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魔導師レイシス、神と悪  作者: tommy
1章 一人前になるという事
21/29

訓練!(?)

レイシス達の番まであと四組ほど残っているようだ。

初めてキメラに傷らしい傷をつけたパーティが現れる。四人組のそのパーティは魔導師二名と戦士二名だ。戦士は大剣、斧の二名と魔導師の片方は近接も対応出来る、近中距離型の魔導軽戦士といったところか手に持つダガーを触媒に魔法を使いつつ上手くキメラを撹乱している。

キメラの前後を重戦士で挟み素早い魔導軽戦士で隙を作り出している。キメラ後方に陣取る大剣戦士がついに蛇の尾を叩き切った。魔導師は戦士達のステータスアップと要所で攻撃魔法を放っている。この攻撃魔法が上手くダガーの魔戦士と切れ目なく皆の連携を繋いでいたのだが魔法軽戦士の跳躍後、頭上からの攻撃魔法に対してキメラは初めての攻撃を見せる。


「喰らえっ!」


ゴオアアアアアアッ


「!」


頭上からダガーに雷属性の魔法を纏わせて突き刺そうとした魔法軽戦士に対し、炎を吐き出してきたのだ。全身の熱傷が広がる前に医務室送りになった。彼は空中で転移が発動し退場した。

魔法軽戦士を欠いたパーティはそこから徐々に崩れて行った。前衛重戦士二名はキメラの前方に対峙し、魔導師は距離を取って補助についた。

大剣戦士がそのうちスタミナ切れを起こし噛み付かれ壁に叩きつけられそうになったところで、強制転移。蛇を切り落とすのにだいぶ体力を使ってしまったようだ。蛇の鱗はかなり硬い。

斧戦士はうっすらと体表から陽炎のようなものが上がっている。オーラ持ちにいよいよなろうとしている段階まで来ているようだ。片刃の大斧を振るう戦士は力戦奮闘したが、戦士の隙をついてキメラは魔導師を炎で攻撃した。不意を突かれた魔導師は炎が届く直前に強制転移された。驚きで詠唱中の魔法の爆裂を感知されたのだった。炎のブレスはひときわ巨大な炎に変化しかき消えた。

最後に残った斧戦士はさらに粘りを見せた。が、単独では集中する攻撃を捌き切れずあえなく教官の制止。


「うおおおおっ!」

叩きつけられるキメラの右足をかわし、地面に食い込むその足に向けて斧を振り下ろそうとする斧戦士。


「ガアアアッ!」

なんとキメラは今踏み込んだ右足を素早く持ち上げ、振りかぶる斧を弾き飛ばした。最初の一撃は誘いの一撃だったのだ。


「なっ、くそっ!」

弾き飛ばされた勢いと振りかぶる体勢もあいまってそのまま後ろに尻餅をつく戦士。振り上げた右足をキメラは戦士に叩きつけようとしている。


「はい、そこまで。」

一瞬の間に近づいた教官はキメラの首を刎ね飛ばし、剣を地面に突き刺し寄っ掛かるようにして戦士に告げる。

重たくキメラの首がごろりと鈍く転がる。


「はい…。」

足元に崩れ落ちたキメラの右足が動かなくなるとふっと消えた。それをみながらへたりこみ、膝をつく斧戦士。


「ブラボーって手放しに褒められないけど、頑張ったね。」


「ありがとう…ございます。」


「昔童話で読んだニンジャ?みたいな戦い方する子、最後の攻撃は十分に隙を作ってからでもよかったね。」


「…。」


「大剣の子はあんなに尻尾切るのにこだわる必要あったかな?まあ、見た目からして毒とかありそうだからこわいよねー。気持ちは分かる。でも爪にどくあったりしてね?てかね、蛇ぶった斬れるなら後ろ足一本もらった方がよくないかな?」


「そうですね…。」


「最後のキメラのフェイントに引っかかったのは残念だったなぁ、あれだけタイマン張ってたのに。自分のスタミナ考えたら焦っちゃったかな?」


「はい…。」


「フィールドだったら死んでたね。」


「う…。」


「まっ今のとこ最高成績かなー。」


「ホントですかっ!?」


「今日のね?」


「はい…。」


「まー頑張って来たんだなってのは認める。あの子のダガーは魔柱石使ってるだろ?、努力賞って事で魔柱石は

支給してやるよ。」

しゃがみこんで小声で耳打ちする教官。


「ありがとうございます!」


「声でけーよ。」

笑って立ち上がり手を差し伸べて立たせる。


魔法陣、ないしは呪文を刻んだ武器に魔柱石を仕込み任意のタイミングで発動させて使う物を魔工装具、単にあらかじめ魔法陣、呪文を刻んで自身の魔力で発動させる物を魔装具といったりする。武器なら魔工武器と呼ぶ者も。

