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第十八話:妹犬と張り合う2人

第十八話:妹犬と張り合う2人。



オレは、リルとひとしきり遊んだ後、みんなの所に戻った。

何故か、狭山さんと浮島さんがお互いを睨みつけながら握手を交わしていた。

......何かあったのかな......チョット近寄るのが怖いぞ?

オレのそんな雰囲気を察知したのか、リルが先にみんなの方に向かい、

「ワン!」と皆に向かって吠えた。

その声でオレ達が戻ってきた事に気付いたのか、先程とはうって変わって和やか

なムードへと変化した。

元に戻ったのは良かったのだが、何があったのかは気になるな......

オレは勇次に聞いてみる事にした。

オレ:「狭山さんと浮島さんがなんか険悪なムードだったみたいだけど、

    何かあったか?」

勇次:「やっ? 別に何もないぞ?」

オレ:「でも......」

とオレが再度勇次に聞こうとしたが、そこで玲子が水を差した。

玲子:「そんな事よりもさ、さっきリルちゃんと遊んでいる所見たけど、

    何気に袖とか指とか噛まれてたでしょ? 痛くないの?」

オレ:「ん? あぁ、いつもあんな感じだけど、あまり痛くはないよ。

    まだ手加減を覚え切れてないから、ちょっとミミズ腫れにはなるけどね。」

オレは腕をまくってミミズ腫れになった跡を見せた。

美紀:「うっわ〜......結構痛そうなんだけど......」

香織:「そうですわね......何気にリルちゃんって怖いのかしら......」

オレは相沢さんのそんな言葉を聞いてちょっと悲しくなりながらも、

オレ:「そんな事ないって。みんなの事は噛まないだろ?

    それに、こういう遊び方しているうちに、最初よりはだいぶ手加減

    を覚えるようになってきたから、そのうちこういう風にもならなくなるよ。

    なっ、リル、少しづつ手加減を覚えてきてるもんな。」

オレはリルに噛まれた腕を見せると、リルは耳を畳んで目を細め、愛しそう

にオレの腕を舐めた。

そんな姿を見たオレはリルの頭を撫でてリルの頭にキスをした。

美紀:「あ〜〜〜〜〜っ!!」

狭山さんはオレのそんな姿を見て、大きな声をあげながらオレを指さした。

オレ:「?」

そして、リルはオレの顔を舐めてきた。

オレは顔を舐められならがリルの頭を撫でる。

美紀:「ああああああ〜〜〜〜〜っ!!」

更に狭山さんは大きな声をあげ、そして、

美幸:「しっ、信也様っ!! 幾ら可愛い妹でもキスするなんてっ!」

と美幸さんがオレに詰め寄る。

オレ:「ん? だって、オレの可愛い可愛い妹だもの。

    犬は顔を舐める事で愛情表現するんだぞ? ムツゴロウさんも言ってるそ?」

美紀:「む〜〜〜〜〜〜っ!

    顔を舐めるだけならともかく、口舐められてキスしてるじゃんっ!」

美幸:「そうですっ! キスするのは人間だって強い愛情表現ですっ!」

オレ:「まぁ、そりゃそうだけど.......

    なんでに狭山さんと浮島さんがそんなに怒ってるんよ?

    リルはオレの可愛い可愛い妹だもの、愛してるに決まってるじゃん。」

そう言いながら、オレは再びリルの頭にキスをした。

オレのそんな姿を見た美紀と美幸は、

美紀:「あぁ〜〜〜〜〜〜っ!! また〜〜〜〜〜〜っ!!

    しかも愛してるなんてズルイズルイズルイズルイズルイ〜っ!」

美幸:「......今分かりましたっ!

    一番のライバルはリルちゃんだという事がっ!」

香織:「最も手強いライバルかもしれませんわね.......」

玲子:「頑張れっ、二人ともっ!」


今度は先程の強い視線がリルに向けられた。

リルはそんな視線を感じながらも、美紀と美幸の方に向かい、

2人の顔を上目使いで小首を傾げて、お座りして見上げた。

そんなリルの姿を見た2人は、

美紀:「でもっ! でもっ! でもでもでもっ!

    やっぱり可愛い〜っ! リルちゃ〜ん!」

美幸:「......そうですわね......リルちゃんに罪はないですわね......」

と言いながらしゃがみ込んでリルの頭を撫でた。

リルは頭を撫でられて嬉しかったのか、美紀の顔をペロっと1回舐めた。

美紀:「うわっ! ビックリっ!

    (でも、よくよく考えたら信也くんと間接キス!)」

少しビックリした後に嬉しそうな顔をする美紀を見てハッとした美幸は、

美幸:「リルちゃん、美幸お姉ちゃんですよ〜 これからもよろしくね〜」

と言いながら、リルの頭のオレがキスした辺りにキスした。

美紀は、「あっ!」と言いながら美幸を恨めしそうに見た。

美幸は少し余裕の表情を見せながら美紀に視線を向けた。


再び2人の視線の間で火花が飛び散る。

リルはそんな2人の間に座り、どちらの機嫌を取ればいいのかアタフタしながら、

2人を交互に見ていた。

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