にオレの方に寄ってきた。

オレ:「リル〜、ただいま〜」

オレはリルを抱きかかえてソファに座った。

リルはオレに抱きかかえられながらオレの顔を舐めてきた。

オレ:「リル、今度お兄ちゃんの大学に一緒に行こうな〜

    リルにも友達ができるかもだぞ〜」

そう言ってオレはリルの頭を撫でた。

リルはオレに頭を撫でられて嬉しそうな顔をした。


オレは部屋に戻って大学で渡された名刺を見た。

名詞には「ペットサークル:愛ラブシスター」と書かれており、

代表者の名前として「浅生あそう) 弥生やよい)」と書かれていた。

ふむ......あの時オレに名詞を渡した人は浅生さんと言うのか......

名詞を渡してきた時にメーリングリストに登録してくださいって言ってたな......

......このメアドがメーリングリストの登録アドレスかな......

メーリングリストに登録すると、早速次回の「お茶会」の連絡が投稿されていた。

ふむふむ......今週の土曜日か......

とりあえず、参加者は返信くださいとの事なので、「初めまして、藤崎信也です。

次回のお茶会参加しますのでよろしくです。リルを連れて行きますね。」と返信した。


オレはこの時、何も考えずにメーリングリストに登録してしまった事

をお茶会の日に後悔した。

......これはある意味詐欺だろ......

何故なら......



お茶会当日、オレはリルを車に乗せて待ち合わせ先の公園へと来た。

えっ? いつ車の免許を取ったかって?

そりゃ、高校卒業してすぐだよ。だって、車あると色々と便利だろ?

リルを連れて何処にでも行けるし。

......っとまぁ、そこいらの話は置いておいて......

オレはサークルの方々の集まる場所へと、リルを連れて歩いた。


待ち合わせ場所には既に5人程ペット連れの方々が居た。

オレ:「おはようございます。ペットサークルの方々ですか?」

オレが声を掛けると、一人の女性がオレの方を見て返答してくれた。

A子:「はい、そうです。 もしかして、今回初めて参加される方ですか?」

オレ:「はい。よろしくお願いしますね。」

オレがそう言うと、そこに居た女性陣全員から、「キャー! 初の男性メンバーよ!!」

と言う声が聞こえた。

えっ? 初の男性メンバーって......

オレ:「やっ、オレはまだ......」

と、返答を返すよりも、そこに居た女性達はリルに群がった。

A子:「きゃ〜! 可愛い〜! ねぇ、お名前は何ていうの?」

オレ:「あっ、リルって言います。女の子ですよ。」

B子:「リルちゃんっていうの〜! 可愛いわね〜!

    うちの子はケイっていうのよ〜っ、仲良くしてね〜!」

C子:「ホント、可愛いわ〜...... うちのマユミとも仲良くしようね〜!」

D子:「ほ〜んと、目がクリクリで可愛いわね〜、リルちゃん。

    うちの子はナナって言うの、一緒に遊んでね〜!」

E子:「リルちゃ〜ん、私の名前はモモですよ〜 一緒に遊びましょ〜!」

女性達はリルに自分のペットの自己紹介をしてくれた。

オレ:「そういえば、サークル名が"愛ラブシスター"でしたけど、

    やっぱりメンバーの人達のペットって、女の子ばっかりなんですか?」

A子:「そうですよ。一応、サークル参加の条件でもあるんですよ。」

オレ:「なるほど...... って、オレはまだサークルに入る

    とは決めてないんですが......」

B子:「えぇ〜っ! 入ろうよ〜! リルちゃんも可愛いし、人気者になるよ〜?」

オレ:「でも、話によると、ここのサークルに男は居ないんですよね?」

C子:「だからこそ、今あなたが必要なのよ〜!」

オレ:「やっ、そう言われても......」

D子:「是非、私達のサークルに入ってくださいっ!」

オレ:「やっ、でもねぇ......」

E子:「みんないい人達だから......ねっ?」

オレ:「でもなぁ......」

そこで、後ろから女性の声が聞こえた。

 声:「もうあなたはうちのサークルのメンバーよ?

    だって、メーリングリストに登録済みだもの」

オレはその声のする方を見た。

すると、前回オレに名詞を渡した女性がこちらに歩いてきた。

女性:「おはようございます。藤崎信也君よね?

    私達のサークル、"愛ラブシスター"ようこそ!

    あなたの入会を歓迎するわっ!」

大げさに右手をビシッとオレの方に差し出して女性はオレにそう言った。

......もしかして、オレってハメられたのだろうか......

チョット意気消沈するオレ......

そんなオレの姿を見たリルは、オレに飛び掛って、「キャン!キャン!」

と少し悲しそうに泣くのだった。


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