オーラを使って戦う者が魔力も使って戦うのはかなり高レベルな使い手のする事であって相当に訓練が必要だが、才能のない者はそれが出来るようになる時には寿命を迎えると言われている。オーラをしっかり扱えるようになり、魔法を扱えるようになり、そこから二重の扱いが出来るようになるまで…と言った換算なのでかなり大雑把だが。

なので、その問題をあっという間に解決してくれるのが魔柱石を使った魔工装具である。魔力の源となる魔柱石から魔力を流し魔回路を使って範囲、射程、出力、方向等を設定した装具。魔回路の設計によってスイッチを押す、強く握る等仕掛けも様々ある。

闘気の操作に集中しながらここぞと言うところで簡単な操作で魔法の力を使えるこのアイテムは人気が高い。がスタンダードな設計のモノは比較的安く手に入るが少々実用性に乏しかったりする。かと言って新たに、例えば火をふく魔工武器を作るにしても剣と盾で戦って来た者は持ち替えが必要になって戦いづらくなってしまう。既に所持している武器に何か付けれるのがベストだが武器自体、魔工装具としてのシステムが搭載されていないモノはかなり再設計が厳しい。


「てか、ちょっとー!さっきの最後の止まるとこだったんじゃないのー?!」

評価を終えてどこかを見上げながら教官が声を上げる。


[すまない!指輪のデータが途切れた!目視でもよく確認する!]

どこからともなく技術者であろう者の声が響いた。どうやら頭上の一角にあるガラスの壁面からはこちらが見えるらしい。


「あーあぶねーこの剣で斬れてよかったー。」


え、今こいつなんつった?

レイシスは柄にもないセリフを心の中で吐き捨てる。


「えーここで…。」

教官は皆が聞き捨てならない言葉が聞こえて「は?」という顔になっているのに気付き言葉につまる。


「…ここで少しネタバラシです。」

地面に剣の切っ先を当ててクルクルと回し出す。


「まずみんなあれー?って思ってるよね、飛ばなくね?って。あんな立派な翼あるのに。今の所、距離を取るほど危ないと思わせてないって事なのかなー。」

数組が少し怖じ気付いたような顔をする。もう数組は意欲満々といった顔、特段表情を変えない者も。


「それと、このキメラシリーズ。どうにも人間みたいな戦い方してくるよね。フェイントいれて来たり、ノールックアタックとかしてきます。これは研究員が付け加えたもんじゃありません。戦った兵隊さん達が等しく感じている事でやっぱり先生は帝国が作ってこっちにぶんなげてんじゃないかとおもいまーす。」

最初のキメラが確認されてから度々現れるこのキメラ。どれも国境付近での遭遇率が高く、人の思考を持つかのような攻撃思考を披露することからギルド軍では帝国の放ったものではないかという考えに至っている。すでにキメラの話が出るとまた帝国か?というような会話になる程には民衆の中では噂になっている。


「と、まあ今のは俺の個人的な感想で決してギルドの公式な発表ではないので…つっても俺は外部講師みたいなもんだからねーギルドの中の人間じゃないからこんな事言えるんだけど。」

まあにしても骨のある子達が出てきて少し安心かな…いざとなったらこんなバケモノをつくってほいほい送り込んでくるなんて考えたらきっと王国もギルドも対策に奔走する…こいつの出現頻度的にきっと簡単に用意出来るわけじゃないんだろう…なんて思わせたいなんてのが最悪だ…さっきの子達のレベルで十人もいたらきっと討伐は可能だろう。だが一人も失わず戦えるか?アレと連戦になって、もしくは二体同時…考えられなくない。転移陣を用意して簡単に粉砕出来るやつを使い倒すか?何箇所転移陣を作ればいい、もっとギルドは焦るべきだ。百とか千とか現れたらどうする?単純に十倍人を出せば勝てるってわけじゃない…ハシムさん些末なことだって言ってたけど…あんたそんなにつえーのかよ、ムカつくな…



「ギリーさん。もし戦争になったらギルドの帝国出身者はどうなるんですかね?」

冒険者の一人がたずねる。教官はギリーと言うらしい。バインダーを見ながら少し黙考していたギリーが悟られぬようにかバインダーを持ち替える。


「んー…帰りたいって人は帰されるんじゃないのかねーって俺はそんなんしらん!今関係ないから!次行くよー。」

持ち替えたバインダーをパラっパラっと紙をめくる。


「お、まじで…レイシスは誰かな?」


「あ、はい。」


「ヒョロいなー、まガッツは認める。」

指輪を一つ渡される。


「まてーいっ!」

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