第十六話:妹犬、オレの仲間達と会う
第十六話:妹犬、オレの仲間達と会う
そして日曜日。オレの家の前。
勇次、玲子、美紀は勇次の案内でオレの家に来た。
香織は、美幸の運転する車で、ホントにカメラマンを連れて来た。
......カメラマンって冗談じゃなかったのか.......
しかし......
オレ:「......なんで相沢さんはオレの家知ってるの?」
香織:「えっ? いえ......その.......」
少し戸惑いながら美幸を見た。
美幸は、香織の表情を見てフォローを入れるように、
美幸:「藤崎様の家の住所を確認して来ました。」
とオレに話した。
オレ:「そっか......まぁ、学校で同じクラスメイトだしな......
そんじゃ、リルを連れてくるからチョット待っててくれ。」
オレはみんなにそう言って、家の中に入った。
美紀:「う〜ん! やっとリルちゃんに会える〜っ!」
香織:「いよいよですわねっ! カメラマンさん?!
リルちゃんの可愛い写真をしっかりと撮ってくださいましね?!」
カメラマンは香織の言葉を聞き、「はいっ!期待してください!」と返答した。
そして、オレはリルを抱きかかえて外に出てきた。
そして、みんなにご対面。
オレ:「お待たせ〜 うちの妹のリルですよ〜」
美紀:「キャ〜っ! やっぱり可愛い〜ぃ!」
玲子:「ホント、写真で見るより可愛いわね〜!」
香織:「......可愛いですわっ!」
勇次:「確かに可愛いな。」
勇次はあまり感動していないが、女性陣はみんな嬉しそうだ。
そして......
美幸:「(あぁ......信也様......リルちゃんを抱きしめて微笑む姿......
とっても素敵ですわっ!)」
と、美幸だけは信也を見て目がハートになっていたのを誰も気付かなかった。
オレ:「リル、お兄ちゃんの友達の勇次と水沢さんと狭山さん、
それにクラスメイトの相沢さん.......と.......」
と言いながら、リルを降ろしてみんなに会わせた。
美幸:「藤崎様、お初にお目に掛かります。
香織お嬢様の付き人をしております、浮島美幸と申します。」
と、浮島さんはオレに手を差し伸べた。
オレ:「あっ、よろしくお願いします。藤崎信也です。」
オレは浮島さんの手を取り、握手を交わした。
美幸:「(あぁ......信也様.......こうして挨拶を交わせるなんてっ!)」
と、美幸は信也と繋いだ自分の手を見ながら、片手を頬に当てて目がハートになった。
オレ:「......浮島さん?」
美幸:「はっ! もっ、申し訳ありませんっ!」
オレ:「やっ、別にいいけど.......」
水沢さんと狭山さんと相沢さんはリルに寄って、リルの頭を撫でたり
抱きしめたりしており、そんな姿をカメラマンは写真に撮っていた。
勇次はカメラマンの撮っている姿が気になっていたのか、カメラマンの横に居た。
ちなみに、リルはみんなに撫でられたりするのは嬉しいようだが、
初対面の人に囲まれてちょっと戸惑っていたのか、表情が硬かった。
オレ:「そんじゃ、近くに公園に行こうか。」
香織:「そうですわねっ! もっとリルちゃんの元気な姿が撮りたいですわっ!」
美紀:「賛成〜っ!」
......という訳で、オレ達は高速道路下の公園に向かった。
その間、リルはいつものようにオレの持つリードを咥えて歩いていた。
美紀:「リルちゃんって、信也君と歩いている時、とっても嬉しそうね〜」
玲子:「ホント、首輪をリードで繋いでないのに、自分でリードを咥えて
歩いてるんだもんね〜......そんな姿も可愛いわ......」
香織:「何だか、ホントに歳の離れた兄妹が手を繋いで歩いているようですわね......
そんな姿も嬉しそうで、とっても可愛いですわっ!」
そんな姿を、カメラマンもいい構図だと思ったのか、オレがリルを見て、
リルがオレを見る瞬間を後ろから撮っていた。
勇次は、カメラマンのそういった姿を関心しながら見ていた。
そして......
美幸:「(あぁ......信也様...... リルちゃんと一緒に歩く笑顔......
とっても素敵ですわっ!)」
美幸は相変わらず、信也のそんな姿を目を輝かせて見ていた。